黒騎士
「あ~ー、難しいよ!」
「ふふふ、負けたからにはお酒飲ませてよ~ー」
最近騎士もうちに来るようになり、王様はバレないのか不安になるエリザベスだが、王様の変装は中々クオリティーが高いから万一バレても上手く流せると考えた。
「珍しいですねキング」
「やめとくれエリザベス殿、今はサムイで通っておるのじゃから」
「それは失礼を、一杯付き合って頂けませんか?」
「美女からのお誘いとあらば、喜んで」
「マルニーニャ、新作のお酒を!」
「はい、ただいま!」
マルニーニャが水のように透き通った日本酒を陶器のおちょこに入れて、二人の前に出した。
「なんじゃ? 水のようだが………」
「立派なお酒ですよ♪」
「おっ、香りがよいなこの酒は………」
「クイッと飲んでみてください」
王様はちょっとだけ飲んだ。
「なんじゃこりゃ、キリッと辛口だが爽やかな味わい……なんて言う酒じゃね!」
「これは東の島国で作られている日本酒と言う物です」
「今度使者団をださねば………」
王様は真剣な顔に戻ると、エリザベスを見ると「何かあんじゃろ?」と言った。
「そうでございます」
「言うてみ………」
「実は黒騎士の方が良く来るのですが、その方をどうにかしてくれませんか?」
「あの黒騎士か……?」
「はい………」
そう、黒騎士が最近ちょこちょこ来てくれるのだが、悪い噂しか無いため市民から嫌われている。
何故かと言うと「味方を殺した」と言う噂があり、皆からは『味方殺しの騎士』と恐れられている。
「あやつは城でも一人じゃからな………」
「黒騎士の方はなぜ味方殺しを?」
「それは儂が聞くより、本人に聞くべきじゃ」
そう言い残して、王様はエリザベスから新しい酒の味を教えて貰うと上機嫌に帰って行った。
「本人に聞くべきか………」
「マスターも大変ですね………」
「あはは……面倒くさいよ………」
エリザベスは日本酒を飲みきると、自室に戻った。
それから事務作業を進めながら、どう話を切り出すか考えた。
「黒騎士は何を考えているのか……聞くの難しいな………」
そうぼやきながらも作業をしたが、あまり進まないためベッドに向かい横たわった。
少し仮眠と言えども、仕事が気になるエリザベスは黒騎士をどうするか、考えた。
「勇者みたいな変人だったら嫌だし、出禁にしようか………」
その手もあったとと思ったが、昔話を聞いてからでもいいかと、目を閉じた。




