後片付けをしよう
『ただいまー』
「おかえりでござる」
「・・・おかえり」
「ぴーー」
『おかえり』
『おかえり~』
オークの集落を壊滅させた俺は、無事に家までたどり着いた。丸1日寝ていないわけだから、さっそく寝ることにする。まあ、この体は1日ぐらい寝なくても平気みたいなんだけどね。ブラックドラゴンってば丈夫にできてる。
『というわけで、一応、ゴブリンのボスらしきやつは倒してきたよ』
「・・・あぶない」
マリアはちょっと怒った顔になってそう言った。心配してくれているようだ。たしかに自分でもオークジェネラルまで手を出すのは良くなかったかなと思う。最悪共倒れしている可能性もあったわけだし。
『今度からは気を付けるよ』
「・・・ん、わかればいい」
「しかしドラゴン殿はすごいでござるな。一人で集落を壊滅するとは」
『とはいっても、逃げたオークも多いよ。途中、5,6体の集団はいくつも見かけたし』
「それはまあ、各個撃破していけばいいでござる。ドラゴン殿が出かけている間も通りかかったオーク達は投石で仕留めたでござる」
『魔法を込めた石も試したみたのかな?しかし外敵を避ける方法はないもんかな。俺が成体なら、きっとオークなんて寄ってこないだろうに』
森全体を結界で囲むのはどうだろう。でもそうなると餌となる魔物まではじいてしまうから良くないかな。安心して暮らせる家づくりを真剣に考えないといけないな。
『パパ、つよい』
「ぴーー!!!」
『あにき~、まりょく~』
コンとピーちゃんは俺の戦いの話をうれしそうに聞いていた。スライムは・・・うん、マリアと並ぶぐらい食いしん坊キャラである。
さて、そろそろオークの集落の様子をもう一度見に行かなくてわ。森が火事にでもなったらやばいし。
『オークの集落の様子を見に行くけど、コンとピーちゃんも来るか?』
『いく!』
「ぴーー!」
それにしてもピーちゃんはさらに大きく育ってきている。どんどん細長く、鳥というより人型になってきている感じがする。胸の辺りもちょっと膨らんできている。鳩胸か?
羽のついた人型の魔物といえば、ハーピーだろうか?もう少し大きくなったらアースドラゴンさんとかにでも聞いてみよう。
ピーちゃんは元から俺より速く飛べるんだけれど、コンも見ない間にかなり早く飛べるようになっていた。毎日、ピーちゃんと鬼ごっこしたりしてるから、飛ぶのがうまくなってきてるんだな。俺も負けていられない。ピーちゃんに置いていかれないよう必死でオークの集落まで飛んだ。
『わー、まっくろ』
『よかった、燃え広がってはいないな・・・』
2日近く経ったのでほとんどが燃え尽きていた。しかしまだ熱が残っているらしく、残骸の上がゆらゆら揺れて見える。念のため、水をかけて温度を下げておこう。
『よし、水を撒くぞー』
『おーー!』
「ぴーー!」
俺は消防車が水を放水してるイメージで魔法を構築した。一気に魔力が持っていかれる感じがするが、しばらくはどうにか持ちそうだ。
『パパ、すごーい。ぼくもできるかな?』
『魔力の消費がすごいから気を付けろよ。コンの足の細さぐらいの水をイメージしてやってみろ。疲れたらすぐ止めるんだぞ?』
『わかったー』
コンも俺を真似て、放水を始めた。白い煙が一面を覆っていく。
ゴブリンの集落もそうだけど、燃えた後の処理もちゃんとしないとだめだよな。そのうち、植林に来ようか。それともなんか建物でも建てるかな。
コンは5分ぐらいでリタイア、魔法は真似られても魔力量は真似られないからなあ。俺は30分ごとに休憩して、集落全体の熱を下げていった。燃やすのは簡単だけど、後片付けは面倒だな・・・。
火計はもうちょっと考えてやろうっと・・・。
マッチ一本火事の元。




