前編
これは私の罪を描いた小説。
何度も罪悪感が心の隅に引っかかっていて、それでも夢を追わずにはいられなかった。
私は今やこの世界から孤立している。
本当に一人ぼっちなんだと思い知らされて、泣くこともできずに、ただ手の豆を増やすだけ。
芸術は人を選ばない。けど、才能は人を選ぶ。
何度も才能に裏切られて、それでも高みへ手を伸ばし続けたあの人。
才能に愛されて、いとも容易く高みへ昇りつめてしまったあの人。
芸術を愛すことはできても、才能に裏切られた哀れな芸術家達。
あの人が初めて私を見てきた時、その視線の中に込められた感情が愛おしさだとすぐに気付いた。
けど、あの優しげな瞳は、遠くにいる別の人を映していたんだ。
私じゃなかった。
ずっと勘違いしていてバカみたい。
本当にバカみたい。
私のことを好きなのだと信じていた。
なんて、バカ。
心の中では、ずっと恋人だと思っていた。
私はあの人を裏切ってしまった。
今ではあの人は死に、そして彼女も死んだ。
すべては頑固に主張を譲らなかった私のせい。
彼が何に苦しみ、何を想っていたのか、最後まで気付けなかった。
これは私の罪の記憶。
すべてを失ってもわが道を進み続けた記憶。
*
私は姉さんの部屋で、彼女に膝枕をされながら、目を閉じてうたた寝をしていた。
姉さんは私の髪を梳きながら、唄を歌ってくれる。
今日は何故かイーグルスのデスペラードだった。
週末の夜は、決まって姉さんの部屋で過ごすことが日課になっている。
その際、姉さんは色んな話をしてくれた。
それはほとんど恋愛の話であることが多い。
「桜」
姉さんが優しげな瞳を向けてきて、呼びかけてくる。
「桜も、きっとわかるようになるわ。誰かを好きになったら、どんなことをしてでも尽くそうという、この気持ちを」
私も本当にそんな気持ちがわかる時が来るのかな?
「来るわ。だって桜、あなたは、」
今、恋してるでしょ――?
姉さんはそう言って、くすくすと笑う。
「そんなことより、私、もっと姉さんと一緒にいたいな」
「あらあら。私だって仕事で忙しいのよ?」
「それでももっと一緒に……」
そう言うと、さらに髪を梳く手つきが優しくなった。
「あなたには、もっと時間を共にしなければならない相手がいるでしょ?」
その時、私の腰からチープな着信音が鳴る。
私は思わず飛び起きて、姉さんと頭をぶつけてしまった。
「……そんなに飛び上がらなくても」
「蛍君からだっ」
私は携帯を取り出して、画面に表示されたその文字を確認して、頬を綻ばせる。
「早く出てあげなさい。恋人の声ほど甘くて優しげな声はないもの」
私はうなずくと、部屋を駆け出た。
壁に背中を寄りかからせて、通話ボタンを押す。
『桜?』
どこか不安げな声。
「あ、蛍君? どうしたの、こんな時間にっ」
私は電話をしてきてくれたことが嬉しくて、ついつい声を裏返らせてしまった。
『あのさ……』
蛍君は歯切れの悪い声を出す。
「どうしたの? 言いにくいこと?」
『いや……観たい映画があるんだ』
映画? それってデートしたいってこと?
「行こうよ、映画! どんな映画なの?」
『藍の灯火』
藍の灯火……? 知らないなぁ。
けど、私は大きくうなずき、言った。
「行こう! 蛍君!」
『本当にいいの?』
蛍君の声はどこか強張っている。
「いいに決まってるよ! 蛍君とならどこへでもっ」
そう言ってしまってから、なんて恥ずかしいこと言ってるんだ、と顔が熱くなった。
『一人じゃ観る勇気が出ないけど、桜となら……。僕の心が変わる前に、観ておきたいんだ』
蛍君の声は震えていて、私はどうしたんだろうと思った。
しかし、それでも私は「わかった」とうなずく。
「明日、行こう」
すると、蛍君は安堵した声を出す。
『ありがとう、桜』
私達はそれから少し会話をして、通話を切った。
私は携帯を握りしめたまま、ガッツポーズを取る。
やった! 明日は蛍君とデートだっ!
