第30話 〜致命的なミス〜
「授業は終わりだ、気をつけて帰るように」
6時限目の授業が終わり、もう放課後。私はあいつに話しかけれなかった。
どうすれば話しかけれるのか? いつもはたまたま話しかけれたとか話さざるおえない事があったからだけど、今は違う。
自分から話しかけないという本当に難しい難題を私に向けられている。
今日一日、朱雨のことを考えすぎてなんか不思議な感覚になってしまっている。
あーーーどうしよう!
「なつっっっさんっっ!?」
「え!?」
◇◇◇◇◇
誘ってしまった。雨さん達と帰ることを初めて断り、今日一日中誘おうか迷っていたけど誘ってしまった。
念願の……本当に念願の! デートといえない2人きりのお食事!
今日1日、夏さんをお誘いしようとめちゃくちゃタイミングを伺っていたがさすが夏さん。
休み時間も昼休みも大抵誰かと一緒にいる!
でも、今日は夏さんの親友の百合さんはインフルエンザ欠席! ならば誘うなら今日とか明日とか明後日しなないと思ってたけど、まさか俺にこんな勇気を振り絞ることが出来たなんて!?
凄いぞ俺! やれば出来るんだ俺!
「それで一昨日のお礼にパンケーキを奢るってこと?」
「そうっっでっっっっすっっっっ!?」
俺はこの街のありとあらゆるグルメの場所を記憶しており、雨さん情報で女子高生はパンケーキが好きだと聞いた。
だから俺のパンケーキの秘蔵の場所を教えて夏さんにこの間のお礼をしようと決めたのだ。
しかも、意外の意外! もしかしたら断られると思っていたのだけど、授業が終わり、教室で夏さんを誘ったら快くオーケーしてくれた。
夏さんと横並びになり学校を一緒に出て、パンケーキがある喫茶店へと入り席に座っている。
他の生徒には凄い変な目で見られたけど、夏さんはそんなこと気にせずに俺と歩いてくれた……それがめちゃくちゃ嬉しい!
「あの後、三原さんに会えた?」
優しい声色で聞いてくる夏さんは聞いてくるが、俺と夏さんとで喋っているのが……もう凄いぞ!
「あえっっましったっっっ!?」
「じゃあデートは成功した?」
デートは成功したと言われ俺は体をビクンっ!と震わせる。
俺の頭の中はあ、やばい。やっぱりデートと思われてたんだと混乱してしまうがこれは早急に否定しなくては。
「デートっっっじゃないっっですっっ!?」
「あんなにオシャレしてたのに?」
「ほんっっっとうっっにっちがいまっっすっっ!?」
「ふ〜ん、じゃあ三原さんのこと好きじゃないんだ」
「好きじゃっっなくもっないっっですっけどっっ!?」
「じゃあ、普通ってこと?」
「そうっっでっすっっ!?」
「ふーん、そうなんだ。まあ、別に私には関係ないけど」
「.............」
なんかギスギスした感じがする……。
気のせいかもしれないけど、雨さんとの会話を繋げられるようにはなったけど夏さんとはやっぱり怖い、というよりなにかを言って嫌われることが怖い。
しかもギスギスした感じで、無言になってしまう……
「あんたさ、なんか私の前だと無言になること多くない?」
「ひっっっっ!? そんなこっっとないっですっよっ!?」
「えー、じゃあなんか私に質問してよ」
質問と言われ俺は物凄く頭を回転させる。だけど何も思いつかない、思いつくものがなにもない。
「あっ.......」
なにかを言おうとしたらまた何を言おうか分からなくなってしまった。
「あーーー、そんなに悩まなくていいじゃん。私の好きな食べ物とかそんなんでいいんだから」
「じゃっっあっっ!? 好きなっっ食べっっものっっはっ!?」
「いや、そのまま聞くんかい。うん、まあそういえば私の好きな物ってなんだろ。自分で言っといて分かんなくなっちゃった。強いて言うなら.......甘いもの?」
夏さんは甘いものが好き!? 心と頭に大きく書き込み忘れないようにし、生涯忘れないようにするけど今回のパンケーキめちゃくちゃ好判断だったな。
「あんたは何が好きなの?」
夏さんの質問にまたもや俺は体をビクン! っと震わせ、慌てて答える。
「わたしっっはっっかぞくがっすきっっですっっっ!?」
「家族ってここは好きな食べ物を答えるとこだったでしょ」
「あっっっっすいまっっせんっっ!?」
ちょっと、合間があるけどめちゃくちゃ話せてるし! 夏さんを笑わせられてる! ここで雨さんと花火くんと喋っていた成果が出てきたぞ!
