表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
七章 罪と罰編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/132

選択?

ネコショウは化け猫モードになり、

地上へ落下するミザリアとハルカを、尻尾で巻き取って助けた。


ネコショウは必死だった。

考える余裕なんて、どこにもない。


「ネコショウちゃん。ありがとう」

ミザリアが高所の回廊を見上げると、木々の上から雨のように人が振ってきた。


デュナンの魔法で落下速度は低下しているものの、各所で悲鳴が上がる。


「皆さんを助けましょう!」

ハルカは率先して動き、落下してきた人々の手当てを始める。



「リョウカさんたちは無事でしょうか……」


「ネコショウちゃん! 今は救助を優先しましょう!」

ミザリアの掛け声で、ネコショウも美少女モードで救助に参加する。


ネコショウの目に映る光景は、あまりにも混乱していた。


「兵たちよ!

白狼に跨り、湿原へ迎え撃て! 

クリステラ前方に敵の大群が迫ってる!」

ステラの父、ライアン公が白狼に跨りクリステラの前方へ兵を連れ駆け出す。


「正面からも敵が攻めてきてるみたいですね。

ミザリアさん、私たちも向かいますか?」

ネコショウはミザリアに指示を仰ぐ。


「いえ、今はみんなとの合流と救助を優先しましょう。敵は内部にも紛れ込んでいるはず。

まずは中の敵を倒して守りを固めましょう」


ミザリアの指示に従い、ネコショウは救助を続ける。


――ズンッ!

息つく暇もなく、空から赤い鬼が振ってきた。


ネコショウは即座に化け猫モードになり、必殺の猫パンチを振るう。


「うにゃあん!」


「ふんっ!」


赤黒い金棒と猫パンチが衝突してネコショウが吹き飛ばされる。


「うにゃあん!」


「熱魔法・火達磨ヒートボール!」

ミザリアが深紅の杖を振るうと赤鬼が炎上する。


「なんだ? 熱魔法か……効かんな」


赤鬼はミザリアに近付いた。


「く……」

ミザリアはじりじりと後ずさる。


「ほう……お前、べっぴんさんだな。

バルフォネア兵に殺された妻にそっくりだ……」

ミザリアを見る赤鬼の目が一瞬和らぐ。


「うにゃあん!」

その隙を逃さず、ネコショウが赤鬼に飛びかかる。


「うるせえ猫だな!」

赤鬼はものともせずに金棒を振るいネコショウを吹き飛ばす。


「お前さん、名前は?」

赤鬼はミザリアに興味を示す。


「私は……ミザリアよ」


「フルネームは?」


「ミザリア・ダークアイよ……」


「ダークアイ……なるほどな。

ならお前もさぞ、辛い思いをしただろう?」


「ええ……そうね。

でも、私はそちら側を選ばなかった……」


「そうだな。……まあ、長生きしろや」

そう言って赤鬼は弱って美少女モードに戻ったネコショウへ詰め寄る。


「お前……魔族か? 

つくづく変なパーティーだな。

……ま、死ねば全て関係なくなるが……」

赤鬼は瀕死のネコショウへと金棒を振り上げる。


ザンッ!

直後、金棒を持つ赤鬼の右腕がぶった斬られる。


「ぐぁぁぁあ!」


赤鬼は悲鳴を上げ、傷口を抑える。


「リョウカ様……」

ネコショウの目の前に、虚ろな瞳のリョウカが退魔の剣を携えて立っていた。


「てめぇ!」

赤鬼は左手に金棒を持ち変えて振るう。

金棒がリョウカの左腕を吹き飛ばす。


「ハハハ、まさか自分で持っている退魔の剣のせいで、加護が打ち消されているとは! 

バカなヤツ――なにっ!?」



吹き飛ばされたはずのリョウカの左腕が、血管のように脈打つ赤い雷と共に再生する。

それと同時にリョウカの右腕の腕輪が赤黒く輝く。


リョウカは躊躇いなく、驚く赤鬼の左腕を切り飛ばす。


赤鬼は腕輪を失ったことで、鬼の体が本来の人の姿へと戻る。


「待ちなさい! リョウカ! もう勝負はついているわ!」


ミザリアの声は届かず――リョウカは退魔の剣で赤鬼の首を薙ぐ。


赤鬼は血肉となりリョウカの腕輪に吸い込まれていった。


異様な雰囲気のリョウカにミザリアは後ずさる。


「リョウカ……様。リョウカ……様」


ネコショウが縋るようにリョウカの名前を呼ぶ。


リョウカは、斬り伏せた相手を見ることもなく、

ゆっくりと視線を巡らせた。


次の敵を探すように。


「……リョウカ様?」


ネコショウの声に反応はない。


リョウカの目は虚ろなままで、赤い腕輪が輝いている。


ネコショウは、一歩も近づけなかった。


いつもの背中なのに。

そこから感じる気配が、まるで別物だったからだ。


このままでは、また誰かを斬る。

そう確信して、ネコショウは飛び込んだ。


「リョウカ様!」

ネコショウはリョウカから退魔の剣を奪い取る。


「……あれ、俺……」

リョウカが小さく呟いた。


「リョウカ様……!」

ネコショウは退魔の剣を捨てリョウカに抱きつく。


「ネコショウ……」

リョウカはわけもわからないままネコショウの頭を撫でる。


ネコショウは、リョウカの背中から

ようやく力が抜けていくのを感じていた。


――今度は、間に合った。

ネコショウは安堵の溜め息と共にリョウカを力強く抱きしめる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