花火大会
会場には、人が溢れて、私は人に流されて行き、慌てて昭仁が走ってきた。
「チビを守るために、はい。」
手を握るよう差し出した。私は、何故か冷静に手を握り返した。
「いちいち手もチビだな。」
にこやかに笑い合い、歩き出した。
「豊玉ちゃん!付き合いだしたの?!」
花火大会には、もちろん友人も沢山来ている。
「付き合ってないよ!私がはぐれるからだよ!」
すれ違う友人達に、何度も質問を受けた。
その時、ヒューと花火が上がる音がした。
「急げ!転けるなよ!」
手を引っ張られて、連れて行かれた場所は、人気が無い、遊具にはクモの巣がかかる、ジメジメした場所だった。
しかし、何の障害もなく、綺麗に花火が見えた。
花火に光る横顔を見上げて、聞こえない声で花火の音に紛れて、好きだよと言った。向こうの手を握る力が少し強くなった。
よし、自分達も花火するぞ!手持ち花火を広げ、仏壇から持ってきたというライターで、ろうそくに火をつけた。
ふざけて、振り回したり、追いかけっこしながら、していると、残りは線香花になった。妙に静かになった私達は、花火が落ちないように、勝負をしていた。
最後の二本。
「負けた方は、秘密の話を一つ明かす」
「いいよ!勝負だ!」
先に落ちたのは、昭仁で、私はヤッター!と立ち上がった。
「俺なんかの秘密、聞きたい?」
うんうん、と私が頷くと、30秒程静かになった。
「俺も豊玉が好きだよ。」
「えっ、えーっ!」
私は、驚いて尻もちをついた。
「さっき、好きって言ったの豊玉じゃん。」
聞こえてたんだ…と、思いながらも、嬉しかった。
「俺と、付き合ってください。」
「もちろん!」
思わず、昭仁に抱きついた。心臓の鼓動が速い。彼も緊張してるんだな、と安心した。




