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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
六章 分岐編

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旧友?

最悪の光景を見て、

エアリー陛下の目に涙が浮かぶ。


「リョウカ…やっぱり幼い子が好きなんですか。

だから、最近、私に対してそっけなかったのね。

もう、貴方から見たら私は年増…っ」


なんか、斜め上の勘違いをされているけど。


エアリー陛下は声を殺して、泣きながら走り去っていった。


さて、どう誤解を解いたものか…。


「なんです。朝から騒々しい」

タチアナが口に詰められたタオルを、ぷっと吐き出す。


「それで、リョウカ様…これはどういう状況ですか?」



…かくかくしかじかで一通り状況を説明する。


「それで私にどうしろというのです? 魔王軍幹部なら今すぐ殺しますか?」


「ひっ…!?」

アリスは低い悲鳴をあげ、俺の背後に隠れる。


「おい、タチアナ!」


「ま、冗談です。女神が異世界に干渉することは理を乱すとして、本来は禁じられてますから」

  

「顔が真顔すぎて冗談を言ってるように見えねえよ」


女神タチアナは俺の因果なスキルのせいで、こちらの世界に連れてきてしまった。

しかも彼女の話では来る方法は知っているが、戻る方法は知らないとのこと。


「お兄ちゃん…私これからどうしよう。行くところもないし…あてもないし」


「仕方ない。アリス、少し待ってろ!」


居場所が無い辛さは俺が一番よく知っている。

どうとでもなれ。


「リョウカ様、お待ち下さい!」

やっぱりタチアナは全てお見通しか。


「ついでに朝ごはんを用意して下さい。至急!!」


「なんだ、そんな要件か…」

まったく、ニート生活が続くと、態度がでかくなるから厄介だ。



その後、エアリー陛下に事情を説明して誤解を解いた。

幸いにも彼女も一度、アリスと対峙していたため、五時間ほどで誤解は解けた。


「おい、アリスここに住んでいいぞ」


「え? いいのか?」


「まったく、貴方は…器が大きいのと、無謀なのは違いますからね。リザリーの件があったのにまだ懲りてないんですか?」


タチアナが大量パンを頬張りながら釘を刺す。

相変わらず凄い食欲だ。

朝の分を食べ逃したと言い訳しながら、四十個目のパンを口に運ぶ。


女神は異世界の歴史を情報として得られるらしい。

俺の苦い失態も彼女には筒抜けだ。


「懲りてないよ。俺のスタンスは変わらない。居場所が無いやつは俺が居場所になる。それだけだ」


「お兄ちゃん…」

アリスは声を潤ませる。  


「言っていることは立派ですが、その後のことはちゃんと考えているんですか? 

万が一、彼女が被害を及ぼしたらとか、死人を出してしまったらとか?」


いちいちごもっともだな。


「その時は全力で止めるし、お説教してやる。

アリスはもう悪いことはしないよな?」


アリスは激しく首を縦に振る。

去年、俺に植え付けられた恐怖を覚えているようだ。


「まあ、貴方の選択に口を出すつもりはありませんが」

充分、口出ししてる気もするが…。

そう言ってタチアナは五十個目のパンを平らげた。


「とりあえずアリス、これをつけてろ」

アリスに花柄の布地を手渡す。


「兄ちゃん。みてもいい?」


「ああ」


アリスは俺たちに配慮して窓際を向き目を開く。


「うわぁ! キレイ!」


花柄の布地をじっくりと観察する。


「ほら、着けてやるよ」

アリスから布地を受け取り彼女の目を覆う。


「ありがとう、兄ちゃん!」

アリスが振り向き様に抱きついてきた。


「ロリコン…」

タチアナがボソッと悪態をつく。


「おい、聞こえてるぞ!」




午後からは哨戒しょうかい任務で、王都周辺を見回りしていた。


これは俺が進んでエアリー陛下にお願いしてやらせてもらっている。

さすがに、何もせずにお金だけ貰うのは気が引けるからな。


近衛兵といってもエアリー陛下には既に手練れの護衛がいる。俺なんかよりも頼もしいやつだから安心だ。



人気のない街道をしばらく歩いていると、灰色のローブを深く被った冒険者が目の前から歩いてきた。


顔がよく見えないが、体格的に女性か?


すれ違いざまに俺の鼻があることに気付く。


振り向いた瞬間にローブ姿の女が剣を抜き俺の首を捉える。


俺は間一髪のところで飛び退き、かわす。


彼女が持つ剣に見覚えがあった。


「おい…それ、退魔の剣じゃないか! それにその匂い!」


ちっ…!

ローブの女は舌打ちだけ残し走り去っていった。


間違いない。俺が仲間の匂いを間違う筈なんてない。苦楽を共にした仲間の匂い。

どうして…お前が…。


彼女は確実に俺を殺す気だった。

俺の中で日常が崩れ去る予感がした。

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