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05 払い屋と後日談

「青竜、九尾、出番だぞ!」

 さやの呼びかけで、式神の二人が現れる。

 青竜は、片手に刀を持っていた。

「あらぁ、あの子すごい怒っているね」

「無駄口たたいていないで、行くぞ!」

「はいよーっ、狐火!」

 二人とも駆けだし、九尾が青い炎を放った。

 そして、さくらと化け猫の周りを、たくさんの火の球が囲いこむ。

 しかし、化け猫の爪で、すべてかき消された。

「あらら」

「これならどうだ、雷撃!」

 青竜は、刀を空に向けた。

 すると、いくつもの雷がさくらたちを襲う。

『くっ……』

 さくらたちが怯んだところに、青竜は刀を振るった。

「はあぁーっ!」

『邪魔をしないで!』

「なに?!」

 あと少しのところで、刀は届くはずだった。

 だが、さくらの強い拒絶に、青竜は吹き飛ばされてしまう。

「ちっ」

「惜しかったねぇ、青竜」

「うるさい!」

「ならば、次の手だ」

 さやは錫杖をひとつ鳴らし、それを空に向けた。

「あの化け猫を蹴散らせ、白虎!」

 すると、巨大な白い虎が現れた。

「ガアァーッ!」

「シャーっ!」

 化け猫と虎が激突し、攻防が続く。

 しばらくすると、化け猫が弱ってきた。

「グウゥー……」

『あと、もう少しだったのに……』

「さくら、もうなにも憎むことはない」

『えっ……』

「あなたには、あなたを大切に想う妹がいるのだから」

 さやは振り返り、ゆりを見つめた。

 ゆりは、不安な顔でさやたちを見つめていた。

『ゆり……』

 さくらは、静かに涙を流していた。

 すると、化け猫がさくらにすり寄る。

『あなた……』

「どうやらその化け猫は、あなたを守りたかったみたいですね」

『そうだったのね……ありがとう……』

「グルル……」

 化け猫はさくらに撫でられ、のどを鳴らして喜んでいた。

 そんな二人を見つめ、さやは微笑む。

 そして、錫杖をひとつ鳴らした。

「では二人とも、あるべきところへ、かえりなさい」

 さやは目を閉じ、錫杖に霊力をこめる。

 そして、さくらたちに向けた。

「邪気退散!」

 さくらと化け猫は、微笑みながら成仏したのだった。

「ふぅ……なんとか仕事は終わったな」

「俺、あんまり活躍できなかったよぉ」

「今回は、相手の邪気が強かったからな」

「青竜、吹き飛ばされていたもんね」

「やかましい!」

「こらこら、二人とも仲良くしないか」

「さや様ーっ!」

 さやたちが談笑していると、ゆりが駆け寄ってきた。

「やばっ、姿消さなきゃ!」

「あぁ、皆ご苦労様」

 青竜たちが姿を消したところで、ゆりが到着する。

「あの、ありがとうございました、姉のこと……」

「お礼はいいさ」

「でも……」

「私は、自分の仕事をしたまでだ」

「おーい、払い屋!」

 さやが振り向くと、主人とおばもやってきた。

「いやぁ、助かった。これで、静かに暮らせる」

「いいえ、まだです」

「えっ」

「言ったでしょう。あなた方には、裁きを受けてもらうと」

 さやの言葉に、主人とおばの顔は青ざめる。

 その後、騒ぎを聞きつけた警察がやってきた。

 さやも、事情聴取を受けることとなった。

 もちろん、化け猫のことは秘密である。

 そして、屋敷を調べることが決まった。

 すると、さやが案内された部屋の真下に、動物の骨があった。

 調べたところ、それは猫の骨だとわかった。

 あの場所をもう少し掘ったところに、女の遺体も見つかった。

 白骨化が進んでいたが、桜柄の和服だったため、さくらと判明した。

 あの部屋も、さくらが使用していた場所だった。

「おばの話では、あの黒猫はさくらが可愛がっていたんだと」

「そうだったんですか」

「でも、猫嫌いの主人が、殺してしまったと言っていたな」

「ひどい……」

「さくらは、とても悲しんだらしい」

「もしかして、姉が求婚を拒んだのは、それが原因じゃ……」

「かもしれないな」

 ある茶屋で、さやはゆりと話していた。

「今回の件で、あの二人も裁かれるだろう」

「だといいのですが……」

 俯くゆりに、さやは団子を食べながら聞いた。

「ところで、ゆりはこれからどうするんだ?」

「一度、実家に帰ります」

「ほぉ……」

「両親にも、ちゃんと伝えようと思います。姉の葬儀もしたいので……」

「一人で平気か?」

 さやの問いに、ゆりは優しく微笑む。

「はい、大丈夫です」

「そうか……では元気でな」

「さや様も、お体に気をつけてくださいね!」

 二人は茶屋を出ると、お互い向かい合う。

「この度は、いろいろとお世話になりました!」

 ゆりが頭を下げたため、さやは苦笑した。

「気にするな。ゆりが元気でいてくれたら、それでいい」

「本当に、ありがとうございました!」

 ゆりの笑顔に、さやも微笑む。

 それから二人は、別々の方に歩きだした。

「さて、次はどんなことが待っているのやら……」

 さやは立ち止まり、空を見上げる。

 そして錫杖をひとつ鳴らし、再び歩きだした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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