「おーまたせしまーたぁ〜、ふっわふっわパンケーキ あ〜雪のアイスを乗せてでございまーーす!」
「うわ、うまっそ」
いや、こんな美味そうなパンケーキって存在するってぐらい少しの振動で揺れるパンケーキなんだけど……。
私の想像してたパンケーキって薄くて、平べったいやつだけど縦に長くて……え、唾が出るんだけど。
ってか写真撮っとこ。
————パシャッッッッッ
「うん! めちゃくちゃ、よく撮れた! 私って写真のセンスあるー」
ふふふっ、なにこの時間……マジで至福の時なんだけど。こいつと居れて、こんな映える写真撮れて、凄い幸せ……だけど、なんかこいつ何か言いたそうな顔してる。
(写真撮りたい!)
俺はこんなに微笑ましく、している夏さん見て写真を取りたいと思ってしまった……なんて罪深いのだ!
陰キャが撮る写真なんて、クソみたいな価値だろうし……撮ったら夏さんに怒られるだろうし……でも、この時間を思い出にのこ——
「ねぇ、私がさこのパンケーキ持つから写真撮ってよ」
「うえ?」
こいつがなんか言いたそうな顔は腹立つけど、私は写真を撮って欲しいし、こいつとの思い出を残したい……うーー!
恥ずかしいけど、写真撮ってもら——
「あの〜、すみません。写真を撮るのでしたら私が撮ってあげましょうか?」
————ビクッッッッッッッッッッ!
ここの入ってきた時から感じていた玄人みたいな店員さんがめちゃくちゃ空気読んで撮ってくれるってこと!?
ってか、こいつと2人で撮れる状態が作れたんだけど! この店員さん……出来る!
「あ、じゃあ2人一緒に撮ってください」
「あ、はい。分かりましたー」
うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!? こんな夏さんと2人でのツーショを撮ってくれるなんて!? 凄いぞこの店員さん! 天使か!? 恋のキューピットなのか!?
「はい、チーズ」
————カシャッッッッッ!
◇◇◇◇◇
「今日はありがと。それなりには楽しかったよ」
「いっえっっっ!? おかえっしっっしたかったからっっっ!?」
「じゃあね」
「はっっいっっっ!? またっっあしたっっっ!?」
私はあいつに背を向け歩き出した。いや、パンケーキは物凄く美味しかったような気がしたけど緊張しすぎて味をなんも覚えてない。
いや、でも美味かったんだけど。
「ふんふふーん。ふふふっ、あいつと……写真撮っちゃった」
携帯で先程の写真を見て……こいつの顔が私の携帯の中にあるって凄い新鮮で……なんか凄く可愛くてかっこよくて、これを見てるだけで胸がドキドキする。
あの時間は私のすごーい、宝物なったしこの写真もめちゃくちゃ大切に保存しとこ。
あっ———
「…………危なかった」
心臓が飛び出るところだった。あの店員さんのおかげで写真も撮れたし、パンケーキの味なんて分かったもんじゃなかったけど……あんなにはしゃぐんだ夏さんって……。
やっぱり、めちゃくちゃ可愛いし……なんか不思議な感覚がした。
あのパンツの事件で夏さんは凄い怒ってるどころか、なんか俺を許して前よりも好意的な感じがする。
あ、でもなんか下っ端としか見てないような気もするけど……まあそれが当たりなんだろうけど!
「それより! 写真だ写真! 夏さんとの……ツーショット——」
————この写真を渡すという口実でAINE交換すればよかった!?
————写真撮ったの夏さんの携帯だった!?
「「ぐあああぁぁぁー! やらかしたーーー!」」




