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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
五章 奪還編

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世界は続く?

アグリアス一行は北と南に現れたライザルド軍の援軍から挟まれ後ずさる。


目の前には人類最強の男、アーサー・オズワルドが対峙していた。


「アーサー様…鍵の細工は済みました」

突如、何もない空間から青いマントを揺らめかせ、青髪のボーイッシュな女性が現れる。


「ミレディ副団長…ありがとう。ほどなくこの戦争も決着がつくだろう。君は下がっていろ」


「御意に―」

それだけ言い残しミレディ副団長は再び虚空へと消え去った。


「鍵とはなんの事だ? それに副団長だと?」


「なんだね。自分の居場所が奪われたことへの嫉妬かね?」

アグリアスの質問にアーサーは挑発で返す。


「私の居場所はとうに決まっている…」


アグリアスは聖剣クラリウスを輝かせ構える。


「ステラとネコショウ、ミザリアさんは僕と北を抑えるよ。カサンドラさんはアグリアスさんの援護を頼む。

――ジェーンさんは…一人でいいよね?」


「余裕です!」

ジェーンは笑顔で返すと一人で南軍を抑えに駆け出す。


デュナンはアグリアスとアーサーの因縁を組んだ上で分担を決めた。

単純にアーサーとの勝率を考えたらジェーンを当てた方がいいだろう。


だが、デュナンはそうしなかった。


南の戦場でジェーンが、見事に大軍を蹴散らしている。


しかし、北の戦場は徐々に押されつつあった。

連戦での疲労。マナの消費も重なり、ネコショウ、ミザリア、ステラに限界が近かった。


デュナンは自然と皆を庇うように立ち回り、北の盤面の敗色は濃厚であった。


―――黄昏時、西に傾く夕日を受け、大軍が立ち並ぶ。


「まさか、更に増援なの…」

ミザリアが絶望をこぼす。


緑の風切り帽に白銀の狼に跨る謎の軍団が名乗りを上げる。


「水晶の兵たちよ! 今こそ正義の名の下に大地を照らせ! 全軍進め!!」


「まさか…父さん!!」

デュナンの視線の先に、大軍を率いるアーバス・レオンハート公の姿があった。


彼の耳についている翡翠色の羽飾りが、戦火に揺れていた。



緑の軍勢は北の盤面に攻め込み、瞬く間に戦場は黒から緑へと戻る。


初めは抵抗を見せたライザルド軍も徐々に数を減らしていった。


息子の元へ父が駆け寄る。


「デュナン無事だったか?」


「父さん…どうしてここに…」


「ステラが手紙で知らせてくれてたからな…それにメルフォード公が駆け付けると聞かなくてな…」


「お父さんが…」


ステラの視線の先で金棒を持ったメルフォード公がライザルド兵を叩き潰している。

「貴様ら、うちの娘に何晒しとんじゃ!」


「あの人…すごいわね…」

ミザリアも呆気に取られている。


「うにぁん!」

ネコショウも化け猫モードで残りの敵を蹴散らす。


北の盤面も終わりが見えてきた。


「デュナン危ない…!」

アーバス公がデュナンを庇うように抱きしめる。


「ぐぁ!!」

アーバス公の首元と背に数本の矢が刺さる。


「父さん…!」

デュナンは倒れるアーバス公を抱きかかえる。


アーバス公は自身の耳についている翡翠色の羽飾りをデュナンに手渡す。


そして、デュナンの耳についていた対になる翡翠色の羽飾りが、アーバス公の命の終わりと共に静かに動かなくなる。



アグリアスとアーサーは既に二十合もの剣を交えていた。


アーサーの一撃、一撃がアグリアスの肉体を削っていく。


即座にカサンドラの回復魔法がアグリアスを包むが、ジリ貧であった。


「お姉様…もう…」

カサンドラは泣きながら魔法を唱え続ける。


「まだだ! まだ負けない!」

アグリアスは何度もアーサーの大剣に喰らいつく。


「ふはは、正直、アグリアスがここまでやれるとは思わなんだ。成長したのだな!」


アーサーはなおも余裕の姿勢を崩さない。

彼の剣撃は衰えるどころか更に速度が増す。


大地は削れ、魔王軍の骸も蹴散らされていく。


アグリアスはカサンドラに剣圧が及ばないように守るので精一杯であった。


「覇光斬・聖剣墓標群せいけんぼひょうぐん!」


アーサーの周囲を金色の墓標が振り注ぐ。


「ふんっ!」

しかし、大剣の一振りで掻き消える。


「アグリアス…少しは楽しめた! 次で終わりだ!」

アーサーが上段で大剣を構える。


ただの剣撃、そのはずなのに、途轍もない殺気が戦禍を威圧する。


「私もこれで決めさせてもらう――

覇光斬・絶光覇王天翔公明剣ぜっこうはおうてんしょうこうみょうけん!!」

聖剣クラリウスが途轍もない輝きを放つ。

眩い光で剣そのものが見えない。


アーサーは目を瞑り、気配だけでアグリアスの頭上から大剣を振り下ろす!


――同時に、アグリアスは玉砕覚悟でアーサーの左胸目掛け聖剣を突き出す!


二人の騎士が衝突する瞬間、イレギュラーが間に入る。

コフク・リョウカ…青年がアグリアスの前に飛び出ると、アーサーの斬撃は逸れ、空を斬る。

――アグリアスの突きも僅かに逸れ、アーサーの左脇腹を抉る。


激しい衝撃波と共に最後に立っていたのはアグリアスであった。


「リョウカ…姫様は無事か?」


俺は返事の代わりにグーサインをする。


「はぁはぁはぁ…」

歴戦の戦士であるアーサーは既に虫の息だ。


「アグリアス、トドメを…」

アーサーはアグリアスに首を差し出す。


「………」

アグリアスは無言で剣を構える。


リョウカもそれを見届ける。


…剣の柄を握るアグリアスの手に力が入る。


緊迫した空気が包む中、大気が歪む。

青いマントがアーサーを包みそのまま虚空へ姿を消した。


「終わった…のか?」


勝敗は決した。

だが、失ったものの重さは、まだ誰にも測れなかった。

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