第25話 〜恋をしたんだ.......私は〜
「…………来ない」
今は12時。もう待って1時間10分経っている。
なんでこんな時に携帯の充電がないんだ。
「大丈夫かな……雨さん」
もしかしたら何かがあったのではないかと思ってしまっている。
もしも雨さんが交通事故にあっていたら……。誰かに携帯を借りようにも雨さんの携帯の番号を知らない。
……色々の可能性はあるけど
でも、そんなに心配することはないだろう。
「まぁ、もうちょっとで来るか」
◇◇◇◇◇
「来ないですね」
おかしい、ちゃんと待ち合わせ場所に待っているのに朱雨くんが来ない。
いくらメールをしても電話をしても応答はないし。私が待たされるのは初めての体験だ。
もしかしたら、なにか朱雨くんの身になにかがあったのではと考えてしまう。
「お嬢さん、お嬢さん」
「はい? なんですか、おばあさん」
私が携帯を見てると、私の前を通ったはずのおばあさんが引き返し私に話しかけてきた。
「写真撮ってもいいかね?」
「写真ですか? う〜ん、いいですけどネットにはあげないでくださいね」
「こんな老いぼれがSNSとか分からんよ」
「ならいいですよ」
◇◇◇◇◇
「今回も私の勝ちのようですね」
「えええぇぇぇぇ!? なんでぇぇぇぇ!? 私この日のためにすんごい練習したのに!?」
「えー雪ちゃんもうそんなに上達したの? さっきまでは負けっぱなしだったのに」
「このゲームの特性をようやく理解できました。しかも、冬さんは癖があるのでそこをつけば簡単に勝てます」
「…………いやそれマリオカートでしょ? 殆ど運が関係してるんじゃ……」
という言葉は私は飲み込んだ。そんな言葉を言ったら冬がどんな顔をするか。……いやまあ、今も凄んごい顔をしてゲームしてるけど。
だけど、あいつの妹は本当に秀才だ。さっきまで曲がるのもままならなかったのに今では5回連続1位。さっきまで威張り散らかしていた冬は……うん、やっぱり凄んごい顔してるわ。
「夏さんも一緒にやりませんか?」
「うん、やるやる」
◇◇◇◇◇
「勝った! 雪ちゃんに勝ったー!」
「負けた……負けた……?」
あれからマリオカートをやり始め、早3時間。適度の休憩しながらやっていたが、冬が急激な成長をみせ30連勝ぐらいしていた雪ちゃんを倒し、1位に上り詰めた。
「よし! 勝った暁にタピオカ飲みたいーー! お姉ちゃん買ってきてー!」
「えー、い……いいよ。買ってきてあげる」
思わず嫌だと言いそうになったが、今は雪ちゃんが見ている。ここは大人しく買ってきてあげよう。
「雪ちゃんは、何味飲みたい?」
「……すいません。タピオカドリンクは飲んだことがないのですが……あのカエルの卵みたいなやつが美味しいのですか?」
「それ! 雪ちゃん飲んだことないって一昨日言ってたから飲ましてあげたいなって思っていったんだー」
「そうなんですよね、前々から気になってはいたのですが……飲んだことないので何味がいいのか分からないんです」
「うーん、じゃあ私のオススメ買ったげる。ちょっと待っててね」
「はい、ありがとうございます」
雪ちゃんが来ていたから多少化粧をしていたから後は着替えるだけで外出をした。
「う〜ん、いつもなら家の近くのタピオカ屋さん行くけど雪ちゃんが飲んだことないって言うから駅前のタピオカさん行くか」
私は街の中心の少し離れた所に住んでいるが、私の家から徒歩10分ぐらいの所にタピオカ屋さんはあるけども、駅前のタピオカ屋さんの方が美味しい。
少し遠いけどまぁ、いいかと思い歩き始めた。
◇◇◇◇◇
「ごめーん、待った?」
はっ! 雨さん!? 声が聞きえた所を見てみるとそこにはカップルの待ち合わせの場面だった。
「ごめん、渚! ちょっと遅れた」
はっ!? 雨さん!? 声が聞きえた所を見てみるとそこにはカップルの待ち合わせの場面だった。
いやさっきからこんなことしかしてない。声がする方を見て雨さんが来たのではないかと思い見ているが全てがカップルの待ち合わせだ。
少し居心地が悪い待ち合わせ場所だが、本当に雨さんが来ない。
もう今は午後5時。
雨さんを待って6時間。
メールであんなに確認したからこの時間と、この場所っていうのは合ってるだろうけど。
やっぱりなにかあったのだろうか? 帰った方がいいのだろうか?
