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教室で寝て起きたら好きな人のパンツがありました   作者: 犬三郎
恋愛頭脳性2試合目 〜失恋をさせろ!〜
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第31話 〜勘違いの連続〜

「今日は朱雨が一緒に下校できないって言ったから三原さんとは一緒に帰らないと思ってたよ」


 この日、朱雨くんが居ないことをいいことに花火くんと一緒に帰ることにした。

 理由は簡単だ、今日花火くんが私たちと一緒にご飯を食べなかったことに疑問を感じたからだ。

 だってそうでしょ? 私が好きならば朱雨くんとちょっと………………………………ラブ……ラブしていたら燃え上がるものでしょう?


「少し話したいことがあったので……。それと三原さんというのは止めてください。もう友達でしょう? 雨ちゃんか雨と呼んでください」


「いや、だって雨とか呼んだら他の奴らから殺されそうな気がしてたまらないだけど」


「でも朱雨くんは雨さんと呼んでくれますよ」


「朱雨はそこん所は気にしないから凄いと思ってるよ」


「それは私も同意です」


 少しぎこちない会話が終わり、また静寂が訪れる。


 三原……雨と会話をするといつもこうだ。俺だって恋のライバルだからといって壁を作ってるけど雨も何か、相当な壁を作ってる気がする。

 だけど、何故か最近は壁というものが薄く感じる。うーーん、俺と雨は恋のライバルのはずなのだが、最近は妙に俺に近づいてくる。

 まるで、俺を落とそうとしてくるような。それがどういう心境の変化なのか? 俺にもしかしたら朱雨を落とす作戦を教えてくれているのか? それがライバルってものなのか!?


「それでどうしたんだ今日は?」


 静寂に耐えれなくなった俺は思わず今の要件を聞こうとする。もしかしたら、重要なことかも知らないし話を聞くのは当然だが……なにやら雨は5秒間ぐらい無言になって、神妙な顔で問いてくる。


「花火くんは朱雨くんのことどう思っているんですか?」


 いきなり言われた朱雨のこと……。


 これは……恋敵(ライバル)としての探り合い、いいや心理戦に持ち込もうとしているのか?

 それなら負けるわけがあらず! 朱雨のことをどう思ってるかだって? これは俺の本当の気持ちを言うしかないな。雨には悪いけど……俺はこの勝負……勝てる見込みしかねぇ!


「好きだよ、めちゃくちゃ好きだよ。むしろずっと居たいとまで思ってる」


 おいおい!? なんだよこいつ!? そんなに朱雨の事が好きなのかよ!? むしろずっと居たい? なんだよそれ……そんなのめちゃくちゃ好きってことじゃねえか!?

 ……いや、落ち着くのよ私。冷静を取り戻しなさい。こんなの嘘かもしれない……私の気を引こうとしているに違いない。


「私も好きですが……本当に花火くんのそれは本物ですか?」


 やっぱり雨は朱雨の事が好きだったのか、いやそれは分かりきっていたことだからいいのだが、しかしなんだその含みのある言い方は。俺の朱雨への愛が偽物だというのか?

 そんな訳が無い……そんな訳がないのに雨がそんなことを聞いてくるのはどう考えても今朝の俺の心境の変化だろ……だからこいつは……俺の愛が薄いと感じたのか。


「本物だよ。だけどお前と朱雨の仲が発展しているところを見て少し落ち込んだし、分かんねぇけど無性に腹がたった」


 落ち込んで、無性に腹がたっただと!? そんなことをそんな悲しそうな目で言ったら本物の友情じゃねぇか!?

 いや、再度落ちつくんだ私! これは……嘘? いや、私にこんなに嘘をつける人は居ない。

 そんなことをバレたら好感度が凄い私に嫌われるとは、学校中から嫌われるのと一緒だからだ。

 それを考慮しても、嘘はつけるはずがない……けど、ここはもう一度念押しした方がいいよね。


「落ち込んだ?」


 くっ……嫌な性格してくる……。俺の朱雨への愛をそんなに確かめたいのか、それになんの意味がある?

 それが恋のライバルって奴なのか? そうだったら俺の心の内を全て話してやるよ!


「ああ、俺には出来ないことをして仲良くなったんだろ? それが悔しくて落ち込んで……だけど俺も朱雨ともっと仲良くなりたいだ……たけど男同士じゃ……」


 男同士って……私と朱雨くんの方が仲がいいって気づいて、敢えて距離を置いていたですか!?

 そんな……いいひとにきま———


 ダメだろ私! まだ安心していい時じゃないぞ! 念押しだ、最後の念押しだ!


「そんなに本気だったんですか?」


 ……やっぱり、今日のことで朱雨への愛が雨より下だと思われたのか……ああ、今日は負けたけど、明日は負けねぇ!

 雨がそんなに俺を恋のライバルだと認めて、こんなに俺の恋心を擽るなんて!


「ああ、本気だ! めちゃくちゃ本気だよ!」


 なんだこいつ、こんな本気の目をして……そんなの認めるしかねぇじゃねぇか!

 お前は朱雨くんと仲良くなって良い奴だ!


「それなら安心しました」


「安心した? なにが安心したんだ」


「だって花火くんの気持ちは偽物だとおもっていたから」


「偽物のはずがないだろ、めちゃくちゃ好きだよ」


 なんてこいつは良い奴なんだよ!? やっぱり恋のライバルだと俺を認めてこんないいことを……くそっ!

 燃えてきた! 雨には絶対に負けないぞ! 帰ったら作戦を練る!



 ◇◇◇◇◇



「びっくりしたー、花火の奴って朱雨ことを本当に友達として大事にしてたんだな」


 私は家に帰って一瞬で裏の私を出す。


「それにしてもあんなにマジだったのかよ、私の勘違いかよ」


 私は花火くんはてっきり私の事を好きで、朱雨くんとしょうがなく友達として付き合ってるのかと思った。


 今日の朝、私と朱雨くんの意味ありげな言葉にあからさまに落ち込んでたし、お昼休みも来なかったから心身的にショックを受けていたと思っていたから今日中に振ってやろう思ってた。


 なのに本当に朱雨くんのことを友達として好きだったなんて……


「あいつって物凄く良い奴だったのかよ」



 ◇◇◇◇◇



「はっ! はっ! はっ!」


 苦しい……胸がはち切れそう。花火が三原さんと一緒に歩いてて話を盗み聞きしてたら……凄いことを聞いてしまった。


 三原さんが好きだって、三原さんのことを本気で好きだって。


 三原さんも花火のことを本気で好きって言ってた。


 これって相思相愛? 私が今まで花火を好きだった気持ちはどうすればいいの?

 花火は? 私と付き合うんじゃ……私と結婚するんじゃないの? あんなに仲良かったのは嘘なの?

 私との保育園からの仲はどうなるの? 三原さんに……全部……全部取られちゃうの?


「そんなの……そんなの嫌だよ」


 嫌だ、嫌だ、嫌だ。だけど……花火が幸せになりたいなら、三原さんの事が好きなら……


 分からないよ、分かんないよ。


 私のこの気持ちはどうすればいいの?


「…………花火」

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