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空も飛べるはず

 マリアと暮らし始めてから数日経った。しばらくは体を休めるため、探検には出ずのんびり、服や日用品やマリアの弓を作って過ごした。


 俺はゴブリン集落を殲滅したせいか、それともただの成長なのか、体が一回り大きくなり、4本足で立った状態で、70cmぐらいの高さになった。全長は1mちょいぐらいなのかな?力もかなり上がったような気がする。むしろ力の加減を練習しないと危なっかしい。

 そういうこともあり、家をもっと大きく作り直すべきかなと思っている。今はまだどうにか入れるけれど、アースドラゴンさんぐらい成長するとすれば、どれだけ大きな家が必要になるのだろうか。まあ、そのうち「人化」とか「変身」とか「体形変化」とか練習すればどうにかなるかもしれない。もちろん、建物を隠す「人除け」の魔法も練習しないと。


 ピーちゃんも成長した。白い羽はさらに美しく生えそろい、大きさも30cmぐらいになっている。全体的に細長くなってきてるかな?ひよこ体形から、足、翼、首が伸びて、ちょっと人みたいな体形に近づいてきてる気がする。やっぱりただの鳥じゃないんだね。そしてとうとう飛べるようになった。また長距離は無理だけれど、空を飛んで野鳥なんかを捕ってきてくれるようになった。子供の成長はほんとはやいね。


 コンは見た目は特に変わらないけれど、ピーちゃんの真似をして空を飛ぶ練習をよくしている。風の魔法を使っているらしく、飛ぶことはできないけれど滑空ができるようになったようだ。さすがに空を飛べるようになるとは思わないけれど、子供のうちはなんでも挑戦するのはいいことだと思って、見守っている。


 マリアは相変わらず食いしん坊である。甘いものが大好きなようだが、特にお気に入りなのは最初に食べさせたプリンである。現在、1日1個に制限しているが、なにかにつけて要求してくるのを断るのが大変である。まあ、痩せてるから平気なような気もするんだけどね。

 



 物づくりも一段落したので、今日はコン達といっしょに飛行訓練をした。マリアは飛ぶ練習はしないけれど、こちらの練習風景をぼーっと見ている。マリアは食べるとき以外は常に無表情でぼーっとしている。退屈が嫌でエルフの森を抜け出したのに、あれでいいのだろうか。


 俺はとりあえず浮かび上がる練習をする。体全体を風で持ち上げるイメージで魔法を使うがなかなかうまくいかない。

 異世界の知識を思い出すと、飛ぶためには揚力が必要である。飛行機は高速で走った時に、羽に揚力が発生するが、それを俺の体で再現するのは無理だろう。そもそも今まで速く走ったからといって、体が浮きそうになることなんてなかった。

 鳥が翼をはためかせて飛べるのは、そもそも翼に対して体がかなり軽いからだと聞いたことがある。これだけ筋肉が付いた体を俺の翼で浮き上がらせることなど科学的には無理だろう。風で飛ぶためにはもっと羽を大きくする必要があるのかな。

 そもそも風で飛ぼうとするのが間違っているのかな。例えば重力魔法で体を軽くするとか、力のベクトルを変えて浮くとかそんな感じのほうがいいのだろうか。





 いろいろ考えてみたけどうまくいかなかった。ここは初心に帰ろう。魔法とはイメージの具現化。単純に自分が飛ぶ姿をイメージするだけにしてみよう。それがいい。

 俺は自分の体が軽くなり、大空を舞う姿をイメージして、魔力を翼に集中させてみた。



 おお、浮いた!浮いたぞ!!

 もっとシンプルに考えればよかったのか。魔力で揚力と推進力を発生させ、自分の翼で方向転換をする感じで飛ぶことができるようになった。青空を自分の力で飛べるのは気持ちいい。下には無表情にこっちをみるマリアと、丘の上から飛ぶ練習をしているコンが見えた。

 まだ慣れないのでピーちゃんよりはうまく飛べないけれど、スピードはピーちゃんに負けなかった。





『パパ、すごーーい。コンもとぶ!』

『ははは、コンもできるようになるかな?』


 狐はそもそも飛べない動物である。魔物だから絶対ではないけれど、さすがに無理だろうと俺は思っていた。しかし・・・。






『とべたーー』

『え、うそだろ?狐って飛べるの?』

「・・・コンちゃん、・・・飛んでる」

「ぴーー♪」


 まさか飛べるようになるなんて。そういえば俺が火の魔法を使ったときもすんなりそれを真似していた。パパができることなら自分だってできるはず。そうコンは思っているのかもしれない。


 コン・・・、恐ろしい子。

コンはなんでもできる子です

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