表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
六章 分岐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/136

転生者?

翌朝、城の大食堂にてエアリー陛下を交えて朝食を囲む。


部屋の中央に配置された長机は、やわらかな赤みを帯びた木で作られていた。

磨き込まれた天板は、燭台の灯りを受けてあたたかく照り返す。傷はあるが荒々しさはなく、長い年月、ここで人が笑い、語り、食事をしてきたことが自然と伝わってくる。


「皆さーん。今日の朝ごはんはリョウカの奢りですから遠慮せず召し上がってください!」


「わーい! ただめし! ただめし!」

アリスははしゃぎながら銀食器のフォークとナイフをカチャカチャ唸らせている。


「えっ、城の飯なのに俺の奢りなの?」

エアリー陛下の言葉に動揺する。

なんせ、俺の給料の八割はタチアナの食費で消えてるから中々にきつい。


「当然です。リョウカは放っておくとすぐに女性を連れ込みますからね。これ以上、女性を養えないように抑制する必要があります。

それに、ラッキースケベなんて卑劣なスキルをお持ちですしね。

大切な仲間に嘘をつくなんて考えられませんよね」

どうやらエアリー陛下にも昨晩の話が伝わっているようだ。


別に因果を捻じ曲げるスキルでいいじゃん。

ちゃんと説明しなかったことをそこまで根に持たなくても……。


「それよりも転生者ってのが本当に存在したとはね。文献でぐらいしか目にしたことがなかったから、にわかには信じがたいわね」

ミザリアの言葉に、ネコショウが反応する。

「そもそも女神様がいたことに驚きですよ!」


「魔王軍の幹部をいつの間にか部屋に引き入れているリョウカにも驚きだがな!」


皆が思い思いに喋るせいで、話はとっ散らかったままだ。


確かに、先王ロメオスの時であれば魔王軍幹部を城に住まわすなどあり得なかっただろうな。


「この世界、メルフィナに転生した者はリョウカを含めて過去四人しかいません。珍しくて当然です。ちなみに、ガーザックも転生者の一人ですよ」

タチアナは淡々と話す。


え、ガーザックが転生者!?


「ガーザックも転生者なんですね」

アグリアスは驚き、銀製のコップを倒す。

「――と、申し訳ございません」


「タチアナ、ガーザックってどんな奴だったんだ?」


「そうですね。なんといえばいいか…転生の間に訪れた時点で、既に別世界ではそこそこ名の知れた英雄でしたから…。彼がなにを思って暴君となったかまではわかりません。なにぶん、昔のことですし」


「女神様、リョウカの右手に着いているガーザックの血徒の腕輪について、なにか知りませんか?」

アグリアスの言葉に合わせて、俺は自身の右腕を見せる。


「貴方…馬鹿なんですか?」

タチアナの声のトーンが低くなる。


「わざと着けた訳じゃないんだ…」


「まあ、仕方がありませんね。

その赤い腕輪はガーザックのチートスキルの一種です。腕輪をつけた者が人を殺せばガーザックは何度でも現世に蘇ります。

身に着けた者はガーザックが所持していたスキルが、適性に応じて分け与えられます」


「なるほどね。だから、魔法とは別枠で同時に使用できたのね。ちなみにガーザックが蘇るにはどれぐらいの人数を殺さないといけないの?」

ミザリアはタチアナにも物怖じせずに尋ねる。


「人数というよりは殺された者が所有しているマナの質に左右されます。平均的な成人のマナでいえば、約一万人の命が必要になるでしょう」



「一万人……ですか……」

フォークを持つ手が止まりネコショウの顔が青ざめる。


「いっちまんにん! いっちまんにん!」

アリスは何がそんなに楽しいのだろうか。


「…で、どうするリョウカ?」


「えっ、俺?」

突然、アグリアスに水を向けられ、思うように言葉が出ない。


「当然だ、命を狙われたのも、腕輪を付けているのもリョウカだろ?」


「いや、アルバ深林ではミザリアかネコショウが狙われていたのは間違いない。必ずしも標的が俺だけとも限らないだろ?」


「ま、でも方針は必要じゃない?」

ミザリアの言う通りだ。


「正直、俺はカサンドラ以外はどうでもいい。血徒けっとだのガーザックだの好きにすればいい」


これが、一番の本音だ。


「今は何もしなくてもいい。カサンドラの狙いが俺なら待ってれば自分から来るだろ。ただし、血徒の奴らが俺たちの大切な者を奪うようなら容赦はしない」


皆、何も言わなかった。

でも、表情で俺の意見を肯定してくれてることが分かる。



王都から南西にあるフロージア村。

村人が五十名程の小さな村だ。

この村で採れる農作物は品質が良く、バルフォネア王国全体を潤している。


翌日。

俺の考えを否定するかの如く、フロージア村の住民全員が一切の足取りも掴めず失踪した。


赤い腕輪が、静かに血を求めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