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橋場英男の場合 07
第四節
「…間違いないな」
リーダーが無線機を置いた。
持ち場待機及び巡回を命じた各員には、定時連絡を欠かさずに行わせている。これはもうしつこいくらいの訓練を課した。
適当にやって指示を守らない人間はヒドい時には半殺しの制裁まで加えて徹底的に「定時連絡」を守らせた。
その部下に幾ら呼びかけても応答しない。
何らかの不測の事態が起こったと考えるべきだろう。
「よりによって巡回がやられた。どこで襲われたのかも分からん」
「新校舎二階のチェックが終わって三回の三年の教室に向かう途中だったんじゃ?」
目出し帽の部下の一人が進言する。
「それだ。全班に連絡を取れ」
「リーダー!2階で銃声とガラスが割れた音を認識!確認のために見回りに言っていいかとのことです!」
「駄目だ!持ち場を離れるな!こちらからパトロールを回す!」
言い切る頃には別班が準備を終えていた。
「行ってまいります」
「充分注意して掛かれ」
「はい!」
(続く)