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橋場英男の場合 17


 第十二節


「…どうせ暴利なんでしょ?」

 橋場は至極当然の疑問を口にした。

「暴利でも何でも借金は借金なの」

 「そんな奴、やっつけてやりますよ!」という言葉が喉まで出て来そうだった。

 確かに単に暴力で撃退するのみならず、行方不明にしてしまうことが今の橋場なら可能だ。

「どうしてそんな…」

「もう分かってると思うけど、あたしは生まれた時はあなたと同じ男の子だったの」

 あくまでも表現が可愛らしい。なるほど。

「今のこの程度であっても、色々大変なのよ」

 お姉さんの表現は“この程度”だったが、要するに性転換に伴う外科手術その他に多くのお金が掛かり、根無し草であるお姉さんにはとても用立て出来ないため、借りるしかないということであるらしい。

 それにしても“この程度”の容姿を自称するとは…クラスの女子の誰と比較しても全く遜色ないほど美しいのに。

「お姉さん…実はその…笑わないで聞いてください」

「何?あなたが金利無しで貸してくれたりとか?」

 明るく笑顔で言うお姉さん。懸命に冗談めかそうとしてくれているのが分かる。

「いや、そうじゃないんですけど…ともかくですね…聞いてください」

「いいわよ」

 その耳に響く声にはほとんど濁りが無い。どれほど男性が裏声を出しても漂ってしまうわざとらしさが一切ないのだ。声と言うのは大事だなあと橋場は感じた。


「ボクには…男性を女性に性転換させる能力があるんです」



(続く)


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