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第13話 紅と黒の彗星

テストも終わり暦の上では6月になりもう少しで梅雨に入るか入らないかという時期になった。

最近の俺は猛烈に幸せを感じていた。

何せ俺はあの絶望を乗り越えたんだからな。

結果ただの勘違いだったが後に猛と黄瀬さんにはバレて弄られたことは言うまでもない。

それでもおつりがくるほどの清々しさをあの時は感じていた。

まだ俺にも希望が残されているということですよ。

それに親密度は以前より上がっている気がする。

今では皆でお昼を共にしているほどアップしている。

慎重に尚且つ大胆にアプローチを重ねていこう。


「よーし今日も1日頑張るぞいっと。」


「何をしてるいるのですか神くん。

みっともないですよ。」


いつの間にか学校に着いていた。

昔の俺では恥ずかしがっていただろうがお前らとは遥かに違うスピードで進化しているこの俺に怖いものなど何もない!何でもかかってこいやぁ。


「おはようみんなぁ!朝から楽しそうだねぇ。

何のお話してたの?」


後ろから天使と赤坂さんが駆け寄ってきた。

急にぞいが恥ずかしくなった。

俺はまだレベル5だったみたいだ。


「どうせ神のことだから下らないこと喋ってたんだろ。」


うん下らない!反論できねぇ。

俺は教室に着くまで苦笑いで何とかごまかした。

それにしても今日は教室のみんながソワソワしているようにみえる。


「そういえばみんな知ってる?今日僕たちのクラスに二人も転校生が来るみたいだよ。」


「へぇー!どんな子達か楽しみだね。」


「かわいいなら俺はオッケイだな!」


黄瀬さんが猛の事を心配する理由がわかる気がした。

まぁ俺は天使一筋ですから興味が全くこれっぽっちの欠片すらないんですけどね。

匠も我関せずっていう顔をしている。

頼むから俺に害を与えないでくれと願ってみたが、教室に入ると嫌がらせのように俺の隣と右斜め前の席が空席になっていた。

クソッタレ!

チャイムが鳴り先生が入ってきた。


「えぇー知っているとは思うが今日から新しいクラスメイトが増えます。

入ってきなさい。」


スタスタと少しはや歩きで最初に入ってきたのは黒髪でボブの女の子だった。

目は切れ長で睨まれたら殺意さえ感じそうなほど冷たい雰囲気を漂わせていた。

次に高笑いしながら入ってきたのは赤髪のロングでカチューシャしている女の子で何より胸がデカイ!いやそんなことはどうでもいいか。


「オーッホッホッホッ!皆様ごきげんよう。

(わたくし)本日より転校して参りました紅茜(くれないあかね)と申します。

そしてこちらが私の警護を担当する。」


黒薙楓(くろなぎかえで)です。

よろしくお願いいたします。」


「えぇーみんな仲良くするように。

席は田中と神の隣に座りなさい。」


良かった!お嬢様は多少めんどくさそうだが俺の害悪にはならなそうだ。

しかも俺のとなりは黒薙さんという常識人だろう。

とりあえずここは紳士的にそしてもっともポピュラーな挨拶をしようか。


「初めまして黒薙さん!俺の名前は神啓介。

これからよろし。」


「気安く話しかけないでもらえますか!この眼帯中二病!」


周りはシーンとなっていたが何食わぬ顔で座り教科書などを取り出していた。

前言撤回!コイツ嫌いい。


「だあああれが中二病じゃい。

こうなったら勝負だぁ!」


「良いでしょう。

では今日の授業で多く答えれた方が勝ちという事でどうでしょう。」


「やってやるデス!」


「フフッまた楓は私に楽しい見せ物をしてくれるのね。」


俺を見くびっているようだな。

いいだろう!見せてやるぜそこそこ優秀な俺の学力を!



「あぁー終わったぁ。

今日もみんなでどっかに寄っていこうぜぇってうぉい!けいすけっちが灰になってる。」


帰りのチャイムが聴こえる。

だが俺は灰になっていた。

黒薙楓は完璧すぎる!敵うはずもなかった。

俺より数倍早く解き、まだ習っていない公式などを当てはめて解いていた。

間違いだったんだ。

そして俺の精神を蝕んだのは解く度に俺を見下ろしてニヤリと笑うあの顔だ。

後半は記憶すらなかったかもしれない。

そして俺は負けた。


「あの程度で勝負を挑まれるとは、いささか自分のことを優秀だとでも思っていたのでしょうか?」


何も言えない。

灰になっていた俺は黒薙楓の嫌みで飛んでいきそうになった。


「して楓よ。

この男に何かやらせぬのか?」


何か!?もしかして俺は負けたから一生奴隷とかですか?

いやだぁー俺は梓ちゃんという天使と天国に行くんだぁ。


「いえお嬢様。

この男に何かやらせても私以下になりますでしょうし、何よりこの中二病は私のもっとも嫌う存在なので。」


1日でそこまで嫌われるとはな。

俺は嫌われる才能があるのかもなハハッ。


「しかしなにもしないのはこの男に対して甘過ぎるのではないか?」


緩やかな笑みを浮かべながら俺を見下ろす。

どこまでドSなんだこのお嬢様は。

しかし俺も男だ!そろそろ覚悟を決めるか。

煮るなり焼くなり放置するなり好きにしろ。


「ちょっとまってよ紅さん!神くんがかわいそうじゃない。」


あぁ天使が俺を助けようとしてくれている。

でも何も出来ない自分が恥ずかしいよ。


「ダメだよあずさっちぃ。

けいすけっちは自分から勝負を挑んだんだ!そして負けたなら言うことを聞くしかないんだ。」


おいちょっと待て!何をそんなに重そうにしてるの!?

せっかく梓ちゃんが助けようとしてるのに何故それを止めるんだ!


「で、でも!」


「諦めるんだ桃井さん!彼はもう…黒薙さんの物なんだ!プププ」


何を笑ってるんだ匠ぃ!俺の…俺の覚悟が揺らいで落とされる気持ちがわかるのか!?

こんなの絶対おかしいよぉ!


「では明日までに神啓介の処分を考えておくことにする。」


「そのようですよ啓介様。

楽しみですわねぇーオーッホッホッホ!」


高笑いしながらお嬢様と完璧魔人は教室を出ていった。

そして後ろで笑ってる3人と心配そうな顔をしている1人。

クソッタレがぁ!!






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