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教室で寝て起きたら好きな人のパンツがありました   作者: 犬三郎
恋愛頭脳戦1試合目 〜美少女とのデート〜
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第6話 〜この兄妹何者なんですん?〜

 俺はある病院の中のある病室に入る。


「兄ちゃん、見舞いに来たぞー」


「朱雨、よく来たね」


 出迎えてくれたのは真宮紅葉(まみやこうよう)、俺の兄だ。薬の影響で髪は無いが、スキンヘッドでも充分イケメンな俺の兄。


 兄はこの県で1位、2位を争うほど大きい病院に入院していて、結構重い病気を患っているが俺が病室に入ると笑顔で迎えてくれる兄ちゃんに俺は毎回、心から嬉しいと思ってしまう。


 兄は上半身を起き上がらそうと少し力を入れたように見えたが、それを諦めたのを直ぐに理解する。

 それを知った俺は兄の近くに寄り、兄に手を貸す。


「ありがとう、流石は僕の弟だ。気遣いができて優しいイケメンだ」


「あははは、兄ちゃんには適わないよ」


「はは、そんなことを言ってくれたら兄としては嬉しいね」


 俺は兄のベット近くの椅子に座ると、兄ちゃんはワクワクしたような顔で、笑いながら——


「さて、僕のおてんばの弟は今日、何を話してくれるのかな?」


 俺は大きく息を吸い、今日のことをできるだけ長く濃密に話すことにした。



 ◇◇◇◇◇



「デートにさそわれたって、あの朱雨が?」


 兄は「あはははは!」っと声を出して笑う。それほど、俺がデートに誘われるのが意外だったのだろうけど……まあ、それは俺も驚いてるけど俺ってそんな風に見えてのか!?


「それで、朱雨は夏さんとほぼ初めて今日、喋ったばっかなのに雨さんっていう人とデート行くって、僕の弟も成長したよ」


 まるで俺が女たらしのように喋ってくるけど、ちょっとからかっているのが分かる。

 それが図星なんだから……ちょっと悔しいけど。


「だってあんな目で見られたら断れないだろ」


「だけど、好きな人がいてもデートぐらいしてもいいよ。だって、それが男の浪漫だろ?」


「それはただのうつつを抜かしてるだけだろ?」


「そうとも言うけどね」


 笑いが収まり、俺は尊敬出来る兄だからこそ相談をすることがある。


「デートって……何をするんだ?」


 真剣な俺の顔つきで、兄は「簡単だよ」と言う。


「朱雨が好きなことをするんだよ」


 ————ガラガラッッッ


 俺と兄が談笑をしている時、病室のドアが開いた音がした。病室のドアは俺の背後にあり、俺を見ている兄は誰が入ってきたかを知り、微笑しながら喋る。


 それを見ただけで誰が入ってきたか分かった。


(ゆき)ちょうどいい時に来たね」


「丁度いいとはどういう事でしょうか?」


 雪は俺の横を素通りし、兄の横にある物置棚の花瓶から花をとり、雪が持ってきた花を入れ替える。


「その花はなんていう花なんだ?」


「これはアネモネというお花ですよ」


 真宮雪(まみやゆき)兄と俺の妹だ。雪という名前に負けず劣らずの白い髪に白い目。今は小学校6年生、俺と同じで毎日兄の見舞いをしている。


「今、朱雨がデートに誘われたって話をしていてね」


 兄の話を聞いた雪は持ってた花瓶に力を入れたのか、ピキっ! という音が病室に響く。


「デート? もちろん、朱雨お兄ちゃんはお断りましたよね?」


「いいや、断ってないようだよ」


 ————ピキピキピキッッッッッ


「だけど、断るんだよね朱雨」


「うん、まぁ断る予定だけど」


「………………そうですか、まぁ私には関係ないですが」


 兄と俺の言葉を最後に、ピキピキピキという音はなくなった。

 兄は笑いを堪えるような仕草をしているが、俺には何が面白いか分からない。

 危うく花瓶が割れるところだったのに。


「やっぱり、我が家の兄妹は最高だ。こんなに楽しいなら長生きする甲斐があるね」



 ◇◇◇◇◇



「そろそろ帰らないといけない時間だな」


「あ、もうこんな時間か……。楽しい時間は過ぎるのが早いね」


「そうですね。母さんもご飯を作って待ってるので早く帰りますか」


 俺と雪は椅子から立ち上がり、病室のドアに手をかけた。


「じゃ、兄ちゃんまた明日」


「うん、また待ってるよ」


 俺は病室から出て。ドアが閉まって後ろを見ると雪の姿が見えなかった。なにか兄と話しているのだろうと10秒間ぐらい待つと病室から雪が出てきた。


「何を喋ってたんだ?」


「勉強を怠らないようにとかそういうこととかでしたよ」


「そうか……なんか怪しいけどな」


「ふふふっ、まあお兄ちゃんには内緒話です」



 ◇◇◇◇◇



「雪」


 雪は紅葉に呼ばれ、足を止め、紅葉へ振り返る。紅葉は笑ってはいるが、やっぱり私の考えていることを理解していると思っているが——


「なんですか、兄さん」


「あんまり、お痛しては駄目だよ」


 心の通った強い声色に、雪は「ふふふっ」っと笑い——


「大丈夫ですよ、ほどほどにやります」


 それを最後に雪は病室を出た。


「ほどほどにやりますか……か」


 紅葉(こうよう)は弟達が去ったドアを見て想像する、この先の展開を。


「楽しいな、家族ってやつは」

いや、今日の1時に投稿予約してたのに明日の1時に投稿予約する馬鹿なやつ……ってもしかして……俺?

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