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死なない私の物語  作者: 蜻蛉
3/8

魔動列車にて ー出会いー

 ・・・あれ?

 近づく4つの気配、敵の仲間かと思ったけど、この気配は同じ列車の中にいた人のだ。

 つまり!まともな人のはず!

 いやーやっと出会ってすぐ戦闘にならない人と会えそう

 そう結論を出し、私は気配のほうへ向かった。

 

 ほどなく気配の主たちと出会ったのだが、これは・・・


 (全員可愛いじゃない!)


 危うく声を上げるところだった。

 薄い青髪の子と赤髪の背の大きなエルフ、金髪の獣人に私と同じ銀髪の子、

 全員可愛いとはこれは大変に運がいい是非とも仲良くなりたいとりあえず挨拶しなきゃ


 「こんばんは、今日は星の綺麗ないい夜ですね。」


 さっきより気持ちを込めて挨拶をする。

 さっきは自称黒騎士の変な人だったが、今度はまともな人達だろう。

 浮かれる気持ちを押しとどめ、反応を待つ。


 (・・・あれ?)


 おかしい、警戒されている。

 挨拶はおかしくないはず、なぜだ、警戒されるようなことは何もしていないのに

 私が混乱していると、薄い青髪の子が話しかけてきた。


 「こんばんは、ところで貴方は列車にいた方でしょうか?」


 「はい、皆様と同じ列車に乗っていました。名前はローレルと言います。良ければ皆様の名前をお伺いしても?」


 よし、自然な流れで質問の回答に自己紹介も付け加えることができた。

 そして、自己紹介の流れを作ることで、この子達の名前も知ることができる。

 素晴らしいぞ私!頑張ってるぞ私!テンション上がってきた!

 と思っていたのだが、様子がおかしい。


 (なんでさらに警戒されてるの・・・)


 訳が分からない

 受け答えはおかしくなかったと思うんだけど、何かが足りなかった?逆に変なことを言ったか?

 考えていると今度は赤髪の子から質問が来た。


 「ローレルさんだね、よろしく。一つ聞きたいのだけれど、その服についている血はどうしたのかな?」


 血?ああ自称黒騎士の人に斬られた時のものか、もしかして血を見て怪我をしていると心配してくれたのかな?

 なるほど、怪我をさせた人が近くにいるかもと思ったから警戒しているのか、納得。

 

 「ああ、この血に関しては問題ありませんよ、もう治っているので。それにこの血を流させた人はもういないので安心していいですよ。」


 「血がついているところを見る限り、致命傷になっている場所のように見えるのだけれど、本当に君の血なのかい?」


 「はい、胸を貫かれ、右腕を斬られ、肩口から斬られました。傷の治りやすい体質なので、もう治っていますよ。大丈夫です。」


 「それなら君に「貴方もアンデッドなのですか!」


 急に銀髪の子が話しかけてきた。

 ん?貴方も?この子血色悪いのかと思ってたらアンデッドだったのか。

 申し訳ないな、勘違いさせちゃったか


 「ごめんなさい、私は人間なんです。本当に傷が治りやすいだけで、アンデッドではないんです。」


 「え・・・そうなのですか・・・」


 露骨に落ち込んじゃった。

 まともなアンデッドって少ないのかな?

 仲間だと思ってたら違ってたというのはちょっと可哀そうかも、悪いことしちゃったかな


 「おや、君はアンデッドだったのか」


 「あ・・はい、ヴァンパイアです。ごめんなさい、騙すつもりはなかったんです・・・」


 ん?仲間にも話してなかったことなのか、

 嫌われることを怖がってるみたい、なおのこと申し訳ないことをしたな


 「すまない、責めるような言い方になってしまったかな。私だってエルフだ。アンデッドだからどうこう言うつもりはないさ」


 「そうね、夜目が利いたり妙に打たれ強かったりしていたので人ではないと思っていましたが、アンデッドだからと言って貴方が乗客のために立ち上がった事実は変わりません。もちろん、それによってあなたが得た私たちの信頼も」


 「そうだよ、レティシアからは何度も助けてもらったし、嫌な気配とかも全然しないし、今更アンデッドだからと言って目くじら立てたりしないって」


 3人が次々に慰める。

 よかった、問題が起こったとも思ったけど大丈夫みたい。

 私が原因みたいなところあるし、私も声をかけておこう


 「貴方の考え、行動は貴方のものですよ。ヴァンパイアがどうこうではなく、貴方のものです。彼女たちもそれをわかっているから種族ではなく、貴方自身を見て信を置けると思ったのでしょう。」


 「みんな・・ありがとう・・・ローレルさんもありがとうございます・・・」


 あらら、泣いちゃった。

 よっぽど仲間に拒絶されるのが怖かったみたいね、そうならなくて本当に良かった。

 そう思い、ひそかに感動していると、また赤髪の子が話しかけてきた。


 「ええと、話を戻すけど、君にその怪我を負わせた人物はもういないということはどこかに行ったのかな?」


 「はい、先ほど戦っていたのですが、とどめを刺す前に逃げられました。」


 「なるほど、ふうむ、どうしたものか」


 何か考え始めたぞ。

 あれ?私まだ警戒されてるんだ。なんで?


 「質問を変えます、その剣はあなたのものですか?」


 次は薄い青髪の子から質問が飛んできた。

 なんで警戒されてるのかはわからないけど、少しでも警戒を解いてもらうために正直に答えよう。


 「いいえ、この剣は先ほど戦っていた方から奪ったものです。」


 「奪った?」


 「はい、素手では少々固めの鎧を身にまとっていたので、剣を奪って鎧ごと斬りました。」


 「その戦っていた人の特徴などはありますか?」


 「かなり剣術に精通した方でした。あとは、自己紹介をする際に自分は黒騎士だと言う少し変な方でしたね。」

 

 「黒騎士ですか?」


 「はい」 


 少し驚いたように聞き返してきた。

 え?なに?あの人有名人だったの?

 まあいいか、それよりそろそろ私も行動を起こしたいところかな

 出来ればこの子たちと一緒にいたいけど、警戒されてるし

 とりあえず今後について聞くかな


 「こちらからも聞きたいのですが、皆様はこれからどうするおつもりですか?」


 「どう、とは?」


 「列車内に留まる、あるいは人の多いところに向かう、そういった方針はあるのですか?」 


 「そうですね、私たちは列車の先に向かう予定です。そこに列車の従業員や乗客達がいるはずなので」 

 

 「列車の外からですか、それとも列車の中を経由してですか?」

 

 「外からを予定していますが、なぜですか?」


 「私は列車内を経由して向かおうと思っていたので、そちらはどうかと思いまして」


 「なぜ列車内に?」


 「人の気配がするからです。列車を止めた敵の一味なら倒し、乗客なら保護しようと思っていますので」


 残念、別行動になっちゃうか

 まあしょうがない、人の多いところまでいけばまた会えるだろうし少し我慢するか

 人助けはきっといいことに含まれるはずだし、そっち優先にした方がいいよね?


 「残念ですが、ここでお別れですね、私は一旦自分がいた場所まで戻って準備してから列車内を見て回ります。皆様もどうかお気を付けて」


 4人組と別れ、列車のドアを開けて中に入る。

 とりあえず準備という名の着替えをしよう。

 さっきも指摘されたけど血だらけの服を着たままだと保護する人にも警戒されちゃうからね

 もう少し話していたかったが、しょうがない

 よし、向かおう


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