第9話 〜はへ? って言うやつは意識してる〜
「すいっっませんっっっっ!? 怪我はっっしてないっっですかっっ!?」
「………………かわいい」
見惚れてしまった、思わず声が出たというのはこういうことなのかと分かった気がする。
俺は彼を見つめてしまっている、こんなに近くで見た彼の顔を俺の目が離さない。
それと同時に可愛いという気持ちが心を埋めつくし、怖いぐらい俺の心臓は高鳴っている。
彼をどれだけ見つめていたいと思ったか、これは運命なのか? 俺と君を繋げる最初の道なのか?
「あっっのっっ!? だいっっじょうぶっっですかっ!?」
なにも言わない俺に更に心配したのか朱雨は俺の視界に手を振り、生きてますかっという合図をする。
俺はそのお陰で現実に戻ることができたが、俺の心臓の高鳴りは収まることは知らない。
「大丈夫です! こちらこそすいません、急に前に出てきて」
「こちらっっっこそっっすいっっませんっっ!?」
俺が頭を下げると更に深く朱雨は頭を下げる。いや、その謙虚さ100万点ですよ!?
「「………………」」
いつもなら率先して話す側の俺が……好きな人の前だとこんなにも頭が回らない。こんなに急に会うとは思わなかった……いつもは目で追う存在だった、話すのはいつになるのかきっかけをいつも探していたが……俺の馬鹿野郎!
もっと早く、会話の種を考えておくべきだった!?
「あっっ……失礼しますっっっ!?」
お、あ!? 無言が続き、朱雨が行ってしまう!? そんなことを俺が許すわけながない! 千載一遇のチャンス!
これを逃したら後がある訳がない!
「あっ! ちょっと待って!」
俺の横を通り過ぎようとした彼の腕を思わず握る。
言うことは1つ、喋ることも1つ! これ以外の言葉は必要ない。これを言えば可能性は導き出せるはずだ!
「友達になりませんか!?」
「はへ?」
俺の返答にはへ? は可愛いすぎやろぉぉぉぉぉぉ!?
◇◇◇◇◇
意味不明、理解不能。この二つの言葉が俺の頭の中で居座っている。
「朱雨って食べ物で何が好きなんだ?」
「なんっっっでもっっ食べれっっますっっ!?」
「へぇ〜、そうなんだ。俺と一緒じゃん!」
だが、この理解不能の中でも俺の心は弾んでいる。なんたって向こうから友達になろうと言われたんだ。
そんなことを言われるのは初めてだ、だから物凄く嬉しい。陰キャの俺で、パンツを盗んだという冤罪をかけられた俺に友達なんて出来るはずがないと思っていた。
しかも、花火くんは俺より圧倒的に身長が高くて、茶髪の短髪髪の毛に、細身っぽいのしっかりとしている体格。
もう、どこをとってもイケメンな人が俺と友達になろう言われるとは!?
「朱雨さ、今日一緒に帰らねぇか?」
そんな時に友達が出来て、しかもめちゃくちゃ陽キャそうな人だし! しかもしかも、一緒に帰るというめちゃくちゃいいことを言われた!
こんなの断る理由がないよ!
「はひっっっっ!」
「おっしゃ! 帰り、教室行くからな」
ブックマークとか頂いたら犬三郎ってやつは喜びます。
例えるなら自分の顔を鏡で見たらあれ? イケメンやん……あ、ブスだったわって1人で笑う時のような
まあそんなことはどうでもいい
23時頃にも投稿させていただきます。