表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
六章 分岐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/134

血?

風が撫でる夜の牧草地。野営の焚き火が仄めく。


「ガッハハハ! 英雄さん、若えのに大したもんだ!」

ダイダスは俺の背中をバシバシ叩く。


「いや~すごかったですよ。あの状況でよくそこまで冷静に判断できましたね!」

男性陣がベタ褒めなのに対して女性陣の目線がやや冷ややかだ。


「私はへなちょこって言われたの忘れてませんからね!」


「あぁ、あれは、ネリルの性格を踏まえて、わざと挑発したんだよ。いい魔法、持ってんじゃん!」


俺の言葉にネリルの顔が赤くなった気がした……。

焚き火に当てられただけかもしれないが。


「私ははっきりいって、あんたは嫌いよ!」


ここまで拒絶されると気持ちいいぐらいだ。


「なんでだい?」


「だってアナタ、どさくさに紛れて私の胸をさり気なく何回触ったと思ってるの? 気付いてないとでも思ったの?」


「えっ…、いつの間に触ったんだ!?」

それは、ホントに気付かなかった、なんて勿体ない事をしたんだ。

認識できていないラッキースケベなんて意味ないだろ。


「ガッハハハ! あの戦闘の最中にセクハラまでする余裕があったとは。それを聞いてますます株が上がった」


いや、ダイダスさん褒めるところおかしいから。


「ちょっと、おっさん飲みすぎよ!

 副団長がいる前でよくそんな態度をとれるわね!」


任務中だってのに緩い騎士団だよ。

――ん? 今、おかしな会話の流れがあったぞ。


「あれ……副団長って誰だ?」


「私よ! なによ今更!」

セピアが自分を指さす。


「俺はてっきり、ダイダスが副団長と思ってた」


「いや~、無理はありませんよ。セピアさんって頼りな――ぐはっ!?」

ユーフォスが致命の一撃を取られてダウンする。


「セピアちゃん。暴力はよくないよ…」


「ちょっとネリル、あんたも副団長って呼びなさいよ!」


「落ち着けって、セピア。副団長ってのは肩書じゃなくて、姿勢で示すものだよ」

いや〜、俺、良いこと言うようになったな。


「うっせぇ!」


「ぐはっ!?」

セピアから不条理な腹パンが飛んでくる。

こいつアグリアス以上に暴力的だ。


あいつもこんな奴を副団長に指名してるなんて、

どうかしてる。


「はっはっは、若いってのはいいねぇ」

こうして、時間とダイダスの酒が進んでいった。



翌日の夕方、ようやく目的地のフロージア村に到着した。


豊穣の地を夕日が照らす。


本来、人々の往来がある中心部では、生き物の気配がまるでしない。


「本当に人っ子一人いませんね」

ネリルが怯えながら肩を狭める。


「確か、ジェーンが先に現着してるはず…」


俺は周囲を嗅ぎ鼻を利かせる。


「ちょっと、アンタなにしてんのよ?」


「ああ、俺、女の子の匂いならある程度離れてても追えるんだよ」


「えっ…」

セピアの顔が青ざめる。


「へぇ~、すごいですね! ちなみにどんな匂いなんですか?」

ユーフォスは興味津々に尋ねる。


「ジェーンは柑橘系の匂いがする。ネリルが鰹節でセピアが肉の脂っぽい匂――ぐはっ!?」

再びセピアの腹パンが俺を襲う。


「ガッハハハ、それはさぞいい匂いなんだろうな」


「ちょっとおっさん! 完全にセクハラよ!」


「かつおぶしってなんですか〜、気になりますよ〜」


まったく、賑やかな奴らだよ。


「こっちだ!」

ジェーンの匂いを辿ると、村の外れに人影が見えた。


「あっ! あれじゃないですか?

ジェーンさ〜ん!」

ネリルが駆け出した。


灰色のローブに赤い腕輪。

――まずい!


「ネリル、血徒だっ!」


次の瞬間、血飛沫が舞う。


ネリルの血を浴びた灰色のローブが赤黒く汚れる。


「う、うわぁぁぁ!」


「よせ、ユーフォス!」


ユーフォスが制止を振りほどきショートソードを掲げ突っ込む。


ザシュッ!

赤い刀が閃きユーフォスも切り捨てられる。


次の瞬間、セピアの目の前に灰色のローブが立っていた。


「クソッ!」

ダイダスがセピアを庇うように割って入る。


赤い刀はダイダスの心臓を貫いていた。


あまりにも一瞬の出来事で、誰も反応が追いつかない。


このままじゃ、皆殺される!

クソッ!


「う、うわぁぁぁ!」

セピアがレイピアを抜く。


ダイダスの体を死角に、赤い刀が突き抜け、ダイダスの背後にいるセピアを狙う。


セピアは咄嗟に体を捻じるが横腹を刀がかすめる。


「やめろ!」

俺は灰色のローブに突っ込みタックルする。


ガンッ!

――鈍い音がする。


なんだ、こいつの体、硬い。


直後、赤い刀が俺の首を捉えるが、首を撫でるだけで刃は届かなかった。


「――っ!?」

反応と共に灰色のフードがとれる。


地面まで垂れている長い黒髪。

凛として整った顔立ちの少女。

赤い瞳からは一切の感情を窺えない。


「なるほど、あなたが英雄リョウカですか」 

澄んだ女性の声。凛とした立ち姿。赤い刀。


「お前は何者だ?」


「私は血冠けっかんの徒・第二位・ウリアナ・ベルベルト…」


「第二位……」

かなり上のポジションなのか?

それよりも早くみんなを助けないと。


直後、赤い刀閃が舞う。

しかし、俺に斬撃は届かない。

回避してカウンターで拳を突き出す。


クソっ、なんて身のこなしだ。まったく、当たらない!


セピアを横目で見るが、体が震え、膝を着いている。


「――刀が届かない? ならば!」

ウリアナは俺に攻撃が効かないと踏むと、セピアの方に飛びかかる。


――まずい!


「リョウカさん。拳の角度が違いますよ!」


次の瞬間、ウリアナが吹き飛ばされてく。


「ジェーン!」

   

最強の格闘家が血徒の前に立ちはだかる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