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毎度僕は3人のギャルに囲まれてます~カツアゲじゃなくて単に仲良いだけだけど~

作者: 佐古昭博

短編です。

 僕は福井優作、高校二年生。学校でもあまり目立つタイプじゃなく、本を読んだりと静かに暮らしている眼鏡男子だ。そして学校には色んな人達がいる。スポーツ系、真面目系、清楚系、目立ちがり系、そしてギャル系だ。みんな僕とは別世界にいるようだ。しかし、そんな僕にはこの生徒達の中で意外な接点の子がいる。それは……、


「ういー」

「あ、かすみ。おはーっ」

「昨日、タピった?」

「ゆみ、もうそれ古い~ww」


 そう実はギャル系と接点があるのだ。特にさっきクラスに入って来た速水かすみとだ。かすみはうちのクラスのギャル系のリーダー格で胸元はひらけ、スカートはかなりぎりぎりのミニスカートを履いており、そしてダボッとした白の靴下で、髪は校則すれすれの薄い金色に染めている。彼女の友達も個性を出しつつよく似た格好をしている。そして彼女らも顔面偏差値は高い。

 なぜそんなギャルと見知った仲なのか。高校で出会ってればおそらく知り合ってなかっただろう。それはやはり彼女と僕は幼馴染みだからだ。小学校からの仲で元々かすみは可愛らしい優等生だった。しかし次第にギャル化した。

 そんな彼女と僕は学校での世界が違うからかお互いに話さない。しかし一歩学校の外に出ると、


「優作~~ww」


 とてつもなく甘えに来る。むにっと柔らかいものが腕に当たる。


「ちょっ、かすみっ。近いっ」

「何~? 近かったら駄目なの~?」

「いや、そうじゃないけどさ」

「じゃあ、いいじゃ~んw」


彼女は胸を押し付けながら、腕を組んで一緒に帰る。こんな地味な僕と陽キャの塊のようなギャルと一緒に仲良く歩くのは傍から見たら不釣り合いだろう。しかしこんな可愛いギャルの幼馴染みと一緒に帰れるのはやはり嬉しいものだ。


「……作、優作ってばっ!」

「え!?」

「話訊いてる?」

「え? あぁ、訊いてるよっ」

「それでね、この前由加が美味しいクレープ屋さんを見つけたそうなの」

「お、そうなのか?」

「それでね、この土曜日一緒に行こーよ」

「分かった」


 ということで土曜日デートに行くことになりました。

 そして土曜日、彼女と待ち合わせしてその噂のクレープ屋に行く。そしてその場所に来た彼女はグラサンをして前に文字の入ったTシャツに尻が見える手前のジーパン生地のパンツを穿いている。


「お前、ズボン短くないか?」

「最近のトレンドよ」


 そうなのか? 僕には分からない。そして、クレープ屋に着いた。長蛇の列になっていた。


「うわー、めっちゃ並んでる~」

「20分くらいかかりそうだ。どうする?」

「並ぶに決まってんじゃん!」


 まじか。この列を並ぶのか……。そう思っていると、


「話せばあっという間よ!」


 そう彼女が言うので最前列に着くまでしばらく話しながら待っていると、


「かすみ?」


 という声が列の外から聞こえてきた。僕はギクッとして見ると、確かかすみの友達の子だった。


「ゆみじゃん! どうしたの?」

「由加に連れられてこのクレープ屋さんに来たの。かすみも誘ったのに断ったじゃない」

「あ、そう言えば今日だったわね……」


 おい、これってまさか……。


「かすみ……ふ、福山君と仲良さそうだけど、もしかして知り合い?」

「あ、いや、その~」


 かすみには言ってあるのだが、一緒にいるのを見られた場合、知り合いじゃない風に装う様にしようと。彼女は嫌がったが、棲み分けた方がお互いの為だと僕が言って渋々承諾させている。しかしまずいところを見られた。普通に話している所はまずい……、というか名前間違えるな! 福山じゃなくて、福井だ!!


「偶々クラスで見たことある男子を会ったから。偶々話してみただけよっ」


 かすみは苦し紛れにこう言った。


「そ、そうよねーっ。こんなクラスの地味な男子とかすみが仲良いなんてあり得ないよねー」

「ほんとそれ。陰キャの代表みたいな福岡君とねーww」

「……」


 僕は黙って彼女達が僕を卑下する言葉を聞いていた。やはり周りから見ると、かすみといるのは不釣り合いに感じるか。分かってはいたが、周りからいざそう言われると、僕はしょぼくれた。そしてふと隣を見るとかすみが震えていた。おい、まさか……。


「優作と話したことないくせに勝手なこと言うなっ!!」


 かすみは二人に向かって叫んで、キーンと声が響いた。うるさいっ!!