ウキウキと姉さんの部屋に戻ると、彼女は「どうだった?」と聞いてきた。
「明日、映画観に行くの!」
「ふうん? どんな映画?」
姉さんの声が少し不安げに揺れている気がして、でも、私はそのまま答える。
「藍の灯火」
その瞬間、姉さんの目が見開き、彼女はベッドから立ち上がった。ね、姉さん?
「行っちゃ駄目っ!」
突然彼女は私の手首をつかんで叫ぶ。私は目を丸くした。
「絶対に行っちゃ駄目!」
「ど、どうしてよ!」
「行ったら、よくないことが起きる!」
よくないことって……リングじゃあるまいし。
「姉さんの言うことを聞きなさい! 明日は行っちゃ駄目!」
姉さんの指が私の手首に食い込み、激しく痛む。私は「離してっ!」と姉さんの手を振り払った。
「なんでそんなこと言われなくちゃいけないの!? 絶対行くからね!」
私は姉さんの部屋を走り出る。
「待ちなさい! 桜!」
私は自室のドアをぴしゃりと閉めて、鍵をかけた。
ベッドのクッションに顔を埋めて、唇を噛む。
どうしてそんなこと言われなくちゃいけないのよ。絶対明日は行くんだから……。
翌日、待ち合わせ場所の時計台に行くと、蛍君は目を閉じて胸の前で手を組み、そこに佇んでいた。
いつもと違う雰囲気に、私は戸惑う。蛍君?
彼の手の中にあるのは一冊の手帳だった。彼はそれを表面が歪むほどきつく握りしめている。
私は声がかけられずに、人込みに体を揺さぶられながら、ずっとそこに佇んでいた。
やがて、時計台がベルの音を響かせて、待ち合わせの時間になる。
ゆっくりと蛍君の瞼が開いた。彼は私の姿を見つけた瞬間、驚いた顔をする。
「どうして声をかけてくれなかったの?」
私は視線を伏せて、それには答えない。
彼は間近から私の顔をのぞきこんできて、「どうしたの?」ともう一度聞く。
私は首を振った。
彼は私の手を握ると、歩き出す。映画館はすぐ側だ。
「たぶん桜も気に入ると思うよ」
彼は白い頬を綻ばせて、言う。
建物の中に入り、チケットを買った。
蛍君がパンフレットを渡してくる。
「ありがとう……」
私はパンフレットを胸に抱きしめて、彼の横顔をじっと見つめた。
「どうしたの?」
「なんだか、今日の蛍君、少しいつもと違うなって」
それを聞いた瞬間、蛍君の顔が歪む。
「あのさ、桜」
彼は、真剣な表情で言った。
「お姉さん、何か言ってなかった?」
なんで、姉さんがでてくるの?
私は首を振る。すると、蛍君の表情が陰り、「そう」と彼は無感情な声で言う。
「行こう」
私達はシアターの前列の席に座った。
蛍君はそれきり黙りこんでしまう。
本当にどうしたのだろう。私が何かした?
私は蛍君の顔が青ざめていることに気付き、「どうしたの?」と心配になって聞く。蛍君は「なんでもない」と首を振った。
彼は唇を震わせて、そっとあの手帳を胸に抱きしめる。
それは何なの?
