呉福妹の場合 07
第十三節
「そ、そんなの不公平じゃないか!」
「知らないわよ。それにノーリスクって訳じゃないのよ?」
「どういうことです?」
「どうせあんたがたの能力は学生…女子高生の制服とかでしょ?」
図星である。
「女が女にされるのだって、あんたがたの設定の女にされるの。あたしはもう二十代だけど、十代の女の子にされるなんていや~ん」
『いや~ん』の部分をわざとらしく言うウー。
「しかし…そんなの、男が女にされるのに比べれば大したことじゃない!」
「かもね。で、どうするの?やるのやらないの?」
テーブルからの距離を取るウー。
ふと気づくと周囲に客がいない。
いつの間にか他の客は撤収していたみたいだ。
「なんてこった…」
「じゃあ、握手して始めましょう。正々堂々と」
武林に対して手を伸ばして来るウー。
何かを感じた橋場が叫ぶ。
「おい!気を付けろ!」
「え?」
橋場の方に視線が向いた瞬間だった、手を握られると同時に「ぼうんっ!」とばかりに変化が起こったのだ。
第十四節
「な、何だこれはあああああ~っ!」
一瞬のことだった。
無骨だった武林はそこにはなく、折れそうに細い足首が目に入ってくる。
足首…足首がむき出しで空気にさらされていた。
スカート…上下が完全に一つながりになったワンピースのスカートを履かされていたのだ。
ノースリーブの無防備な二の腕。形のいい乳房が突き出し、体型に合わせて、へこみ、盛り上がったドレスがセクシーだ。
毒々しいほど濃い目の化粧に彩られたその顔つきはノーメイクだった女子学生衣装を着せられていた頃とは別人のようだった。
うろたえてプルプルと震えるのと同時に大きなイヤリングが揺れ、スリットから艶かしい脚線美の素肌がちらりと露出する。
ドレスは鮮やかな藍色だった。
武林は、瞬く間にチャイナドレスのウェイトレスにされてしまったのだ!
「ば…ばかな…だって…!?」
ふと見ると、目の前の大人の女性は、紅いリボン、クリーム色のベストにチェック柄のミニスカートの女子高生になっている。武林の能力も発動している?
「ほらほら!油断してるんじゃないわよ!」
ぶわり!と真っ青なスカートの前面がめくりあげられた。
「きゃあああああーっ!」
(続く)