呉福妹の場合 03
第五節
「これで完璧ね。あの悪徳警官はこの世から消滅したね」
「え…えええええええっ!?」
ぐいっと目の前のチャイナ娘の顎を掴んで自分の方に向き直らせる。
「暴力まで使って善良な一市民を脅迫…最低な警官ね。いなくなっても誰も困らないね」
その瞬間だった。元・悪徳警官の足元が涼しくなる。
ぴらり、とチャイナドレスのスカートがめくられていた。
「きゃあああああーっ!」
思わず悲鳴を上げて押さえてしまう
「大げさよ。でもチャイナはスリットが大胆に入ってるから、横にずらすだけでこんなに脚が丸見えになるね」
「そんな…助け…て…」
おっぱいを鷲掴みにする美女。
「あっ!」
「甘えるんじゃないあるよ。脅迫。私利私欲で国家権力までかさに着て人を動かそうとする。その上、上りを懐に入れる気満々。許す余地ないある」
「な、何でもします!何でもするから戻して!」
「残念だけど戻すこと出来ないある。そういう能力あるよ。でもまあ、真面目に働けば上海ルートで売り飛ばすのは勘弁してやるある」
びっくりして目を見開いているチャイナ娘…となってしまった悪徳警官。
「でも…一番許せないのは…」
ぐいっ!と腰元に手をやり、目の前に引っ張ってくる美女。
「あなた…私をおばちゃん言ったね…あたしこれでもまだ二十代よ」
涙を流すチャイナドレス娘の真っ赤な唇を奪う美女。
第六節
「…という訳で、意外なところにメタモル能力者は潜んでいるものなんですよ」
…と、メガネで真面目そうな高校生…斎賀健二…が言った。
「まあな」
出された料理にがっついている武林 光。
「そんなにそこいら中にいられても困る」
橋場が答えた。
「まー食え食え。今日は俺のおごりだ」
上機嫌の武林が言った。
ここは都内の隠れ家的中華料理の店である。
一見すると高級そうな雰囲気であるが、学生コースのセットメニューはかなり良心的な価格であった。
そして勿論、量が多く、そして美味い。
「それにしても傑作ですねえ。遂に橋場さんも経験しましたか」
「うるさいよ。それでも勝ったんだからいいだろうが」
「それが凄いですって。普通は相打ち覚悟くらいなのに、逆転勝利しちゃうんだから」
その時、ウェイトレスがメニューを運んできた。
「どうぞー」
「あ…どうも…」
顔を赤くしてドギマギしてしまう武林。本当に硬派である。男をブレザーの女子高生にしてしまう能力があるくせに女性にはてんで弱い。
「ははあ…そういうことか」
「何が?」
「あれだよあれ」
くい、と顎をしゃくる橋場。
その先には朱色のドレスに包まれたまん丸のお尻と、脇のスリットからちらちらと見える生脚があった。
そう、このお店のウェイトレスさんは、美人揃いの上にセクシーなチャイナドレスが制服なのである。
(続く)