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死なない私の物語  作者: 蜻蛉
6/8

魔動列車にて ー捜索①ー

 「それでは私が前に出ますので、レーンさん達は後ろの警戒をお願いします。」


 「ローレルさん一人が先頭ですか?」


 「はい、なので前は問題ありません。後ろの不意打ち等の警戒をお願いします。」


 「・・・わかりました。皆も問題ないわね?」


 「問題なし、だよ」  「うん、わかった」  「問題ないよ。けど、ローレルさんは大丈夫ですか?」


 「大丈夫ですよ、私こう見えても結構強いので。それでは捜索に行きましょうか」

 いやー心配されるのっていいね、それが可愛い子だとなおさらだよ

 さてさて、それじゃあ出発しよう。


 「その前にローレルさん、列車内を進むにあたって計画はあるのですか?」


 「ありません。先頭まで列車内を進んで乗客なら保護して信奉者なら倒すだけです。」

 計画を立てるとかそんな高度なことはしたくないし、何よりめんどくさい

 とりあえず黒フードで乗客っぽくない人を倒しとけばいいでしょ


 「なるほど、方針はシンプルにした方が即応性が高まる、ということですね、わかりました。」


 え?そくおうせい?何それ・・・まあいいや、よくわからないけどわかってくれたみたい

 さて、次の車両だけど何人か居るっぽいな、乗客だといいな


 そう思いながら扉を開ける。


 そこで目に入ったのは男の子を掴み上げている黒フードとその仲間、そして持ち上げられている男の子の後ろで震えている女の子。


 咄嗟に剣を投げて男の子を掴んでいる黒フードの腕を両断する。

 態勢を整える時間なんて与えず、一息で黒フード二人に接近してその勢いのまま首をへし折った。

 男の子が何が起こったかわからないという目でこちらを見ている。


 とりあえず最初は笑顔で警戒を解くように話しかけないと


 「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」


 「え?あ、えっと、はい、大した怪我はありません。助けていただきありがとうございました。」


 うんうん、ちゃんとお礼が言えてえらいなこの子

 さっきまで何がなんだかわからないという顔してたのにちゃんと状況を理解できているのもいいね

 とと、ちょっとしたのだけど怪我してるな、後ろの子も怪我してるし治しておこう


 『癒しの光よ、この子らの傷を癒したまえ・・・』


 「傷が・・・癒し手だったのですか、妹のまでありがとうございます。」


 「お兄ちゃん、もう平気なの?」


 「大丈夫だよエリシア、この人が助けてくれたんだ。こんな時に言う言葉があるだろう?」


 「うん。ありがとうお姉ちゃん」


 うーん、お姉ちゃん、いいね!素晴らしい響きだ!

 と、私がお姉ちゃんの余韻に浸っていると男の子が話してきた


 「僕はエリックと言います。貴方の名前を教えていただいてもよろしいですか?」


 「私はローレルと言います乗客の保護のために動いてます。それと後ろの4人は私の仲間で、名前は・・・」


 「私はレーンです」 「私はアグネア、よろしく」 「私はベル、よろしくね」 「レティシアと言います、よろしくお願いします」


 「ご丁寧にありがとうございます。・・・助けてもらっておいてさらに求めるのは申し訳ないのですが、僕たちをイブツの信奉者から逃がしてくれた乗務員の方がいるのです。その方も助けてはいただけないでしょうか、もう少し先の車両で別れたんです。」


