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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
七章 罪と罰編

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結婚式?

――結婚式当日。


せっかくの祝いの場だ。笑わないとな。

俺はタキシードに着替え、乱れた頭髪をジェルで固める。


クリステラの中心部にある、広場にて参加者が続々と集まっていた。


人混みの中、カサンドラが立っていた。

淡い緑のドレスを身に着け、若葉に朝露が残る色合いで、光を受けるたびに柔らかく揺らいだ。


「カサンドラ……昨日はごめん!」


「なんですの? 謝るぐらいなら初めから抱きつかなければいいのに……」

やはり怒ってるのか彼女はそっぽを向く。


「こらお前! 姉さんに何をした!」

横腹に飛び蹴りが入る。


「いだっ! ……この暴力女が」


セピアが鼻息を荒くし、堂々と立っていた。


身にまとった純白のドレスは、意外なほど静かだった。しかし、その立ち姿から滲む圧は、純白とは程遠かった。


「セピア、やめなさい。そんなモノを蹴ったらせっかくのヒールが汚れてしまいますわよ」

カサンドラは口元に手を当て上品に笑ってみせる。


「てか、お前らいつの間に仲良くなったんだよ……」


喧騒の中、俺の視線は一人の少女に釘付けになる。


彼女の黒いドレスは、夜をそのまま切り取ったような深い色をしていた。

そこに結ばれた水色のリボンだけが、ひどく無邪気で、ひどく目立つ。

甘さと影が同居した配色は、彼女自身をそのまま映しているようだった。


「ネコショウ……お前……」


「リョウカ様……そんなにまじまじと見られると恥ずかしいです」


ネコショウは頬を赤らめ下を向く。


「いだっ!」

今度はカサンドラにヒールで足を踏まれる。


「昨日はわたくしに抱きついた癖に……優柔不断な男って最低ですわよ」


「ですわよ!」

カサンドラに続き、セピアも舌を出して俺を威嚇する。


この世界が本当に一夫多妻制なのか不安になる風当たりの厳しさだ。


「まったくあんたらは、こういう時ぐらい静かにできないの?」

ミザリアの赤黒いドレスは、深いワインの色を夜に溶かしたようだった。

赤は主張せず、黒に抱かれて静かに熱を宿している。


「へぇ~、意外と似合うもんだな」


「あなた、相変わらず失礼ね」

ミザリアは溜め息と共にそっぽを向く。


「リョウカ様……お待たせ致しました」


ハルカが少し長いスカートの裾を気にしながら、小さく歩幅を調整する。


「ほら、掴まって」

俺は手を差し出し、不安定な足場を歩く彼女をエスコートする。


「ちゃんとしてるときは、いいんだけどねぇ」

ミザリアが更に溜め息をつく。


なんだよ。そもそも女性受けなんて考えて生きてねえよ。


心の中で悪態をついていると――

「皆さんおはようございます」

ジェーンが軽快に歩いてきた。


「え、てかお前なんでタキシード着てんの? ドレスは?」


「え、こっちの方が動きやすいじゃん。血徒が攻めて来るかもしれないんでしょ?」


「いや、そうだけど……これはどうなんだ」


ミザリアが軽く耳打ちする。

「今は多様性の時代だから」


異世界まで多様性かよ。

ジェーンのドレス姿も見たかっただけに、肩を落とす。


溜め息をつくと、周囲から歓声が巻き起こる。


本日の主役であるデュナンとステラが登場した。


デュナンは白いタキシードに身を包み、いつも以上に輝いている。


そして、ステラ。

純白の花嫁衣装に包まれて、静かにそこに立っていた。過剰な装飾はなく、だからこそ一つひとつの線が美しい。

視線が集まる理由は、衣装ではなく、彼女自身が“主役”だからだと誰もが理解する。


「どうだ! お前ら、我が娘は可愛いだろう!」

なんか元気なおっさんが叫んでいる。


「あの人はステラさんのお父上のライアン・メルフォード公よ……」

ミザリアがそっと耳打ちをする。


「ふーん。そういえばバルフォネア平原での戦争の時に見かけた気がするな……」


神父が司会進行する中、突如、景色が赤に染まる。


俺が空を見上げた瞬間、クリステラを覆うほどの赤い星が落ちてくる。

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