襲撃に備えよう
新しい仲間はコボルトが15体。ござるを入れたら16体だ。ござるは柴犬みたいなコボルトだけれど、他のコボルトはいろいろな犬種が混ざっている。チワワ、ヨークシャテリア、トイプードル、コリー、秋田犬などなど。やはりボール遊びやフライングディスクが大好きなようで、コン達と遊んでいたら、混ぜてほしそうな顔してじっとこっちを見ていた。
仕方がないので、フライングディスク、ボールを新しく作った。しかし、投げる人がいないのである。コボルト達はしぶしぶ、順番で投げる側に回っているが、投げるより追いかけるほうが好きらしい。
コボルトの中に1体だけ子供がいる。見た目は茶色いビーグルのようなコボルトだ。年齢が近いからか、コンやピーちゃんとよく遊んでいるのを見かける。大人のコボルト達は食料の調達に森に狩りに出かけるので、子供はお留守番である。
さて、コボルト達の犬小屋を作るために、柵を新たなに作らなければいけない。オークの襲撃に備えて、いっそのこと塀にしてしまってもいいかもしれない。15体のコボルトが住む犬小屋は1軒3体ずつが暮らすとして5軒ぐらいか。家族が増えた時も考えて余裕を持って土地を確保しておきたい。
1軒につき200平方メートルぐらいとかんがえて、10軒で2000平方メートルか。100m×200mぐらいの土地があれば足りることになるけど、道の分とかも考えて、120m×250mぐらいにするかな。その周りを塀で囲うのだから、740mの塀が必要になるわけだ。魔力も徐々に増えてきているので、土魔法で高さ2mぐらいの塀を作るのに3日もかからないと思う。なんか町作りみたいになってきたなあ。
俺は順調に塀を作り、犬小屋を建てていった。俺が作るのは外側だけで、内装はコボルト達に任せた。なんでもかんでもやりすぎるのは良くないだろうし。たまに息抜きとしてコン達と散歩という名のパトロールにもいっている。
そうして1週間ほど経った。コボルト達は狩りにいくとオークを狩ってくることが多くなった。やはりこの近くまでオークが近づいてきているのだろう。
そういえばオークって2mぐらいあるんだっけ。塀が2mって低すぎるか。塀の周りに堀を作るべきだな。だめだなあ、もっと計画的にやらないと。異世界の知識があるとはいえ、街作りみたいなのは、WEB小説にでてくるやつを流し読みしてた程度しか分からないんだよなあ。
あとは見張り台を作るべきだな。交代制でコボルトに見張りをしてもらおう。一応、「探知」はあるけれど、俺がいないこともあるかもしれないし、役割を与えるのも大事だって聞いたこともある。ござるに言って、寝ずの番を出してもらうように頼んだ。
あとは撃退用にコボルト達の戦力増強である。まずはスリングスタッフをコボルト全員に作った。そして石拾いをお願いする。塀の裏側に1mぐらいの高さの木製の台を用意、そこに登って投石ができるようにした。
スリングスタッフを渡されたコボルト達はうれしそうに尻尾を振り回していた。練習も楽しそうにやっているが、やはり飛んでいくものに飛びつきたくなるようで、石を追いかけるのを必死で我慢している姿が微笑ましかった。
飛距離は、ござるほどはいかないが、100mぐらいなら狙って当てることができそうである。
「ドラゴン殿!とうとうオークの集団がこちらまでやってきたでござる!」
狩りに出ていたござるが慌てて家に戻ってそう言った。
『よし、みんな持ち場につけ。最近の訓練の成果をみせつけるんだ!』
「「「「「「わおーーーん」」」」」
こうしてコボルト対オークの戦いが始まったのである。