 「もちろんです。その為にここにいるのですから。この先ですね、急ぎましょう。」


 「ローレルさん、この子達も連れていくということでいいのですか?」


 「はい、私と皆さんの間にいてもらいます。ここで待っているよりは安全かと」


 「わかりました。二人ともそういうことですが、大丈夫ですか?」


 「はい、ぜひ僕たちも連れて行ってください。いいね、エリシア」


 「わかったよ、ちょっと怖いけど、お兄ちゃんたちがいるなら大丈夫だよね?」


 「もちろん、エリシアは僕が守るから、心配しないで」


 「うん!」


 「よし、それでは出発しますよ」


 壁に刺さった剣を抜き、さらに先の車両へ向かう。

 うん、何人か居るな、相変わらずなんかやたら音が聞こえにくいし、気配も読みづらいけどいるのは間違いなさそう


 「開けます。皆さんは警戒を」


 背後のうなづく気配を感じながら扉を開ける。


 そこには血まみれの男がいた。


 腹部に剣が刺さっているだけじゃない、体中痣だらけ、両腕は短剣で座席に縫い付けられている


 目にほとんど光はなく、血を吐いている人


 そして、それを見て笑いながらさらに嬲ろうとしている黒フード二人組


 ・・・本当にわかりやすくて助かるわ

 今度は位置が良かったため、接近後、一太刀で首を刎ねることができた。

 基本的に二人組か、だけど弱い。こういうのばかりなら楽できるな

 と思っていたら兄妹が血まみれの男に走って近づいた。


 「ガウルおじさん!しっかりして!」


 「ガウルおじさん・・・死んじゃだめえ!」


 「二人とも・・・無事だったか・・・そちらの方々・・・どうか・・・この子達を先にいる母親のところまで・・・連れて行ってくれないでしょうか・・・お願い・・・します・・・」


 「わかりました。でもまずはあなたの怪我の治療からです。」


 「いえ、俺は、もう、長く、ありません。だからどうか、ぐっ!」


 とりあえず剣を抜く、血が出るが出が悪い。血も増やした方がいいかな?


 それで・・・怪我がたくさんに毒もあるか、でもそんなに強い毒じゃないみたい。しゃべる元気あるみたいだし、まずは毒を治してから怪我を治すのに専念するか


 『浄化の光よ、かの者の毒を浄化したまえ・・・』


 『癒しの光よ、かの者の傷を癒し、身体に活力を与えたまえ・・・』


 いつものように手を組み祈る。

 すぐに効果が表れ、男の人の傷がふさがった。青白くなっていた顔色も血色よくなっていく

 よし、完璧だ。でもやっぱり人を癒すのはちょっと苦手だなあ


 「嘘だろ・・・傷が消えてるし気分も悪くない。貴方は一体・・・」


 「私はローレルと言います。それで、体の調子はいかがですか?」


 「完璧です!まさか乗客にこれほどの癒し手がいたとは思ってもいませんでした!ありがとうございます!」 


 皆も自己紹介をしてからとりあえず一息つく。


 いやあ、人から感謝されるというのも悪い気はしないなあ

 母さんも人を癒すことは嫌いじゃなかったって言ってたし、こういうことなのかな?


 「失礼いたしました。そちらだけ名乗らせるなど失礼なことを。私は魔動列車の乗務員でガウルと言います。この子達を逃がした後信奉者たちに捕まってしまい、お見苦しいところをお見せいたしまして申し訳ございません。」


 「ガウルおじさん、この方々は逃げ遅れた乗客の保護のために動いてくれているんだ」


 「はい、それで聞きたいのですが、この子達以外に逃げ遅れている乗客に心当たりはありませんか?」


 「私が知る限りではこの子達だけです。この魔動列車は今回こそ襲撃を受けてはいますが、警備として上位の傭兵や冒険者を雇い入れているため、初めの避難でほとんどの乗客は避難しています。私はこの子達がいないと母親が探していたため、列車内を探していたんです。」


 「ごめんなさい。私が悪いんです。私がちゃんと避難できなかったから・・・」


 「いいえ、僕の責任です。逃げる人の波から逸れてしまったエリシアをうまく誘導できなかったから・・・」


 「二人とも、反省は後だ。今は避難場所に向かって母親に顔を見せておやり」


 「「はい、ガウルおじさん」」


 「それではもう乗客はいないということで我々も避難場所に向かいましょうか。」


 「そうですね、ああ、いや、そういえば・・・すみません。乗客ではないのですが、この魔動列車の技術者の一人がおそらくまだ避難していないと思うんです。その人も連れてはいけないでしょうか。」


 「もちろん大丈夫ですよ。ではその方のいる場所まで案内してもらえますか?」


 「ありがとうございます!偏屈な年寄りですが、技術者としては間違いなく一流なものでできれば避難してもらいたかったんです!列車内にある技術者用の作業場にいるはずなので、すぐに案内します!」


 「ええ、お願いします。」


 「作業場なのですが、あまり広い場所ではないんです。だから私とローレルさんの二人で向かって他の皆さんはこの子達と一緒にここで待っていていただけるとありがたいのですが、どうでしょうか?」


 「わかりました。ただあまり時間はかけないようお願いします。敵がどの位いるのかはっきりとはわかりませんし、いつ列車に敵の増援が来るかもわからないので、さてそれじゃあ前方は私とベル、後方はアグネアとレティシアで守ります。異論はありますか?」


 「「「大丈夫」」」


 おお、話がスムーズに決まっていく、レーンさん頼りになるなあ

 ほかの3人も気合十分みたいだしこれなら大丈夫かな

 それじゃちゃっちゃと向かおう

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