第4話 戦を始めようか
人は楽しい気分の時ほど時間が過ぎるのが早いと思ってしまう。
そして緊張しているときも早いと感じる。
いやそれは俺だけか。
気がついたらもう昼休みだった。
いつも通り食堂へ向かうといつもの3人がついてきた。
「なぁ今日あずさっちに事情を説明するんだろ?フラれておしまいになるんじゃねーか?」
「ダメだよ猛くん。啓介くんは頑張ってるんだから。」
「あのクソアマのどこがいいのか全く理解できないんですがねぇ。」
あーうぜぇな。
匠は女の子というより人間の心を理解しろ。
それと蓮の同情がいつも以上に傷をえぐる。
同情するなら愛をくれ。
「梓ちゃんは俺にとって天使なんだからお前らは邪魔すんなよ。」
「神くんは昨日の事が邪魔だとでも?」
「方法などいくらでもあったんだ、匠の横やりが強すぎるんだよ。」
「ふーん」
何故俺が悪い的な雰囲気を漂わせてるんだ。
俺は気配り上手じゃい。
「でもけいすけっちはあずさっちの事が本当に好きなん?」
「ど、どういうことだよ。」
「本当に好きならさっさと告るなり何かした方がいいんじゃないんかなぁって。」
さすがはチャラ男。
確かに可愛いから付き合いたいだけじゃ梓ちゃんにも悪い。
それにちゃんとこの眼帯のことを説明出来るだろうか。
俺は昨日みたいに逃げてしまうかもしれない。
「好きかもしれない。だけどまだ梓ちゃんを知れてないし俺を知ってもらえてない。
だから、徐々に埋めようってのはダメかな?」
「神くんにしては最善の策なのではないでしょうか。」
「俺は戦をするわけじゃねぇ。」
まぁある意味では戦だよなぁ。
久しぶりに考えながら飯を食べた気がした。
「終わったぁ。」
猛の一言でいつも終わる学校。
しかし、俺の今日はここからだぜ。
「けいすけっちはもう行くのか?」
「イエスアイアム。」
「ならこれもってけ。」
手渡されたのはエッチなゴムだった。
「ありがとう、そして死ね。」
クソ!一瞬お守りをもらったかと思ったのに。
いや、お守りか。
とりあえず胸ポケットに入れておこう。
昨日と同じパターンで校門で会い同じ道を行く。
同じはずなのに時間の流れが遅く感じた。
カランコロンとドア開けて席に座る。
さぁ、戦いを始めようか。