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第2話 こんなはずでは

「なぁーんだ、けいすけっちも結局きたんじゃねーか。」


「あっ猛くんに匠くんに蓮ちゃんまでいるぅ。」


今気付いて傷ついたが俺以外はファーストネームだと!?

バカな!そんなはずはない!と思いたい。


「啓介くんもコッチ来なよ。」


いつもなら嬉しいが今日は梓ちゃんがいるんだ。

ここは譲れんぞ。


「神くん早く座ろうよ。」


「はい!」


ですよねー。

梓ちゃんはそんなの関係ないよねぇ。

嫌々座っていつものコーヒーを頼んだ。


「てか何でお前らここにいんだよ。」


「逆に聞こう。神くんはいつ私達が家に帰ると思ったんですか?」


うっぜ!匠うっぜ!


「あーもうわかっためんどくせぇ」


「匠くんと神くんは仲いいんだよねぇ」


クスクスと笑う梓ちゃんに猛が追い討ちをかける。


「アイツらは出来てるからな。」


「お前ぶっころ」


「神くんとなんて世界が滅んでもありえん。」


「アハハハハハハ。」


梓ちゃん笑いすぎだろ。

君の彼氏候補がいじられてるんだよ。

さすがのフェニックスも羽もがれると飛べんぞ。


「ホンット仲いいね。羨ましいなぁ神くん。」


「どこがだよ梓ちゃん。」


「啓介くんのことみんな好きだからねぇ。」


蓮は許すが匠と猛は許すまじ。

コーヒーを一口飲むと既に冷めていた。


「そういえば神くんってなんで眼帯をしてるの?」


辺りがガチッと氷った。


「あーいやあずさっちその事は」


「ん?どうしたの?」


「神くん、こんなクソアマなんて放って帰りましょうか。」


「ちょっと匠くんどういうこと?」


何だこれ?

これは俺に話しかけたのに何故匠がキレているんだ?

確かにこの眼帯のことはあまり人に見せれるものじゃないけどさ。


「おい匠!そんな言い方すんなよ。梓ちゃんは何も知らねぇんだから。」


「知らないから何だ?知らなければ人の心に土足で入ってもいいのか?私ならば我慢ならない。」


「啓介くんはその、眼帯をとって梓ちゃんに見せることが出来る?」


何も言えない。

ホントに好きなら俺はここで彼女をかばって見せているかもしれない。

でも見せて嫌われたら、引かれたらどうしようと頭の中でぐるぐるその考えはループしている。

たった一瞬だが時間が氷ったように長く感じた。


「ごめん梓ちゃん。俺はまだ取ることができない。」


「まだ…か。それは叶うかな。」


「と、とりあえず今日はお開きにしようぜ。」


猛はさすがに空気読めてるなぁ。


「ごめんね梓ちゃん。また遊ぼう。」


「うん。」


帰り道はいくぶんか寒さが増した気がした。

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