そう聞きたいのに、言葉が喉に引っかかって、うまく声にできない。
やがて、辺りが暗くなり、スクリーンの幕が引かれていった。
その瞬間、手を強く握られる。
振り向くと、蛍君がすがるような視線を向けてきて、「こうしてていいよね?」と掠れた声を出した。
私はうなずいて、彼の手を両手で包み込む。
胸がドキドキしている。すぐ近くに蛍君の体温があって、彼の鼓動さえも聞こえてきそうな気がした。
映画が始まった。
すぐに私は物語に引き込まれる。
何故だろう、映画を観ているうちに懐かしさを感じた。
なんて美しい話なんだろう。
私がスクリーンを食い入るように見つめていると、突然手が激しく痛んだ。
振り向くと、蛍君が目を見開いてスクリーンを凝視している。ぎりぎりと締め付けられる手の平。
私が声を上げようとした時、突然彼の手の力が弱まった。
私はそっとスクリーンに向き直る。
そして、やがて映画が終わり、辺りが明るくなる。
これは間違いなく傑作だな、と思う。こんな話、どうやったら作れるんだろう。
そして、振り向いた瞬間、私は目を見開く。
蛍君は涙を流していた。スタッフロールの止んだスクリーンをまだじっと見つめている。
「蛍君?」
すると、蛍君は我に返り、慌てて頬を拭った。
「なんでもないっ」
蛍君は立ち上がって、先に歩き出してしまう。
私は彼の横に並びながら、パンフレットを取り出して話しだした。
「間違いなく傑作だよ。特に脚本がいいよね。この、夏野裕明って人……」
私がそう言った瞬間、蛍君が足を止める。
手首を強く握られた。
蛍君は怒りの形相を浮べて、私を睨んでいる。私は喉を詰まらせた。
「少し黙ってろ」
私は息を呑む。蛍……君?
「ご、ごめん、つい……」
私が涙の予感を感じると、慌てて蛍君は我に返り、「ごめんっ」と謝った。
「なんかイライラしてたんだ、本当にごめんっ!」
蛍君はそう言って、私の手をつかんで、歩き出す。
私達は喫茶店に入って、ブレンドコーヒーを頼んだ。お互いにずっと黙りこくったままだった。
やがて私は席を立ってしまい、化粧室に入る。
鏡に向かって溜息を吐いた。
どうしたんだろう、蛍君。私、何かまずいことしたのかな。
今日の彼は、やっぱりどこかおかしい。思えば、昨日電話してきた時からおかしかったような気がする。
私はもう一度溜息を吐くと、化粧室を出る。
席に戻ると、蛍君の姿がなかった。私は慌てる。もしかして、怒って帰っちゃった?
そこで、床にくしゃくしゃに丸められたパンフレットが落ちていることに気付き、私は目を見開いた。
さっき確かに机に置いたはずなのに。誰がこんなことしたの?
「桜」
背後から声がして、私は振り向く。
蛍君が、私の手の中のそれを見つめて言った。
「誰かの悪戯だね、きっと」
「どうしてここにいてくれなかったの? 荷物見てって言ったのに」
「ごめん。ちょっとトイレに行ってた」
そこで、私は蛍君の唇の端が切れていることに気付く。
私はハンカチで彼の血を拭ってあげた。
「さっきスコーン食べてる時、噛んじゃったんだ」
そう言って蛍君は苦笑する。
私は溜息を吐き、なんだか気分が悪いので、店を出ることにした。
再びあの時計台の前に戻ってくる。
「じゃあ、今日はありがとう、桜」
蛍君はそう言って苦笑した。
私はどうしても顔を俯かせてしまう。
「桜には、迷惑かけたね。今日の僕は、確かにおかしかった」
「そんなこと……」
「でも、桜がいてくれたから、こうしてあの映画を見ることができた。ありがとう、桜」
そう言って、蛍君はすっと私の手を包み込んでくれた。
私はその指を握り返す。
「じゃあね」
蛍君は手を離すと、背を向けて歩き出した。
私は彼の姿が見えなくなるまで、ずっと立ち尽くしている。
本当は、もっと一緒にいたかったんだけどな……。
翌日も休日だった。
あれきり蛍君と連絡が取れなくなってしまった。何度メールを送っても返信がこない。
蛍君、怒ってるのかな?
