ライフル作り
04
異世界ってのは本当に存在する。俺が体験しているからそう決まっている。確かアニメや漫画などのサブカルでは定番と決まっている。
まあいいんやけどよ、異世界が存在するのは変わりない。
俺様こと、社畜でド変態の工藤琥太郎は、異世界に転生し、ククルやコルンっと言ったけも耳っ娘や使い魔を拝む事が出来たが、俺は風俗商会の主で、SS級の魔力を持つエルフ族の女になっていた!!本音を言うと嬉しく無い。出来れば生きていた頃のサラリーマン生活に戻りたい。しかしこの生活を楽しまないつもりは無い。そんなこんなで、いつも通りの時刻に起きたつもりだ。
でも、異世界の時刻は知らんがな。
「起きて下さい」
しっとりした声で揺すられる。
「起きて下さい。朝ですよ」
言っておくが起きただけであって、これでもかと言わんばかりの気持ちよさを追求した布団からは出ていない。むしろ出たくない。
「起きて下さい……泣きますよ」
泣かれたら困る。ちょっとイタズラし過ぎたみたいなので、渋々布団から出る事にした。必死で起こそうとしていたのは、コルンだった。
コルンは俺の使い魔らしいんだが、十分成長したFカップ位の胸に黒髪の眼力が凄いメガネっ娘なんだ。
俺の前世の生活だったら、恐らく普通の男達はガン見するだろう。俺もまだサラリーマン生活を送っていた普通の男だったらガン見していただろう。
「よく寝れましたか?」
「ぐっすり寝れたよ」
目を覚ましたらみんながするように、俺は目をこすった。まだ気持ちいい上品な布団に入っていたい。
「やっぱり、異世界のまんまだな」
「昨日の今日ですからね、無理ありません」
確かに昨日の夜頃に転生してきたんだった。
「そう言えば、夢の中で『その書類は君がやれ』とか『ですからこれが、こうなるんです』って言っていましたが、本当によく寝れたんですか?」
確かに昨日は気が遠くなっていって寝ていたが、夢の中ではまだサラリーマン生活を送っていたような。我ながら異世界に転生しても社畜だな……………
いや、病気だな。しかもかなり重症だ。
「もう前世じゃないんです。こっちの生活に慣れて下さい」
そうですよねぇ~。言われるのわかってました。
「今何時?」
「今ですと、5時位でしょうか?」
適当だろうが『5時』は、日の出が出るか出ないからしい。やはり前世とほぼ同じ起床時間だな。社畜サラリーマンの生活習慣恐るべし。
「ありがとさん」
俺はとりあえず、ベッドの上に座った。
「で、コルンはなんで俺を起こした?」
「本日はこの世界を色々知って貰うために早起きして頂きました」
「さいですか」
「ですので着替えて下さい」
「わかっ……てっ!?おい!」
「どうされました?」
「どうされたもこうされたもない!俺は男だぞ!!お・と・こ!!!」
「わかっています。しかし、これもあなたのためです。わかって下さい」
「着るにしてもどうやって着るんだよ!」
「簡単です。ドレスを着るだけなので。」
「簡単って言ってもよ。着た事ないんだよ!!」
「そこからですか?なら、私が手伝って着せます」
「初めからそうしろよ」
「申し訳ありません」
「謝るのはいいから早くして」
「ではまず、パジャマを脱いで下さい」
「こっ、こうか?」
「そうですそうです、では次に下に置いてあるドレスに脚を通して下さい」
ドレスの真ん中に穴があったのでそこに脚を通した。
「出来ましたね?次にパニエを腰の所まで上げて下さい」
「パニエ?なんだそれ?」
「パニエはドレスの内側にあるスカートみたいなものです」
「スカートみたいな?あぁ~これか?」
「それです。それを腰の所まで上げて下さい」
改めて今の俺の姿を見ているが、エレベスト並の乳が凄い。
「こ、これでいいのか?」
「はい。ではドレスを上げて下さい」
今更ながらドレスの胸辺りが凄い事に気付いた。今の俺の胸がデカい為か、乳袋化しているではないか!?
「上げましたね?では最後です」
っと言って、コルンはドレスの後ろ部分。つまり俺の背中でチャックを下から上に上げて、その上からスニーカーの紐の様に編み上げていった。
「出来ましたよ♪」
コルンのしっとりした声を聞いて鏡を見て見ると、黄色の華やかなドレスを着ている美人さんが写っていた。俺は鏡の中の自分に見惚れていた。
「か、可愛い………」
「良かったですねぇ♪」
「で、最初はどこに行く?」
「まずはお店を見学して頂きます」
まぁ、そんなもんやろ。
「わかった。行こう」
「では付いて来て下さい」
コルンが後ろに付いてくるようにとジェスチャーでも伝える。
今までいた部屋から初めて出たが、そこには広い廊下が進んでいた。
05
広い廊下を少し進むと、エレベーターがあった。驚くべきに異世界にエレベーターはあるみたいだ。しかしエレベーターっと言っても、かなり古いエレベーターだった。例えば『ホーンテッド◯◯ション』などに出て来る、「外側の金網の扉を開くと透明な折り戸があり、その透明な戸が動く時に自動的に閉まる」クラシカルなエレベーターだ。
しかしビックリはしない。そもそもこの世界に前世の物があったら魔法なんていらないからだ。
そんな話は置いといて、エレベーターに乗った俺達は1階に着いた。
「こちらでは、受付や指名を受けております」
「なるほど………」
「2階に参ります」
「了解」
………、……………
こんな感じで案内してもらったが、だいたいこうだ。
1階は受付や指名。2階はバー。3階、4階は秘密の部屋(防音魔法をかけてある)。
そして5階が俺の部屋。
地下もあるらしいが、バーの在庫や店の主電源と緊急電源などがあるらしい。
当たり前だが、電気や水道を使えるのは俺達だけらしい。
ククルなどのギャバ嬢達はこの俺の買っているマンションで住んでいるらしい。もちろん電気や水道は使える。
「すると、俺は金持ちなのか?」
っと、コルンに聞いてみた。
コルンは頷き、
「この世界で一番の金持ちでしょう」
っと答えた。
コルンによると、俺は100兆インあるらしい。
ちなみに『イン』とはこの世界の通貨である。例えば我々日本人に馴染み深い『円』みたいなものだ。
「我ながらチート能力があり、金持ちは最強じゃねぇ?」そう思いながら朝の内に案内が終わった。
◯
そんなこんなで暇になった俺は、コルンに聞いた。すると、
「特にないので、町をぶらぶらしますか?」
っと聞かれたので、行くことにした。
町は賑やかだった、中央公園で市場が開かれていたり、ピエロが子供達を笑わしていた。しかし中期ヨーロッパの様なモダンな町風景は綺麗だった。
市場で買い出しをしていると店主から
「今夜も伺います♪」
っと言われたので、ビックリしたが言ってやった。
「楽しみに待ってますわ♪」
ってな。我ながらよく言えた。店主から少しばかり値引きとオマケしてもらった。
まだ夜まで時間があったので、何かあっても良いように武器を作ることにした。魔法で鉄や木材を加工出来る事を知ったので、手動で排莢するボルトアクションライフルを作ることにした。
木製ストックでストックの後方には丸い鉄の金具が嵌め込まれたライフルをイメージしながら、「ホヤハ・フサナギ」と呪文を唱えると完成した。
試射したが問題なかった。これで警備は大丈夫だ。
そんなこんなで、何丁か作っていたら夜になっていたので店に帰った。