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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
六章 分岐編

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決意?

隣に立つカサンドラ。

ローブの袖口から赤い腕輪が見え隠れしている。


「話し合いを選んだってことは、俺を殺そうとした理由を教えてくれるのか?」


「ええ…」


カサンドラは変わらない横顔で遠くを見ている。

彼女の顔からは感情を窺い知ることはできなかった。


しばらくして、決心したように口を開く。

「あなたを殺さないと、お姉様が死んでしまうの…」


「カサンドラがそう言い切るってことは、

何か確証があるんだよな?」


血冠けっかんの徒については……ご存じですわね」


俺は返事の代わりに右手に装着した赤い腕輪を見せる。


ペアルックだな、と、冗談を言いかけたが、とてもそんな雰囲気ではなく止めた。


「えっ!? あなたも、血徒になったのですか?」


「そういうわけではないが……ま、不可抗力だ。

察してくれ……」


「まったく、貴方はいつも想像の斜め上を行きますのね」


「はは……」

正直、ダイダスやネリルを殺した奴らと、カサンドラが同類だなんて思いたくなかった。


「血冠の徒の総帥が未来視の能力を持っていますの」


「未来視?」


「言葉のままですわ。未来が視えますの……」


「俺が原因でアグリアスが死ぬ未来が予言されたと」


カサンドラがコクンと頷く。


カサンドラのことだ。

その総帥の予言を信用できるだけの根拠があるのだろう。


カサンドラの性格を考えると、アグリアスが死ぬ可能性があるなら俺を殺そうとする。その事には納得できる。


その覚悟が腕輪という形で表れている。

腕輪は装備者が敗北した瞬間、その命を奪う。

これはかなり重い制約だ。


「でも、わざわざカサンドラを懐柔してまで、俺を殺そうとするってことは、血徒側にも思惑があるんだろ?」


「ええ……、総帥の話によると、貴方は因果を歪めいずれ世界を破滅に導くと……」


突拍子もない話だが、笑い飛ばせる内容でもなかった。


「おおよその理由はわかった。……で、今回話してくれた理由は?」


「ええ、貴方にお願いがありますの……」


「お願い?」

カサンドラはこちらに向き直り口を開く。


「わたくしに大人しく殺されてください」


「嫌だ…と言ったら?」


「……決闘を申し込みます」

彼女の目は本気だ。腕輪の装備者同士の決闘。

これはすなわち、どちらかが死ぬということ。


カサンドラも俺と同様に命をかけるということ。


「日時は?」


「三日後、今夜と同じ日時で、場所は王都闘技場のコルデオで……その時までに決めておいてください」


「俺が来ない可能性は考えないのか?」


ふっ。

彼女は珍しく笑みをこぼし、口を開く。


「ええ、貴方は女性の誘いは断らないですもの」


「はは、そう言われたら行くしかないか」


「最後に一ついいか?」


「なんですの?」


「俺のこと……嫌いか?」


「……はい」


「そうか……」


「初めは嫌いでしたわ。でも、最近は邪魔にはならない程度には好きでした」


「カサンドラらしい返しだ」


それだけ話すと俺たちは互いに別々の方へ歩き出した。


こんな状況だというのに、

少しだけ心のモヤモヤが晴れた気がした。



翌日、騎士庁舎に再び訪れた。

副団長セピアの様子を見るためだ。



――と、セピアの自室にアグリアスが入って行くのが見える。

何も悪いことをしていないのだが、なんとなく物陰に隠れてしまう。


二人の会話が微かに聞こえてくる。


「アグリアス団長……団員を二人も死なせてしまいました。申し訳ございません」


「セピア……逆だ。お前は三人も仲間を救ったのだ」


「いえ、私は救うどころか、ダイダスに救われました。彼がいなければ私も死んでいました……」


「ならダイダスは命を賭して副団長を守り抜いたのだな。立派な騎士だ……」


「やめてください! どれだけ、前向きな言葉をかけられても……私は、私はもう、騎士は続けられません。どうして私を副団長に選んだのですか。皆、私には荷が重いと陰で言われています」


――セピアもいろいろ抱えてたんだな。


「セピア…私はお前を引き止めに来たのではない。ただ、一つ言わせてもらうと、お前が騎士団を辞めれば、この先、死なずに済んだ仲間も死んでしまうかもしれない。死に際を見ずには済むが…お前はそれでいいのか?」


「………」

セピアからの返答は聞こえない。


「それと、私がセピアを副団長に任命した理由は、誰よりも守りたいという意志が強かったからだ。私がどれだけ指導をしても、意志まで鍛えることは困難だ。だから、今は休むといい。また、意志が戻ったらその時は力を貸してくれ!」


さすがアグリアスだ。

あんな慰め方は俺にはできない。


――と、アグリアスが部屋から出てくる。


「リョウカ……盗み聞きか?」


「なんだ、バレてたのか……」


俺たちは場所を移して話す。


「リョウカも声をかければよかったのに……」


「いや、今の俺が何を言っても焼け石に水だ……」


「リョウカは落ち込んではないのか?」


「落ち込んでるさ。英雄なんてだいそれた称号だよ……」


「でも、お前は立ち止まらないんだな」


「ああ、俺には守りたいものがはっきりしてるからな……」


それだけ、言葉を交わしてアグリアスに別れを告げる。


――どうするべきかは腹を括った。

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