私は不安になるあまりに、彼の家を訪ねてしまった。
玄関のドアを開けた瞬間に、細い腕が二つ伸びてきて、私の体を包み込む。
私は悲鳴を上げて、家の中に引っ張り込まれた。
「桜ちゃあん!」
おばさんは私の胸元に顔を押し付けながら、至福の表情を浮べる。
「会いたかったよ~。どうしてうちに来てくれなったの? 私、寂しかったのよ?」
仕舞いには耳を甘噛みしてくるので、私は彼女を突き飛ばした。
「いつも思うけど、なんでそんなにつれないの?」
「何考えてるんですか、あなたはっ」
蛍君の紳士っぷりを見習いなさい!
私はおばさんの腕にシュークリームの箱を押し付けて、階段を駆け上がる。
部屋のドアをノックした。
そこで、ふとその異臭に気付く。
なんだろう、これ……汚物の匂い?
私は顔をしかめながらそっとドアを開いた――その瞬間、私の中で何かが音をたてて壊れた。
蛍君の細い体が宙に浮いている。首に巻きつけられたロープ。だらりと垂れ下がった腕。
そして、焦点の定まらない瞳。
あ……あ……。
私は這うように進み、蛍君の足に腕を絡ませた。
どうして……どうして?
蛍君と目が合う。
彼は瞬きさえせず、私の顔を無機質に見つめてきた。
嘘だ。こんなの。こんなの、嘘。
私の口からは、何かよくわからない単語が次々と飛び出て行く。
彼の手に触れると、肌がまだ暖かかった。
その温もりを感じるために、私は彼の体をまさぐる。
どのくらいそうやって彼の体にしがみついていたんだろう。
やがて食べ物の乗ったトレイを持ったおばさんがやってきて、それを見て絶叫した。
蛍君は自殺した。
何故、こんなことになったんだろう。私はどこで歩む道を間違えたんだろう。
これは……私のせい?
どうして、お通夜なんて行けたのか、自分でもよくわからない。
足は冷え切っていて、喉も言葉を吐くにはからからに乾きすぎてた。
タクシーから降りてきた私を見て、会場の前で待っていた友人達が走り寄ってくる。
「桜!」
彼女達は私の顔を見て、ぎょっとした。
私は笑っていた。
もうどんな顔をすればいいのかわからない。だから笑うしかないのだ。
友人達は囁きあって、私の周囲を囲みながら、会場の中へと私を引き連れていく。
棺桶の前でお焼香をした。
煙が鼻を刺激して、私の頭は朦朧としてくる。
すぐ目の前に蛍君がいるのに、声をかけられない。
友人達は私に精一杯の優しい声をかけてくれて、私を棺桶の前から引き剥がそうとした。
それでも、私の足は動かない。
その時、どこからか、強い視線を感じる。
私は周囲を見渡した。誰が見ているのだろう。
二つの目が私の体を射抜くように見つめてきた。
誰?
「どうしたの、桜?」
友人の一人が心配した声で私の肩を揺する。
無理矢理棺桶の前から引き剥がされた後も、ずっとその視線を感じていた。
どこから見ているの?
友人達が私の様子を見て、戸惑ったような顔を浮べる。
その時、視線が不意に途切れた。
本当になんだったんだろう、あの視線。
私は頭痛を覚えて、壁に寄りかかる。
その時、四五人の生徒の集団が目に付いた。襟章を見て、下級生だとわかる。
どうして下級生がこんなところに?
