コボルトの事情
「拙者達コボルトはここから北西へ2日ぐらい移動した森に住んでいたでござるよ」
コボルトがいうには、ゴブリンキングが誕生し、コボルトの棲み処はどんどん西へ追いやられていったらしい。ここ数日にきてやっとゴブリン達の勢いが弱まり、今まで通り、森へ狩りに出たところ、フォレストウルフの群れに遭遇。仲間を逃すためにフォレストウルフの群れを引きつけ棲み処と反対側に逃げてきたとのことだった。
フォレストウルフをどうにか撒いたところで力尽き、倒れていたところをピーちゃんが見つけたのだろう。
『それで、これからどうするんだ?一人で棲み処まで戻れる?』
「一人でいくと、またフォレストウルフの餌食になるのは目に見えているでござる。できれば仲間がこの辺にくるまでここにいさせてほしいのでござる」
『それはいいけれど、せっかくゴブリンの集落を潰したのに、今度はフォレストウルフの群れかあ』
「え、ゴブリンの集落を潰したでござるか??」
『ああ、俺が集落へ行って、ゴブリンキングを倒してきたぞ』
「そういえば数日前、ゴブリンの集落のほうから煙があがっていたでござるな。キングを倒すとはさすがドラゴン殿でござる。フォレストウルフはばらばらになったゴブリンを狙って、またこの森に戻ってきたんだと思うでござる」
『なるほど、それでフォレストウルフが増えてるのか・・・。フォレストウルフを間引かないとちょっと面倒なことになるな』
「拙者も微力ながらお手伝いするでござるよ」
というわけで、コボルトもこの家に住むことになったけれど、家にはもう部屋がないので、となりに小さな犬小屋を建てることにした。コボルトはそれを見て痛く気に入ったようである。やっぱり犬と同じなんだな。
さっそくコンとピーちゃんを連れて、フォレストウルフを間引きにいくことにした。コボルトは病み上がりだし、それほど戦力にならなそうなので、犬小屋で休んでもらっている。
俺は「探知」で、ピーちゃんは空からフォレストウルフを探す。半日で5匹のフォレストウルフを発見し、俺が3匹、コンが2匹、魔法で倒している。
コンは俺が使う「ストーン」の魔法を真似て、フォレストウルフの頭を撃ちぬいていった。石の大きさは俺よりも小さいが、狙ったところにうまく当てているので、殺傷能力は十分である。
『やっぱり、フォレストウルフが多いな』
『コンもいっぱいたおした!』
『ああ、よくがんばったな。ピーちゃんもフォレストウルフ見つけてくれてありがとうな』
「ぴーー!」
コンは尻尾を大きく振っていて、とてもうれしそうだ。家に戻ると、マリアはぼーーっと川の流れを見つめていた。マリアはほんとに大丈夫なんだろうか。
「・・・おかえり。・・・おなかすいた」
『そればっかだな。夕飯までもうちょいだからこれでも食べて待ってて』
俺はマリアに「インベントリ」からぶどうを渡した。マリアは無表情でそれを受け取り、おいしそうに食べていた。
マリアにもなんか仕事割り当てないとだめかな・・・。
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