誰かに頼んで充電器を貸してもらおうか?
でも、その間に雨さんが来て帰ってしまったらどうしようか。
その考えが頭の中でループしている。
「なにやってんのこんなところで」
そんな時、俺の後から声がした。俺は雨さんかと思い後ろをむく。
「ひっっっっ!? なつっさんっっ!?」
「ひっっっ、ていことないでしょ」
一瞬、夏さんの顔を見てしまい俺は咄嗟に下を向く。夏さんの顔は一瞬見ただけでも物凄く可愛くこの6時間の疲れがどっかに飛んでいったような気分になった。
「それでここでなにしてんの? 雪ちゃんからは家に居るって聞いたんだけど」
「いっっやっっっ!? あめっっさんっっっをまってって!?」
「三原さん? こんな時間に待ち合わせして何すんの?」
「あのっっ!? 6時間っっまっててっっっ!?」
「はぁー!? 6時間も待ってんの!?」
「はいっっっっ!?」
夏さんは、はぁ〜とため息をつき携帯を取り出す。何かのアプリを開いて操作をするので俺は何をしているかと思い、携帯を覗こうとしたがそれはプライバシーの関係もあるのですこし目を逸らした。
「あ、あった。4時間前だけど三原さん隣駅の森林公園にいるよ」
「ほんっっとうっですかっっっっ!?」
「うん、本当だよ。早く行ってあげな」
「ありがっっとうっっっございっますっっ!?」
俺は夏さんにお辞儀をして、走り出した。
「はぁ〜、何やってんだろ私」
さっき遠目から見たあいつはいつもの陰キャ感とは別でオシャレでワックスも付けて、物凄くかっこよかった。
でも、あんなに落ち込んで周りをキョロキョロして、心配している。そんな感情をひしめき合っている姿が妙に可愛くて、妙に心配になり、勇気を振り絞って話しかけたら三原さんを待ってるって……
その顔は私に希望を見出してる顔で、その顔に負けてツイッターで三原さんを探して教えてやったら、あんなに安心した顔になって。
あいつから冷えピタを貰って少し安心していたけど全然駄目だった。
あんなにオシャレして、カッコよくして、三原さんを6時間も待ってるなんて好きって事以外なくない?
「でも、恋をしたんだ私は……勝ってやる、三原さんに」
ブックマークとかを頂いたら犬三郎ってやつは喜びます。
例えるなら、うわ〜喉いてぇ……やべぇーよ、風邪ひくよ。この喉薬安そうだけど買ってみるか。
翌日
治ったあああああぁぁぁぁぁぁ!
って時ぐらい喜びます。
ブックマークが!? 3日連続で2個増えた……すげぇ……これが休日パワーか!?
2件増えたのを見た時、私の体は恐怖で鳥肌が立ちましたね。本当にありがとうございます!
さて、今回は朱雨が雨さんの所に行くという話でしたが明日がクライマックスです。
そもそも今日の話は3分割して出そうと思っていたのですがこんなにブックマークが増えたらダメでしょ! と思い、多分この小説の中で1番多い文字数でしょう。
あ、明日もこんぐらいの文字数で投稿します。
明日は雨さんが可愛い日です。自分で書いて読んでたらあー可愛ーとなってしまいました。