薬草採取とゴブリン
拙い文やけどよろしゅうな
今日は天気が良く薬草採取にはうってつけの日だ。
僕は薬草採取のクエストを受けるためにギルドに向かっていた。
ギルドは街の中央にあり街の領主様の家の次に大きいので迷うことは無い、建物自体も最近になって改修されたのでほかの建物より綺麗になっている。
街の中央ということもありギルドには色んな人が入っていく。
今からクエストに行く人、ギルドに依頼をしに来た人、ギルドの端にある酒場で飲み潰れた人、今から飲み始めた人もいる。
でも、建物に入った僕に向けられる視線は落ちこぼれを見る目か可哀想な子を見る視線だった。
なぜ僕がそんな目で見られるのか。
それは僕はステータスがすべてFの落ちこぼれだからだ。
ステータスはこの世の全てだ...
個人差はあるがだいたい12歳前後に不意に声が聞こえてきて自分のステータスが見られるようになる。
ステータスは攻撃力、防御力、知力、素早さ、運の5つの項目に分けられている。
能力値はA~FまでありFが最低値でAが最高値となる。
そして一度授けられたステータスは特殊な例を除き上がったり下がったりすることは無い。
僕のステータスは全てFなので、そこら辺に出てくる魔物にすら負けてしまいかねないのだから憐まれたりしても仕方がない。
「すみません薬草採取の依頼は空いていますか?」
「おはようございます。ルインさん。
問題ありません、今日もお気をつけてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
薬草採取の仕事は基本的に新人の冒険者が受けるクエストだ。
安価ではあるけど僕が受けられるクエストの中では危険が少ないクエストなので文句は言えない。
―――草原―――
薬草採取の依頼は薬草の群生地さえ見つけてしまえばすぐに終わる。
水の近くの木陰に生えてることが多いのでそういったところを探す。
今日も太陽が登りきる頃には規定数は集まっていた。
そのあとは毎日夕方までここで素振りをしている。
ステータスは成長しないが技術が身につけば少しは強くなれると信じて毎日やるようにしている。
素振りをしていると遠くにゴブリンが1匹森から出てくるところを見つけた。
よし、今日はあのゴブリンをたおそう。
ゴブリンはここらの魔物の中ではいちばん弱いし数も1匹だけだ、Fランクの僕でも勝てるだろう。
実際何度か倒したことはあるので問題ない!と思いたい。
「ギギャ?」
ちょうどゴブリンの方も僕に気づいたみたいだ、警戒しつつではあるが少しずつ近ずいてくる。
僕もゴブリンの方に近ずいて行く。
両者の距離が10メートルくらいになった時にゴブリンの方が大きく動いた!
ゴブリンは右手にもった錆びた剣を引きずりながら走り出し急速に距離を詰めてくる。
近づいてきたゴブリンに合わせて剣を振る!
一合、二合と打ち合ったがゴブリンは僕の攻撃を受け止め、打ち返してくる。
やっぱり雑魚のゴブリンと言ってもステータスが全てFの僕には強敵だ。気を引き締めていかなければやられてしまうかもしれない...
何度か剣を交えたことでだいたい相手の強さが分かった。
スピードは相手の方が早いが対応できる。
パワーは僕の方が若干強いがそれだけで押し切れるほどじゃない。
おそらくステータス的には相手のゴブリンと僕はあまり変わらないのだろう。
しかしゴブリンの方だけ傷が増えていた。
僕が毎日努力して得た剣を扱う技術の差が結果として現れたのだ。
しかし差は小さく何度も危ない場面はあったのだが...
まあ、結論から言うと僕はゴブリンに勝つことができた。
「...はあ」
怪我こそなかったが、結局ゴブリンを倒すのに時間がかかってしまったので、そろそろ帰らなければ暗くなってしまう。暗くなればスケルトンなどの夜行性の魔物が現れてしまうので今の僕が歩くにはとても危ない。
それにもう体も疲れてしまったので素振りをする気力も残っていない。
「帰ろう」
街に向かって歩き出した。