 彼女達は驚いて呆然としていた。


「優作は小学校からの付き合いよ!! ゆみやゆかよりもずっと長いの!! 見た目で判断して嫌ごと言うあんた達より優作との方がずっと仲良いわっ!!」


 かすみは二人に怒りいきに説教した。


「……お客さん、クレープは?」


 もう最前列に来ていた。


「あ、チョコバナナで。()()は?」

「僕もチョコバナナで……」

「わ、私達……」

「ちゃんと列に並びなさい!!」

「ふぁ~い……」


 僕達はクレープを食べながら、彼女達を待った。そしてかすみは彼女達に僕達の関係を説明をした。


「ごめんなさい」

「ごめんなさい」


 二人は僕に謝ってくれた。しかしどちらかというと、彼女達がかすみと離れたくないからという感じはしたが。


「優作はとっても魅力的な男子なの。あーしの大切な人を悪口言われたら腹立つわよっ。あんた達もそうでしょ?」


 二人はともに頷いた。そしてそれからというもの、かすみは彼女達を一緒に連れて僕と帰るようになった。最初は彼女達は不安そうな顔をしていたが、段々慣れてきて普通に砕けた話までするようになった。


「でさ~、由香がさー」

「それ言ったら由美だってーっ」

「優作はどう思う?」

「僕?」


 そう仲良くがやがや話していると、由香ちゃんが、


「そうだっ。これから優くんって呼ばない?」

「いいじゃん! 呼びやすいしさんせー。かすみも良いでしょ?」

「う、うん……」


 そしてこれから僕は二人から優くんと呼ばれるようになった。

 それからというもの放課後は4人で行動をともにするようになった。コンビニや公園で僕を中心に3人が囲みながら立って話をする。学校ではそんな感じしないが、4人でいる時なぜかかすみは少し静なように感じる。

 そしてある日のこと。偶々珍しくかすみと二人で帰っていると、


「何か言いたいことでもあるのか?」

「え?」

「最近、4人でいる時静かな感じがあるから」

「……」

「何かかすみに嫌なことして……」

「そんなんじゃないわ」


 彼女はすぐ首を振る。


「だったら」

「それは……」


 しばらく黙っていたが、意を決したようにして言った。


「最初は優作のこと二人に知ってもらうつもりで呼んだけど、まさかここまで仲良くなるとは思ってなくて……」

「それで」

「それに優くんなんて、馴れ馴れしいしもう」

「あはは……」


 それで機嫌が悪かったのか。彼女はむくれていると僕は言う。


「一番仲が良いのはなんてったってかすみだよっ」

「優作……」


 僕達は笑いながら家に帰った。

 そしてある日のこと。昼休みにクラスで珍しくかすみに呼ばれて付いて行くと人気(ひとけ)のない場所に由美ちゃんと由香ちゃんが待っていた。


「あーし達と一緒に弁当食べよ♪」

「え? でも……」

「バレないわよ。大丈夫♪」


 確かにそうだなと思い直し4人で仲良く食べていると、


「優作のウィンナーもーらいっ」

「あ、それは僕の……」

「こらっ!」


 と叫ぶ声が聞こえた。見ると、うちのクラスの委員長の柏木さんが仁王立ちしていた。まずい、見られたと思ったが、


「福井君をカツアゲするのは止めなさい!」


 という内容だった。え? まぁ確かに僕の弁当の具を取られたが、そこまでは……、


「あーし達は別に……」

「貴女達のような不良と福井君が相容れる訳ないでしょ!?」

「あ? 何ですって!?」


 由美ちゃんがキレた。一触即発だ。一体どうしたら……と僕はおろおろしていると、


「待ちなさい!」

「……かすみ?」

「行きましょ……」

「え? でもかすみ……」

「良いからっ!」


 そして彼女は怒っている二人を制止して連れて行った。


「大丈夫だった福井君? お金とか取られてない?」

「え? あ、大丈夫……」


 ウィンナーは取られたけど。


「良かった~。速水さんに連れて行かれた時何かされるんじゃないかと思って」

「あはは……」

「やはり来てみて正解だったわね」

「ん?」

「もしまたギャル達に絡まれたら私に連絡してっ」

「え?」

「そしたら私が福井君を助けてあげる!」

「ゑ?」

「私がクラス委員長として福井君をもうカツアゲされないように彼女達から守ってあげるわ!!」

「えーー!?」


 これは何か、波乱な予感がする……。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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