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異世界の記憶の謎

「さて、ではお主のことについて聞かせてもらうかな」

『はい・・・』


 俺がブラックドラゴンの幼生体ということをアースドラゴンさんから聞いた。この世界における最上位の存在であるドラゴンは5体しかいない。ブラックドラゴンとアースドラゴン、その他3体ということになる。そしてブラックドラゴンは約100年前に転生の儀を行ったらしい。俺にはブラックドラゴンだった記憶はないので、記憶を引き継がない転生だったのだろうと、アースドラゴンさんは推測していた。

 しかしそれだと、俺が魔法で「プリン」などこの世界では未知なる食べ物を生み出したことはおかしい。そこをアースドラゴンさんは疑問に思ったのである。


『信じてもらえるか分かりませんが、私には異世界の記憶があります』

「なに、異世界とな?」

『はい、そこは魔法がなく、科学というものが発達した世界でした。モンスターもいないので、動物の猛獣以外に外敵はなく、人間達は大きく発展していたのです。ただ私はそういう世界の記憶はあるのですが、具体的になにをしていたか、誰だったのかというのは覚えていません』


 そうなのである。異世界の知識はあるが、自分の名前や家族の名前など自分に関する情報はほとんど覚えていなかったのである。日本という国に住み、働いていたという客観的な記憶はあるのだが、具体的にどんな仕事をしていたのかは思い出せない。料理も同じで、こういう料理があってこういう味だということは知っているが、その料理をどこで食べたか、どうやって作ったのかは覚えていないのである。もしかしたら俺は、日本にいたのではなく、ただそういう世界を見ていただけなのかもしれない。


「ふむ、迷い人のようなもんかのう。ごくまれにだが異世界で生きていた人間がこちらに飛ばされてくることがある。そういった人の中には記憶がはっきり残っている場合と、一部、記憶がなくなっている場合があるのじゃ」

『では、こういう例は珍しくないのですね』

「じゃが、生まれてきたものに、異世界の記憶があるというのは聞いたことがないのう。転生の儀にそんな機能もないはずじゃし」

『そうですか。やはりあまり異世界の知識は使わないほうがいいのでしょうか?』

「それは気にすることはないぞ。迷い人もおるからそこまで気を使わなくてもよい。ブラックドラゴンは、この世界がひどく退屈だと言っておった。だから異世界からそういった知識を拾ってきたのかもしれんな」


 そういえば、転生の儀をしてから100年経って、やっと卵は孵化したと言っていた。その100年の間にもしかしたら、異世界を見て回っていたのかもしれない。まあ時間の流れが同じとは限らないけれど。




 とりあえず、話は終わり、異世界の知識については特に自重する必要がないと聞いてほっとした。まあ、人間に見つかったら、やっかいなことに巻き込まれるだろうけれど、それは異世界の知識がなくても、ブラックドラゴンとして生まれたからには仕方のないことだろう。


『いろいろ話が聞けてよかったです。しばらくは森に住む予定なので、また遊びにきますね』

「うむ、ゴブリンキングが死んで、森もしばらくは平和になるじゃろう。人間には気を付けるがよい。(人払いの結界)を練習してもよいかもしれぬな」

『ご心配ありがとうございます。帰ったら練習してみます』


 アースドラゴンさんに挨拶したあと、僕達は山を後にした。マリアが増えたから、帰ったら家の拡張しよう。あとここ数日お風呂にも入ってないから、お風呂に入らないと。







「・・・おなかすいた」


 家についたら、真っ先にマリアが空腹を訴えてきた。さすが食いしん坊キャラ、ぶれないな。でもマリアはゴブリンにさらわれたままどろどろであり、服も布1枚の貧相な貫頭衣である。まずはお風呂に入ってもらわないと。でも今あるお風呂って俺の体に合わせたサイズだから、魔法でぱぱっと浴槽を作って設置して、中にお湯を貯めた。


『ご飯、用意するから先に身を清めておいで。お風呂の使い方は分かるかな?』

「・・・おふろ?」

『ここが、お風呂ね。あったかいお湯をここに入れるから、この桶を使って体にかけて汚れを落としてね。汚れを落としたら、お湯に浸かって体を温めてね』

「・・・わかった」


 マリアは俺の目の前で服を脱ぎ始めた。

 胸はぺったんこに見えていたが、思ったよりは膨らんでいる。ウエストは細く、お尻はこぶりだが、そこから長くて細い足がすらっと伸びていた。奴隷として連れられていたといっていたが、特に暴力は加えられてないみたいでほっとした・・・、ってなに、じっとみてるんだよっ。


『マリア、人前で脱いじゃだめ!!』

「・・・べつにきにしない」

『俺が気にするの!!!』


 俺がブラックドラゴンだからだろうか?それとも子供だからだろうか、平気で人前で裸になって焦った。風呂から上がった時のために、魔法でタオルと、水色のワンピース、そして下着も作った。女性ものの下着なんてよくわからないので、いわゆるかぼちゃぱんつにしたけれどね・・・。


『ここにタオルと着替え置いとくから、ゆっくり体暖めたら着替えてね』

「・・・ありがと」


 そんなトラブルがありつつも、俺はご飯の準備を始めた。

初めてのお色気(?)シーン

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