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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
七章 罪と罰編

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花嫁?

朦朧とする意識の中で、ステラはゆっくりと立ち上がった。


ステラの目の前にピンクのツインテールの少女が飛び跳ねている。跳ねる度に赤いゴスロリ服のフリルのスカートが揺れる。


「きゃははは☆」

笑っているのに、目だけは笑っていなかった。


「なにがそんなに面白い?」

ステラは短剣を抜き構える。


「きゃははは☆ あなた花嫁でしょ? 

幸せな瞬間をぶち壊されるのってどう? どう?」

彼女は無邪気にあっかんべーをしてみせる。


「貴様っ! 風魔法・鎌鼬かまいたち!」

ステラから無数の風の斬撃が放たれる。


ズンッ!

目の前に赤く半透明の結晶が出現し風の斬撃を防ぐ。


「私は血冠けっかんの徒。第四位の赤星のサタリナだよ! よろしく☆」


ふざけた様子の血徒が指を振り上げる。

「潰れた花嫁を見る、新郎の顔を想像したら――

たまんないっ☆」


直後、ステラの上から赤い星が振ってくる。


「風魔法・風精霊舞シルフィード

ステラは風を纏い間一髪、振り注ぐ星を回避する。


星は着弾した瞬間に爆ぜ、地面に巨大な穴を開ける。


「ふーん。つまんない……」


「私を殺しても新郎……デュナンは悲しまないぞ! これは政略結婚に過ぎないから……」


「でもでも、あなたは好きなんだよね?」


「……」

ステラの表情が一瞬、曇る。

言葉に詰まり無言で返す。


「なんだか可哀想になってきたわ。私は幸せな奴をぶち壊すのが好きなのに……あなたを潰してもつまんなそう」


「敵に同情される謂れはない!」

ステラは風を纏ったまま、サタリナに詰め寄る。

短剣を構えて強襲する。


しかし、サタリナは半身を翻し、ステラの剣閃を躱す。

その勢いでサタリナの回し蹴りが、ステラの腹を捉える。


「ぐっ……がはっ!」

ステラは勢いよく吹き飛ばされる。


「ふふふ、こう見えて、私って、体術もいけるのよ!」


「さてさて、そろそろ花嫁のミンチを作ろうかしらね☆」


サタリナが天に人差し指を掲げる。


ステラのドレスはボロボロで泥まみれだ。


――次の瞬間、風が舞う。


「きゃああ!」


サタリナが暴風に吹き飛ばされる。


風が、すべてを押し流した。


「――僕の妻に手を出さないでくれ」


颯爽と現れたデュナンが耳飾りを揺らしながら、

サタリナの前に立ちはだかる。


「きー! なによあんた! ムカつく!」

サタリナは立ち上がり、スカートの裾を整える。


「ムカつく! ムカつく! ムカつく!」


サタリナは連発して、デュナンに赤い星を叩き込む。


しかし、デュナンを纏う風が一瞬で星々を塵にする。

デュナンの目が緑色の発光を放っている。


「な、なによあんた…まさか、加護持ち?」

サタリナがジリジリと後ずさりする。


「デュナン、待って!」

ステラがデュナンを止めようとするが、

暴風で近寄れない。


「よくも、この民を……! よくも、ステラを!」

デュナンは怒りで我を失っている。


「いや、いや、いや、サタリナは可哀想な子なの! 親に見捨てられて、盗人って虐められて! 可哀想でしょ? だから助けて下さい!」


「知るか……死ね!」

サタリナに歩み寄るデュナンの背後から、ステラが彼を抱きしめる。


「デュナン、お願い! 抑えて! 目的を見失わないで!」


「サタリナ……」

次第にデュナンの目の輝きが戻る。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


サタリナは既に放心状態だ。

デュナンが剣を収めた次の瞬間。


――サタリナの体が爆ぜた。

赤い腕輪は敗北を許さない。

その血肉は腕輪へと吸い込まれていった。



カサンドラを看取ったリョウカ。


既に、カサンドラの亡骸さえ赤い腕輪に食われていた。


リョウカは退魔の剣を拾い腰にかける。


「セピア……少しだけ待っててくれ。仇はとる」

気絶しているセピアの頬を撫で、虚ろな目をしている青年が歩き出す。

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