突入前
エリザベスは自分を暗殺しようとした暗殺者達のアジトに来たが、赤レンガ作りの『狐店』と言う看板が掛けられた大きな屋敷だが周りが住宅街の為爆破魔法は使えない。中の警備配置は前世から凄腕の元暗殺者だった若者から貰った屋敷内の地図に繊細に書いてあるが、エリザベスの横に立っている人間の20歳くらいの可愛らしい顔つきした目がちょっと鋭い女の子の姿をしたケロベロスと屋敷内に突入しても勝てるかわからない……
「う~ん…… 中では戦闘魔法は使えないかもなぁ……」
見たところ戦闘魔法感知魔法を屋敷内に掛けているいるようであるのは、エリザベスの透視魔法でどんな罠や魔法が掛かっているのがわかったからである。
「マスター、でも確か手榴弾ってのを作ってませんでしたか?」
ケロベロスが言うとおり、エリザベスはライフルを作った少し後に拳1つ分の大きさをした手榴弾に木製のグリップが付いていて、グリップの下にピンがあり、それを引くと約5秒後に爆発するタイプの手榴弾を作っていた。
「確かにそうだけど…… 1つずつ部屋に入れてクリアリングするとしても逃げられるし……」
「では、しばらく待っててください。 店から迅速に対応出来る腕のいい警備員を数人連れて来ます」
「でもライフルを狭い部屋で使える警備員はいないんじゃない?」
ケロベロスの案にエリザベスは質問をした。
「大丈夫です。 私達はこのボルトアクションライフルでもいかなるクエストをもこなせるように、私達警備室の地下に色んな環境を再現した訓練施設を作って、色んな武器での戦闘訓練をしてましたから」
ケロベロス達の警備室は武器庫と仮眠室、警備当直の警備員の私物等を入れる頑丈なロッカー等の設備が分けられてあるが、見た目はちょっと高そうなホテルのような3階建ての大きな造りになっており、警備員達の住居は警備室の上なので、何かあっても当直の警備員だけで対応することはない。
そして警備室の外にある縦に丸い物置小屋の扉を開けると螺旋階段が地下に繋がっている。地下にはマジックアイテムである人工太陽月の太陽タイプで常に明るいが、夜戦をしたいときには人工太陽月を月タイプに「月になりたまえ」と言うと変わる。また逆に「太陽になりたまえ」と言うと太陽タイプになる。
また、訓練施設は主に『森林』『住宅街』『スラム街』『砂漠』の4つがある。
日頃から色んな環境下での訓練をしている為帝国騎士や兵士、ハンターよりかなり強いのである。
「なるほど…… なら問題ないか………」
「ですよね? なら呼んできます!」
「いやその必要はないよ」
「えっ?」
援軍を呼びに行こうとしたケロベロスを止めるとエリザベスは、瞬間移動魔法を使い警備室に翔んだ。
「えっ? 私はどうしたら……」
1人置いてけぼりにされたケロベロスはそう呟くと、とりあえず近くのカフェに入ってコーヒーを1杯だけ頼み、待つことにした……