スケッチ大会
豊玉ちゃん、何でここなの?一緒に描こうよ。
色んな友人が話しかけてくれたが、1人で描きたい気分だった。
指先を眺めながら、思い出して一人で赤面していた。
話し声が聞こえ、このレンガの裏に昭仁が居ると分かった。
5月の晴れ晴れとした、気分が良くなりそうな、涼しい風も吹いている。
「告白出来ないわ、俺。」
そんな昭仁の声が聞こえて、筆を落とした。
誰に?どうして?じゃあ、守るとか言わないでよ!
もしかして、私が居るから告白出来ないの?
一層の事、消えてしまいたいと思って、声を出さないように、静かに泣いた。
「全く、本当にいつも根性ねーな!」
昭仁の一番仲良しの、今野がそういった。
「いや、絶対向こうは俺に興味ないって。」
「いやいや、絶対昭仁の事好きでしょ。豊玉さん。」
えっ、私??絵を描くのを忘れて、盗み聞きに集中していた。
「だって、好きな人がいて、スタイル良い奴らしいんだよね。」
「いや、それ絶対お前だろ。」
「いや、俺はガリガリだし、多分もっと筋肉がついた、男だよ。」
「とりあえず、早く告白しろって!あっちは、すぐ取られるぞ。」
盗み聞きしていた時だった。歩く音が聞こえた。
「豊玉さん、一人?」
はっ、とした私は慌てて頷いた。
「俺のこと、わかる?」
「佐藤くんだよね?」
メガネをかけた、成績が良い彼は知らない人は居ないだろう。
「これ、渡したくて。」
二つ折りのルーズリーフを開くと、
好きです。付き合ってください。と、綺麗な字で書かれていた。
びっくりした私は、えーっ!と、思わず叫んでしまった。昭仁達にバレないよう、静かにしていたのに。
「僕じゃ、駄目かな。」
眼鏡の向こうに、少しつり目が見えた。
「ご…ごめんなさい。好きな人が…」
「昭仁くんだよね?」
「ひっ…秘密!」
お幸せに。そう言って立ち去っていった。