「綾はまだ来ないの? あの子、このまま来ないつもりなんじゃっ」
彼らは何かを険しい顔で囁き合っている。
私は気付けば、彼らに声をかけていた。
「蛍君とはどういう関係なの?」
単刀直入に聞いてきたことに驚いたのか、彼らは目を丸くして驚いている。
「この人、清水先輩の彼女じゃないの?」
「うん、俺も見たことある」
彼らは囁きあった後に、自分達が映画研究会の部員であることを話した。
「清水先輩は映研の部員だったんですよ?」
……嘘。そんなこと聞いたことなかった。
「まあ、幽霊部員だったんですけどね。でも、あの人のおかげで今の私達があるようなものだから。だから、こんなことになって本当に悔しくて……」
その女の子は仕舞いには泣き出してしまう。彼女をなぐさめる男の子達。
蛍君が、映研に入ってた? どうしてそれを、言ってくれなかったんだろう。
私は部長の女の子から連絡先だけを聞いて、彼らと別れた。
友人達は、私が誰かと話しているのを見てほっとしたのか、頬を緩めて私を迎え入れてくれる。
「とりあえず休憩室に行こうよ、桜」
「桜も、疲れてるだろうし」
彼女達に背中を押されて私は会場を出ようとした。
その時、私の視界には、一人の男性の背中が映る。
彼はお焼香しながら、遺影に向かって何かを囁き続けていた。
それからすぐに棺桶に背を向けると、会場を出て行ってしまう。
私は彼が自分の手の甲に爪を立てて、血を流しているのを見て、目を見開いた。
気づいた時には、彼の後を追って、会場を出ていた。
「桜!」
友人達が叫ぶ。
彼は木陰に立って、空を仰いでいた。
長めの黒髪に、精悍な顔つき。その白い肌には生気がなく、青ざめている。
「……蛍。何故投げ出したりなんかしたんだよ」
彼がぽつりとつぶやいた。
「何故最後までやり遂げなかった! すべてを棒に振ってお前はっ!」
彼は木の幹に手を打ち付ける。
私が小石を踏んだ音で、ばっと振り返った。
「君は……」
彼の目が、私の顔を食い入るように見つめる。
「蛍の……そうか」
彼はそう言うと私の前に立った。
じっと見つめられて、動けなかった。
「蛍は本当に馬鹿だ。どうして、その想いをずっと抱き続けることができなかったんだろうな。君のような存在がいたのに」
私が何かを言う前に、彼は私の前を通り過ぎていってしまう。
「待ってください!」
私は何故か呼び止めていた。
彼が無表情なその顔を振り返らせる。
何故彼を呼び止めたのだろう、と自分でも不思議に思った。
私は彼に近づくと、そっと彼の手の甲にハンカチを巻いてあげる。
彼の目が見開いた。
その時、友人達が「桜!」と駆け寄ってきて、その男性を胡散臭そうに見つめながら、私を会場の中へと引っ張り込んでいく。
最後に、彼が笑うのが見えた。
蛍君とはどういう関係なんだろう。彼の何?
私はその夜、喪服姿のまま映画館に足を運び、あの映画をもう一度見た。
ラストの方で、主人公の当摩が想い人にこう告げる。
『たとえ死んだとしても、この想いは消えないから。ずっとこの二つの目で、君を見守っているから』
それはまるで、蛍君が直接私に問いかけてくるようで。
私はそこで初めて涙を流した。
あれだけからからに乾いていた瞳から、とめどもなく熱い雫が零れ出てくる。
――それでも、私は生きなくちゃいけない。
どこからか、自分の声がする。
蛍君が何を想っていたのか、何に悩んでいたのか、それを見つけなくちゃいけない。
私は蛍君の一番近くにいて、一番彼を支えられたはずなのだから。
最後まで、彼を追い続ける。生きている限り。
私はその決意を胸に、映画館を出た。
夜気が全身を引き裂かんばかりに体に絡んでくる。
――桜も、きっとわかるようになるわ。誰かを好きになったら、どんなことをしてでも尽くそうという、この気持ちを。
姉さんのあの時の言葉が何故かそこで頭に反響してきた。
今なら、その言葉の意味がわかる。
姉さんの言っていたことは真実だ。
確かに、今の私なら、どんなことでもやるだろう。