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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
六章 分岐編

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最悪な災厄?

「ごあぁぁぁぁ! ぐがぁぁぁぁぁ!」

今夜も、けたたましいイビキのせいで寝付けそうにもない。


エメラルドの髪は乱れ、堕落した女神様――タチアナがベッドを占領していた。


腹を出しボリボリ掻く姿は中年のオヤジさながらだ。


価値観の押し付けは良くないが、少なくとも俺の中で、

“女神”や“女性”といった枠には収まっていない。


こいつのイビキのせいで誤解され、

王城で魔物侵入騒ぎにまで発展したのが記憶に新しい。


タチアナはベッドで俺はソファーに寝る毎日。

確かに連れてきてしまったのは俺の責任だが、

ニートを養うほど、給料は貰ってないぞ。


なんで俺の部屋で寝てるかって?

こいつのイビキがうるさくて他の部屋だと城の兵士やメイドから苦情がきたからだ。


俺の部屋は、以前、陛下が王女の時に使用していた部屋をそのまま使わせてもらっている。

その部屋は離れの塔にあるため、そのまま女神様を押し付けられてしまった。


ふぅー。

溜息をつきながら、騒音から逃れるように、夜の渡り廊下を歩く。


さて、例の少女の笑い声の真相でも探るかね。


そのまま、城を歩き続けるが特に異常はなかった。

見回りの兵士に話を聞いてもただの噂や空耳だろうとのこと。


特に嗅いだ覚えのない女の子の匂いもしないしな。


「所詮、噂は噂か…」

そう結論付け自室に戻ろうとした時、


「ふふふ…」「ははは…」

微かに笑い声が聞こえる。


――外か。

声に導かれるまま中庭の庭園に足を踏み入れる。


ふと、花壇の隅に、

まぶたを閉じた黒衣のゴスロリ少女が一人、佇んでいた。


彼女は俺に気付く素振りもなく花たちと戯れている。

「なにしてんだ、お前? てか、なんでこんなところにいんだよ」 


俺はこいつを知っている。

一年前の戦争で対峙した。


「ん? おぬしは誰だ?」


「ほう、自分を倒した相手を忘れたのか?」


「んなあ!? その声はあくまのおにいちゃん!」


こいつは魔王軍七幹部の一人――最恐のアリスだ。

目が合った相手を恐怖で蝕む恐ろしい奴だ。


「とりあえず、ここにいたらまずいな。厄介なことになる」


俺はアリスの首根っこを掴み自室まで連れて行く。

「いやだ! はなせ! また、ありすに、ひどいことするんだろ!」


「危ない発言はやめなさい。というか静かにしてろ。みんな起きちゃうだろうが」 



部屋に戻ると騒音は続いていた。


「なに、この声は…。まさか、あたしを魔物に食わせるのか…」


やっぱりタチアナのイビキって魔物の声に聞こえるのか。


「それにしてもアリスは目を閉じている時は前が見えないのか?」

当然といえば当然なんだが、えらく不便な能力だな。


「あたしの目ね……かってに人をこわしちゃうの。

だから、ちゃんと見ないようにしてるんだ。

でもね、まっくらってわけじゃないよ。

まわりの“かたち”は、なんとなくわかるの」


「んごぉぉぉぉぉ!」

うるさすぎるだろ。タチアナのせいでまともに会話すらできん。


「よいしょ、よいしょ!」

アリスが唐突に部屋にあったタオルを丸め出した。

様子を見届けていると、

それを丸め、大きく開いたタチアナの口に突っ込んだ。


「んぐぁ……」

部屋の中が一気に静まり返る。

今まで口を塞ごうと考えなかった訳じゃないけど、さすがに可哀想だと思い実行まではしなかった。


「よし、これで静かになった」


――そうこうしているうちに、朝日が差し込んできた。


「それで、なんでまた王都にいるんだ。魔王の差し金か?」


「なんでもなにも、あたしは、ずっとここにいるよ」


「ん?」

イマイチ要領を得ない。


「だから。一年前からずっと、王都にいるんだってば」


「…なんで?」


「なんでって、そんな言いかた、あんまりじゃないか…ぐずっ…ぐずっ」

アリスが突然泣き出した。


「いや、戦争は終わっただろ。退却しなかったのか?」


「ぐずっ…ぐずっ…気づいたら、みんないなくて、帰り方もわからないし、歩いてたら、お城についたから、ずっと隠れてた…」


「えっ……隠れてたって、

戦争が終わったの一年前だぞ!?

一年もの間、お城に潜んでたのか?」


「だって、しかたないだろ。帰り道がわからなかったんだから…」


まさか、一年も迷子になる魔王軍幹部がいるとは、さすがに不憫に思えてくる…。


どうしたものかと考えあぐねていると、突然、部屋の扉が激しくノックされる。


「リョウカ! 朝早くにすみません。昨晩、見回りの衛兵からリョウカが嫌がる小さな女の子を無理やり部屋に連れて行ってたと報告がありまして…さすがの、貴方でもそこまでしませんよね?」

この声はエアリー陛下か。


てか、さすがのって相変わらず信用ないな。

――まずい!!


万が一、アリスがまぶたを開けたら、エアリー陛下が危ない。


「エアリー陛下、少し待ってくれ!!」


ドン、と。

ノックの音が、さっきより強くなった。


慌てて近くにあったタオルでアリスに目隠しをする。


「な、なにをするのだ!

まさか、またひどいことをするのか…やめてくれ、アリスがわるかったから。これ以上、イジメないで…」


アリスは再び泣き出した。


「いや、違うからじっとしてろって」


「ちょっと何をしてるのリョウカ!

入りますよ!」


エアリー陛下が勢いよく扉を開け放った。


彼女は一瞬の沈黙のあとアリスに視線をやり、次にベッドで寝ているタチアナに目を向けた。


目隠しをされ泣いている女の子。

口に布を突っ込まれ、服の乱れたタチアナ。


状況が最悪なのは言うまでもない。

みるみる、エアリー陛下の顔から血の気が引いていった。

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