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人間の村へ

 「ステルス」を覚えた翌日、一人で村を探しつつ空を飛んでいる。

 今日も天気が良く、さわやかな風が頬を撫でる。

 空の散歩と思ってピーちゃんとコンもついてきたがったが、リスクがあるので我慢をしてもらった。「ステルス」を覚えられるなら連れてきてもいいのかな。


 村の場所の見当はなんとなくついている。だいたい川下から人間達がやってくるので、おそらく川下に村か馬車が通れるような道があるのだろう。川は北から南へと流れているので、俺は南に向かって飛んでいることになる。

 30分ぐらい飛ぶと、馬車がすれ違えるぐらいの橋が見えてきた。やはり道があるようだけれど、さて、東と西、どっちのほうが村に近いのだろうか。「探知」を使うが特に人の集団の気配はない。東側は草原、西側は森となっている。普通に考えたら草原のほうに村があるかなと考えて、とりあえず東に向かってみる。半日ぐらい飛んでも見つからなければ引き返せばいいしね。


 道沿いを東へ進んでいく。しばらくすると10人ぐらいの集団が「探知」にかかった。用心しつつ近寄っていくと、馬車の周りを6人ぐらいの冒険者が護衛している姿が見えた。馬車にはたくさんの荷物が積んであったので、おそらく商人のグループだろうか。

 草原には50cmぐらいの草が生えており、動物達はいるがモンスターは特に見当たらない。護衛達は退屈そうに歩いている姿が見えた。


 さらに10分ぐらい進む。「探知」で東のほうに200人以上の反応を感じた。俺の読み通りこっち側に村があるようだ。そちらのほうへ近づいていくと、木でできた柵が見えてくる。主に野生の動物に対する対策なんだろうか?高さは1m程度しかない。柵の内側には麦畑が広がっている。さらに進むと1mほどの石壁が見えてくる。そしてそこの中に小さな家が30件ほど建ち並んでいた。


 家はほとんどが木製の平屋建てである。日本風の家ではないから中世ヨーロッパの貧しい農村といったところか。いや、中世ヨーロッパなんて全然知識の中にないからただのイメージだけれど。

 町の中心部には少し大きめのレンガでできた建物がいくつか並んでいる。教会や村長の家だろうか?この世界の宗教ってどうなのかな。エルフとかを差別しない宗教ならいいんだけれど。


 村にモンスター除けの結界とか張られてないか心配だってけれど、どうやら大丈夫だったようだ。とりあえず村の中の様子を屋根の上から眺めてみる。今は村人は農作業に出てほとんどいないようだ。もう畑にはでない老人と、まだ仕事が手伝えない子供達が村に残ってるようだ。


 こうしてみると、裕福ではないけれど、のんびりとしたいい村のような感じがする。


 次は畑のほうに行ってみる。ちょうど農民達が休憩しているところのようだ。


「この調子だと今年の麦は大丈夫そうだっぺ」

「これも森の主様が守ってくれるおかげじゃて」

「しかしこないだ森の主を捕まえにいった冒険者がおるらしいぞ」

「畏れ多いことだっぺ。お怒りになられないといいけれど」

「町の奴らは金もうけのことしか頭にないからのう」

「最近、ゴブリンが増えたのもその冒険者のせいじゃろうか」

「冒険者は帰ってこんかったから、きっと森の主様の怒りに触れたんだっぺ」

「どうでもいいが、こちらを巻き込まんでほしいのう」


 聞いてる感じだと、村人達は森の主に悪意はなさそうだ。気になるのは町のほうか。さすがに町まで足を延ばすのは無理かな。しばらくは様子を見るしかなさそうだ。


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