武林光の場合 09
第十七節
余りにも乳房の感触が強烈すぎて、他の事が気にならなかった。
どうやら、ウェストもすっかり細くなっているみたいだ。服がダブダブになっている。
その場に「女の子座り」でへたりこんでいる橋場。
「ほう、中々可愛い姿勢じゃないか。やっぱり女になると自然と可愛らしくなるのか?」
おびえた表情にどうしてもなってしまう橋場。
「いい表情だ。卑怯者には似合いだな」
まだ言ってる。
「卑怯者なんぞ、男じゃない。だからこれもいらん!」
「うわああああっ!」
下腹部で充血しつつあった男性器が体内に収納されていくかの様に小さく縮み、無くなっていく。
「ふん!どうだ?オンナになった気分は?」
「あ…あ…」
いつも相手に言っていた言葉だった。
全身に違和感を感じるが、どう表現していいか分からない。
ギンギンに充血した乳首が学ランの内側のシャツを押し上げていることだけは強烈に分かる。
「いいから立ちな!」
「あっ!」
勝手によろよろと立ちあがってしまう美少女となった橋場。
変化は同時進行した。
ガラパンがきゅっ!と変形してパンティとなった。
「ゃあっ!」
身体をのけぞらせる橋場。
第十八節
「ふん、どうせお前も今まで数えきれないほどの男を永久に女にして女装させてきたんだろうに」
学ランの内側のワイシャツの下に着こんだTシャツが変形し、ワイヤーの入ったブラジャーとなって生まれたばかりの乳房を鷲掴みにした。
「うわああああっ!!」
お椀型の装飾具の内側にくまなく自分の肉体が当たっている強烈な違和感と、背中や肩、肋骨の下の方を締め上げるブラのワイヤーの束縛感に打ちのめされる。
そ、そんな…オレ…ブラジャーを…。
『男なのに意思に反して無理やりブラジャーを身に付けさせられる』
それは男として最大級の屈辱であろう。
考えさせる暇もなく、ワイシャツの残りの部分がキャミソール状に変形し、スリップとなって服の中に広がっていく。
その材質が女物特有の、柔らかくてすべすべの肌触りに変化していく。それがアンダーバストのラインから下の胴回りを覆っていく。
「うわ…あああ…」
今まで散々人にやっていたものが、これほど気持ちの悪いものだったとは…。
それも、部屋で一人っきりならともかく、害意のある相手に変えられているというのが男として最大の屈辱だ。
学ランの材質が変化し、前が開いていく。
どこからともなく出現した真っ赤な可愛らしいリボンが胸元に「ぴょこん!」と出現した。
ワイシャツはブラウスとなり、ボタンの閉じ方が逆向きになっていく。
薄いクリーム色のベストが発育のいいバストのなだらかな山を覆う。
「…これは…」
それが視界に入ってくる橋場。
「そうさ。分かったか?これがオレの能力だ」
次の瞬間、仕上げとばかりに真っ黒だったズボンが一気に太ももまで収束すると同時に鮮やかな色合いの柄を持つチェック柄になり、そしてプリーツが入った!
「わああっ!」
(続く)