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18


カーテンの隙間から鬱陶しく、憎たらしい朝日が差していた。


「うぅ…… もう朝?」


そう言いながらも布団から出て、大きなお山を2つ揺らしながらエリザベスは起き上がった。

だが「今6時くらいか…… もうちょい寝ときたいけどもう覚めちゃったし……」と思いつつもベッドに横になろうとしていた。やはり二度寝はどこでもどんな状況でもしてしまうものだろうか。


「あ~、ダメだと思っていても体が~……」


と言ったとたん、横になろうとしていたベッドから起き上がった。


「やっぱり起きたからには起きないとな……」


そう呟きつつもまだ眠いため、目を擦っていた。

ベッドから立ち上がり、黒色の薄い生地で作られたワンピースのパジャマで寝室を後にした。

異世界では珍しいが、この店とキャバ嬢達が住むマンション、警備室などのエリザベスの所有地には電気が通っているためエレベーターが存在し、店の最上階にエリザベスは住んでいるためエレベーターが必須である。

声の高いネズミで有名な映画会社のホラー映画に出てくるエレベーターを想像して頂けると分かりやすいだろう。

それに乗り込み、


「ふわ~、まだ寝ぼけてるわ……」


と言いながら、アホ毛のような寝癖が付いた頭を掻きながらバーの階で降り、調理場に入った。


「さて、飯はどうっすかな……」


エリザベスはそう言うと、異世界では珍しい業務用の冷蔵庫から卵とベーコン2つずつ取り、トマトを1つ取った。パン置き場からは良くハンバーガーに使われるマフィンを2つ取った。

それからフライパンにオリーブ油を引き、暖めた。慣れた手つきで卵1つを割って、小さなボールに入れて、良くかき混ぜた。

フライパンが十分に暖まっている事を確認すると、かき混ぜた卵を火に通した。それからスクランブルエッグにするために箸でパラパラにした。スクランブルエッグをマフィンに挟んだ。その直後にベーコンを二枚焼いた。

ベーコンも焼けると一枚はスクランブルエッグを挟んだマフィンに挟んだ。

もう一枚は、何も挟んでいないマフィンに挟んだ。

次にマフィンより一回り小さい丸い型をフライパンに置くと、その中にもう1つあった卵を割って焼いた。


「こんなもんかなぁ?」


彼女はそう言うと、半熟となった黄身を白身が包むように丸い目玉焼きをベーコンしか挟んでいないマフィンに挟んだ。

そして、両方のマフィンにスライスしたトマトを一枚挟んだ。

必要な分だけスライスされたトマトを彼女は、スライスしたトマトの断面に「マッティング・サデス」と魔法を唱えた。

すると、スライスされたトマトは断面がみるみる内に小さくなっていたが、トマトの大きさもスライスされる前より小さくなっていった。


「これなら大丈夫だろう!」


そう言うとベーコンエッグマフィン二種類と、適当に注いだコーヒーを持って、ガラッとした席がいっぱいあるなか、カウンターに座った。

すると、エレベーターの扉が「ジャカジャカ」と開いた。


「あっ、マスターでしたか…… おはようございます」

「マスターおはようございます」


狼の耳と尻尾をしたここの女性警備員をしているキナシと女性の姿をしたケロベロスのシンナリンがバーに入って来た。


「おはよう♪」


カウンターに座っていたエリザベスは、軽く二人に手を振った。


「二人も何か食べたら?」

「はい、わかりました」

「キナシが食べるのでいい」


シンナリンはそう言うと、エリザベスの右のカウンター席に座った。


「なら、クロワッサンにジャム付けて食べますか♪」

「キナシがそう言うなら……」


シンナリンは恥ずかしそうに顔を赤らめた。

キナシは何事も無いかのようにクロワッサン4つといくつかのジャムを取って来た。

それらをカウンターに置くと、エリザベスの左の席に着いた。


「あの…… 私を挟んで食べなくても良くない!?」


真ん中に座る形になったエリザベスは左右のデレデレ#けも耳警備員__ペット__#達に訴えた。


「いや~、マスターはわたっ、みんなの物ですから~♪」

「そうですそうです! マスターはみんなに好かれてますから!」

「ねっ、今キナシ私って言いかけたよね!? ねっ!」


エリザベスはそう言いながらもコーヒーを気不味そうに飲んだ。

さて、キナシとシンナリンも朝食を食べ終え、紅茶を飲んでいた。


「うん? 二人とも紅茶にジャム入れて飲んでるけど美味しいの?」


紅茶にジャムを入れて飲むのは、エリザベスの前世の世界、つまり私がいる世界でも飲む人は飲む。

昔は一部の軍人が紅茶にジャムを入れて飲んでいた記録が定かではないが、あるようだ。


「騎士の頃は皆がやっていましたが、紅茶にジャムを入れると香りも味もフルーティーになるんですよ♪」

「私はキナシの真似です」


ただ紅茶にジャムを入れる訳ではないはずだが、キナシはアップルティーにブルーベリージャムを入れていた。

この辺りは個人の好きなようにだろうと思うが、エリザベス的にはブルーベリージャムを入れるなら、ブルーベリーティーだろうと思った。


「ふ~ん…… 今度試してみる!」


エリザベスはそう言うと、自分の食器とキナシとケロベロスが使った食器を洗い始めた。


「マスターありがとうございます♪」


キナシが自負の主であるエリザベスに頭を下げるとケロベロスの頭を下げた。

キナシ達の使っていたティーカップくらいはと、洗った。


「これから暇だけど、何しよう……」


エリザベスは不意にキナシとシンナリンに聞いた。


「私達は今日非番なので、何かするかショッピングしませんか?」


キナシはそう言うと、「あそこはどうですか?」「ここなんていいんじゃないですか?」と積極的にショッピングを勧めてきた。

そして、市場に洋服や日常品を買いに行く準備を各自、し終えるなり市場に向かった。

だがこの時、まさかエリザベスは命を狙われていたとは知らなかった……

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