謝罪
王様に続き、雛壇の近くまでやって来たエリザベスとナユミは立ち止まった。王様は雛壇を上がり、会場を見えるように背中を椅子に向けて、椅子の前に立った。
「妃様のおなぁり~ーい」
そう聞こえると、階段から王冠を被り、白の鳥の刺繍がしてある赤黒い生地のドレスを着込んだ妃が背中を定規が入っているかのように、ピーンと伸ばしながら降りて来て、王様と同じように椅子の前に立つと、息があったように二人はほぼ同時に座った。
「そなたがエリザベス殿ですね」
「はい、そうでございます妃様」
「主人が色々とご迷惑をおかけした……申し訳ない」
「いえいえ陛下にはお世話になっております。これからも良き関係を続けたい思いでございます」
「ほほほ、今夜は楽しんでくださいな」
「ありがとうございます妃様」
そう言うやり取りを終えると、隣の騎士が「こちらに」と言いながら席の方に誘導してくれた。
「妃様の目元凄かったですねマスター………」
「まるで鷹に睨まれた感じがしたよ………」
ナユミが騎士に聞こえないように話し掛けて来た為、エリザベスも小声で答えた。
「エリザベス様、妃様は我々騎士からしても誠に怖い方ですよ……実を言うと騎士団長様も怖いだとか………」
「「えっ!?」」
騎士には聞こえていたようで、同意された。
「この話をした事は妃様と騎士団長様には内緒でお願いいたします………」
「わかってますわ」
エリザベスとナユミを席に着かせるために椅子を引いて、二人を座らせると、騎士は「私はこれで」と去って行った。
テーブルには綺麗に並べられたフォークやスプーン、ナイフ、皿が二人ようにセットしてあり、ウェイターが水の入ったワイングラスとシャンパンの入ったワイングラスを持って来た。
「私こんな所初めてで緊張します…!」
「大丈夫よ、いつも通りにしとけば」
「はい………」
実際エリザベスも緊張していたが、前世で高級レストランに行った時のようにすればいいと自分に言い聞かせていた。
「皆の衆、#今宵__こよい__#はよく集まってくれた。 存分に食べられたまえ、あっ、しかしタヌーリ卿は羽目を外し過ぎないようにしたまえ……医者からも注意されとるからな!」
「「「あはは」」」
王様の冗談を会場にいる人々が笑うと、シャンパンが入ったワイングラスを持ち「乾杯」と言うと、王様に続くように皆一斉にワイングラスを掲げた。
~数時間後~
「君がエリザベス殿かな?」
不意に後ろから穏やかなしっとりとした声を掛けられた。
「そうでございますが、男爵様は?」
「これは失敬を……私はエニファ・シュビッツと申します。皆からはエニファと呼ばれております」
「エニファ様は何故私にお声を?」
「ちょっと違う席でお話しませんか?」
「喜んで」
エニファの後にエリザベスとナユミは続いた。
会場の人気のない場所に来ると「エリザベス殿には大変なご迷惑をおかけした………」と謝罪をエニファはした。
エリザベスはナユミにお酒を取りに行かせるとエニファを見た。
「頭を上げてください。 本題はなんですか?」
「本題は暗殺者がいる事を他人に言わない事です」
エニファはさっきまでの穏やかな顔から殺気を放ちそうな得体の知らない冷徹な顔になっていた。
「誰にも言いませんが、雇い主はどうなるのですか?」
「既に身柄を取り押さえ、牢屋に入れておりますがご覧になりますか?」
「いや結構です」
エリザベスが断るとエニファは穏やかな顔に戻り「あなたは面白い方だ」と言った。
「今回の件は誠に申し訳ありませんでした」
「エニファ様も面白い方ですね」
エリザベスはそう言うと「まだあなたが望む本題には入られておられないのでしょ?」と続けざまに言った。
「あなたには隠し事も出来ないのですか……まぁその通りなのですが」
「どうか私に今回使われた兵器をくれないか?でしょ?」
「当たりです。まぁ、答えも知っておりますが」
「多分その答えで当たりです。あなたにあの兵器は渡しません」
「そうでしょうな」
「え~、そうですとも」
エニファとエリザベスはそのやり取りを得る頃にナユミが「エニファ様にも」とワインを二杯持って来ていた為、エリザベスはエニファにも渡し「乾杯」とワイングラスを掲げ、飲んだ。
「では私はこれで……」
エニファはそう言うと去って行った。
「何なんですかあの人?」
「あの人は表舞台では決して踊らない日陰者だよ」
「??」
ナユミはわからないようだが、エリザベスは満足した。
それからエリザベスとナユミは王様の晩餐会を楽しみ、帰路に就いた。




