指先
放課後、私は教室で一人泣いていた。びしょ濡れになったハンカチで、涙を拭いていた。
「おい、どうした!」
気づくと前に立っていたのは、昭仁だった。
「仲良くなったのに、何で無視するの?話がしたかったのに。」
「ごめん。理由は、言えないけど…。今日は、部活サボるから、話そう?」
「何で教室に来たの?」
バスケットボールのユニフォームを着て、二の腕が出ていた。意外にも、筋肉質だった。
「シューズ忘れて、取りに来たら、泣いてたから。シューズ忘れて、逆に良かったよ」
笑いながら、こちらを見た目は優しかった。
「ねえ、イニシャルDって読んだことある?」
「あの86のやつだよね?」
そうそう、と気づいたらいつも通り、笑ってふざけていると、
「あのさ、豊玉…」
いつまで経っても話し始めない。
「いや、やっぱり何でもない!部活行ってくる!」
「私も帰るから、途中まで一緒行こ!」
不意に、歩くと指先が触れた。
それだけで、2人とも即座に、ごめん!と、言うほど、それだけで心臓が破れるんじゃないか、と思うほど、ドキドキしていた。




