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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
七章 罪と罰編

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骸?

――激戦が一段落した頃、

仲間全員が合流した。


ジェーンは赤い星を破壊した際、

衝撃波をもろに食らいしばらく気絶していたそうだ。


一呼吸おいて、躊躇いながらも、

――皆にカサンドラの戦死を伝える。


嘘偽りなく、ありのままの全てを伝えた。

彼女の生き様を嘘で穢したくなかったから。


「姉さん……私のために……」

セピアが膝から崩れ落ちる。


俺は、言葉を選びながら続けた。


「カサンドラはもう長くはなかった。

だから、セピア……彼女は未来に懸けたんだ……」

今ならカサンドラの気持ちが……わかる気がする。


「みんな、まだ戦争は続いてるのよ! 

前線に行かないと!」

ミザリアの叱咤に仲間全員が顔を上げる。


「ハルカはここで町の人たちの救助を頼む!」


「はい!」

彼女は快諾して、引き続き救助に専念する。


――カサンドラの死を悼む間もなく、

俺たちはクリステラの前線へと向かう。


アイツの予想通りの展開になったな。

これを使うのは癪だけど。


――ポケットに入れていた犬笛を吹く。


無音が戦場を駆ける。


「ミザリアさん。損な役回りをさせてしまったね」

背後でデュナンがミザリアに謝っている。


「ふふ。いいのよ。こういう役回りには慣れてるから……」 

ミザリアは無理をして笑っているようだった。


熱帯雨林に向かうと、金属同士がぶつかる音や爆音が耳に届く。


――なんだよこれ。

熱帯雨林に遮られ、視界は悪い。


そんな中、クリステラ兵たちが赤黒い骸骨と戦っている。


「なるほど…死霊術ね、中々趣味が悪い。

……たぶん、あれを倒しても意味がないわ。

術者を探しましょう」


ミザリアからの指示が飛ぶ。


「なんだよこれ」

クリステラ兵が骸骨に殺されると、血肉はどこかへ吸い込まれ、骸骨の兵士に成り代わる。


「これは、死体が増えれば増えるほど、

ねずみ算式に敵が増えていくぞ……!」


「木々が邪魔で視界が悪いですね……」

ネコショウが溜め息を漏らす。


確かにこれじゃあ術者を探せないな。

「ステラ……ライアン公へ伝令を頼む。進軍を止めさせるんだ!」


「なにか策があるのね!」


「ああ! 許可が下りたら合図をくれ!」


――数分後、戦場が硬直したかと思うと、

正面上空に風の渦が爆ぜた。


「リョウカくん。ステラからの合図だよ!」


「おう! みんな、全力で目の前の木々をなぎ倒し更地に変えてやれ」


俺の合図で、仲間たちは一斉に範囲技を打ち始める。

――デュナンは風魔法で木々を蹴散らし。

――ミザリアは前方に熱魔法を放ち広範囲を焼き尽くす。

――ジェーンは正拳突きだけで、広範囲の大地を抉っていった。


この骸骨たち、大した数だが、機動力は俺よりも無い。それに遠距離攻撃も無いから、見かけ倒しだ。


次第に骸骨たちの数も減っていき後退し始める。


「たぶん、術者も下がりながら戦ってるわ」


「ミザリア、ここで畳み掛けよう」

俺たちは進軍のペースを速める。


熱帯雨林の端まで来たところで、貴族服のようなマッシュヘアーの金髪の男性がこちらへ歩み寄る。


ケツアゴが特徴的で、涙を流しながら両手を仰々しく広げる。


「貴君ら。よくも我が民を……」

彼が手をかざすと巨大な骸骨が地面から這い出てくる。

ネコショウの化け猫モードと同じくらいの大きさか?


「私は血冠けっかんの徒、第八位、赤兵のデルボロ。我が民の無念、ここで晴らさん」


「デルボロ……民、まさか、フェルナン教国との小競り合いに巻き込まれ、滅ぼされた小国の王子?」


デュナンは彼について、何かを知っているようだ。


「知ったところで拳が鈍るだけでしょ!」

ジェーンは巨大な骸骨に飛び込み、拳を見舞う。

文字通り一撃で粉砕した。


「相変わらず無茶苦茶だな」


「ノーン! クソッ、ならば最終奥義!

地面から赤い骨が突き出てデルボロの体に吸い付いていく」


骨は綿密に重なり合い、赤い甲冑と剣を形成して、デルボロは装着する。


「これこそが我が最終奥義、赤兵!

 その真価を味わうがいい!」


「えい!」

ネコショウが退魔の剣を尻尾で振るい、

デルボロを斬り裂く。


骨の鎧と剣は崩れ去りデルボロは軽い切傷を負う。


デュナンから聞いてたけど、

退魔の剣ってめちゃくちゃぶっ壊れ武器だ。

マナとの結合自体を断ち切るため、マナ由来の攻撃や防御全般を無効化する。反魔アンチマジックの剣。


俺の加護も断ち切れるぐらいだ。

防御貫通みたいなもんだ。


「ふふっ、なかなかやりますね! 今日のところはこれくらいで……」


デルボロが傷口の血を拭い、地面に垂らすと無数の骸骨が這い出てくる。


「まったく、きりがないね……」 

デュナンが溜め息を漏らす。


「ははは、では諸君、また会おう!」

デルボロが軽快に手を振り立ち去ろうとした時、


「グルルルル……」

彼の背後から無数の黒狼ワーウルフが喰らいつく。


「ギャァァァ!」

彼は断末魔と共に狼の群れに食いつくされる。


骸骨の崩壊がデルボロの死を告げていた。


「ほっほっほっ、私の助けなどなくても余裕でしたね」

赤い痩身の人狼……捕食者ハウンドか。


「お前っ!」

ジェーンは捕食者ハウンドを見た瞬間、拳を握り歩み出る。


「ジェーン待てっ! 今回は味方だ!」


俺が羽交い締めにするが、ジェーンは止まらない。


「お祖父ちゃんの仇!」


「いやはや、これだから、理性の無い者は……いただけませんな。これではどちらが獣か分からない」

捕食者ハウンドは溜め息をつきながら、ジェーンを挑発する。


「きさまっ!」


「ジェーン落ち着けって!」


俺が、十人いてもジェーンを抑えられないんじゃないか?


こうなったら最終手段だ!

俺は彼女の前に回り込み両手を握る。


「ほら? キミの苦手なリョウカだよ」


「う……うっぷ……」

彼女は俺の存在をようやく認識して、吐き気を催す。


「ははは。相変わらず面白いパーティーですね。それではお暇させていただきます」

捕食者ハウンドは丁寧にお辞儀する。


「……ま、待て……」

ジェーンは吐き気をこらえながら捕食者ハウンドに手を伸ばす。


「今回の件、これでも感謝はしているんですよ。

リョウカ殿。我らの助けが必要な時はまたお呼びください。我々は契約を破るようなことはしませんので……」

そう言って捕食者ハウンドは密林に消えていった。


意外と律儀な奴なのか?


――ともかく、これで戦いは終わった。

友の結婚式が最悪の形でぶち壊された。

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