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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
八章 静養編

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爪痕?

昼下がり。

王都の街並みを、ネコショウと共に歩いていた。


「珍しいですね、リョウカさんからデートのお誘いだなんて……」


「デートじゃないって。 

今日はベッドを買いたくてな、

どうしても俺のセンスだと不安なんだよ……」


「ベッドですか……。

また女の子でも増やすんです?」


「ぶっ……! 

ま、またってなんだよ、人聞きが悪い」


確かにネコショウの言う通りかも……。

エアリー陛下からのお下がりのクイーンサイズのベッドはタチアナが占領しているし、

ソファーはアリスの寝床と化している。


もっぱら俺は床で寝ることが多い。

部屋の主なのにヒドい扱いだよ。


「ふふっ」

ネコショウは考え込んでいる俺を見て、微笑んでいる。


「な、なにが可笑しいんだよ……」


「いえ、なんでもありません。

それより、今日の私、なにか雰囲気違うと思いません?」


「ん――?」

これは、男が女性に言われたら困るワード第四位くらいのセリフだ。


俺はネコショウのつま先から頭のてっぺんまで、視線を上下する。


どこだ、どこが違う。

藁の匂いがするのはいつも通りだし、

黒いフリルのメイド服もいつもの装いだ。

――下着か? いや、そんなわけないよな。

駄目だわからん。


俺は一呼吸おいて最終手段を使う。

「……すぅ……髪切った?」


前世では気になるクラスメイトに、

違いの分かる男アピールをしたくて、

毎日髪切ったって言えばいつかは当たる戦法を使っていたが……。


「……違いますし、仮に当たってたとしても、そんなに溜めて答えても女の子は喜びませんよ!」

尻尾が、ぴしりと一度だけ床を叩いた。


「すまん。どこが普段と違うのか、

後学のために教えてくれ!」

両手を合わせネコショウに懇願する。


「ふん。いいですよ。どうせ私は都合のいい時しか声が掛からない。三軍の女の子ですから」


ネコショウは完全にへそを曲げてしまった。

てか、三軍の女の子ってなんだよ。

そんな言葉どこで覚えたんだ?


「今日は初めてお化粧してみたんです」

ネコショウは顔を近づけてアピールする。


「ふーん」

まじまじと観察する。

確かに言われてみたら、少し顔が白い気がする……。


それに、ネコショウはすっぴんでも、

超絶美少女だから化粧なんて必要ないのにな。


――ネコショウと目があった。黒く大きな瞳に俺の目が映る。


「……っつ!」

ネコショウは不意に目を背ける。


「ど、どうしたんだよ?」

そんな反応すると、こっちまで照れるだろ。


「ふん! リョウカさんなんて知りません」

今日のネコショウは感情が忙しいな。


ま、三本の尻尾は変わらず空に伸びて揺らいでいるからご機嫌斜めというわけではなさそうだ。


「――と、ここだよ」


そうこうしていると、メイドのハルカから教えてもらった調度屋に到着する。


通りに面した調度屋は、扉を開けた瞬間に木の匂いがふわりと鼻をくすぐった。

壁際には椅子や棚がきっちり並び、天井からは小ぶりなランタンが下がっている。


「いらっしゃい……」

仏頂面の白髪のお爺さんがレジ裏の椅子に腰掛け、軽く挨拶をする。


「すみません。ベッドを買いたいんですけど……」


「ベッドなら二階に置いてあるよ。着いてきな」


「ありがとうございます」

お爺さんに案内されるまま、二階に昇る。


「へぇ~、これはまた凄いな……」


壁際に沿って木製のベッドが間隔をあけて並んでいる。簡素なものから、少し装飾の入ったものまで様々だが、どれも主張しすぎず、実際の部屋に置いた姿が想像できた。


「ネコショウ……どれがいいと思う?」


「うーん、難しいですね」


「なんだい、お前さんら、一緒に寝るベッドを探してるのかい?」


俺の返答を待たずして、お爺さんは熱を込めて語りだした。


「なるほどな。シングルベッドで狭い中抱き合って寝るってのも乙なもんだ。

逆に倦怠期に突入してたり、互いの寝息が気になって寝れないようならクイーンサイズとかお勧めじゃぞ?」


「え、お爺さん、僕ら夫婦とか恋人じゃないですよ!」


「なるほど、許されぬ恋か、はたまたイケナイ関係かの……」

このお爺さん、随分想像力が逞しいな。


「私、これがいいです!」


ネコショウが一番端のベッド?を指さす。


「――ん? てかこれベッドか?」


「ほう、お目が高い。これは、ござといってな、藁の匂いを楽しみながら寝れる風流な寝具じゃ。

あと、くるくるっと巻けば畳めて場所もとらんしの……」


ござなんてものが、この世界で見れるとは……。


「リョウカさん! これにしましょ!」


ネコショウは、なぜかはしゃいでる。


「てか、寝るのは俺でしょ」

「――ござか。

できればふかふかのベッドがいいけど……」


正直、野営も多いため、硬い地面で寝ることはままある。

だから、家ぐらいは柔らかいベッドで寝たいけど。


「嬢ちゃん、サイズはどうする?」


「うーん。セミダブルがいいです」


「なに勝手に話を進めているんだよ。

てか、ござにセミダブルとかいう概念があるのか」


「リョウカさん。さすがにシングルでくっついて寝るのは恥ずかしいです……」


なんか、既に一緒に寝る前提で探してるんだけど。


「嬢ちゃん任せとけ! 

……おおっと、そういえばたまたま、ござの、シングル、ダブル、クイーン、キングサイズが売り切れてるんだった。

兄さん、残念ながらセミダブルしかないぞ……」


おい、ジジイ、なんだそのわざとらしい演技は。

てか、ござのキングサイズなんて誰が買うんだよ。


「わかったよ。仕方ない……な」


俺は内心ツッコミを入れながらも、

ネコショウに根負けして、セミダブルのござを購入する。



夕暮れ時――ネコショウと共にお城の自室に戻る。


「私、いいこと思いつきました!」


「いいこと?」

何だか物凄く嫌な予感がする。


「はい! エアリー陛下にお願いして、このお城でメイド兼、リョウカ様の付き人として働かせていただくことにしました!

だから、夜はここで寝かせて下さいね」


「えっ……」

この時の俺は単なる冗談だろうと思っていた。


――一週間後、ネコショウは本当に城のメイドとして働き始めるまでは……。

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