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武林光の場合 05


 第九節


 美夕を説得して送り返すのには少し苦労した。

 だが結局渋谷駅に向かわせることに成功した。


 男は道玄坂を延々と登っていく。

「悪いが戦場はこの先でね」

 小柄な男だが、ツンツンに尖った髪の毛に、単に不潔なのではなくて、使い込まれたことによる薄汚れをまとった学生服を身に付けている。

 明らかにケンカ自慢のやんちゃ坊主という風情だ。


 二人は坂を上りながら会話した。


「一応聞くが…あんたもそれ…なんだな?」

「ああ。メタモル・ファイターだよ」

 男の肉体は細身で筋肉質に引き締まっている。雰囲気でいうとブルース・リーみたいな感じだ。

 どちらにしても、非常に男臭い硬派な雰囲気である。


 到着した。



 第十章


 そこは随分前に閉鎖したらしい巨大なゲームセンターだった。

「入んな」

 慣れた手つきで観音開きのドアを開ける。

「ここは変わったゲームが売りだったらしいゲームセンターだ。元・だけどな。そのゲームは特殊すぎてあんまり流行らなかったらしい」

 内部はドーム状になっている。

 ここに特殊な映像でも映し出すのだろうか。

「で、今はメタモル・ファイトの闘技場になってると」

 ゆっくり向き直る謎の男。

「ま、そういうことさ。自己紹介しとこう。オレは武林 ぶりん・あきら。名前は光ると書いて『あきら』と読む。恰好いいだろ?」

 軽く肩をすくめる橋場。

「あんたも名乗ってくれるか?」

「…橋場英男だ」

「じゃあ、始めるかね」

 スポーツバッグをドームの隅に放り投げる武林。中に入っているのは柔道着というところか。

「ちょっと待ってくれ。幾つか質問したい」

「…ルーキーってのは本当らしいな。それで?」

「あんたもその…メタ…」

「メタモル・ファイターだ」

「そうそれ。メタモル・ファイターってことはその…特殊能力を持ってるんだよな?」

「持ってるが?」

「こういうのって試合前に聞いてもいいものなのかな?」

「興味があるか」

「どちらかというとね」

「それについて。こっちからも相談だ」

 武林の方から言い出した。

「オレはこの戦いの決着方法が気に入らん」



(続く)


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