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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
五章 奪還編

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子猫vs魔王軍幹部?

戦場の中心部――

ネコショウの視線の先に、リザリーの姿があった。


リザリーの姿を捕らえたネコショウはすぐに美少女モードに変身する。


「――リザリー様!!」


「ネコショウ、なぜここに来た!!」


「私は、どこまでもリョウカ様についていくと決めたのです!」


リザリーがネコショウの前に降り立つ。


「リョウカ…か…わらわでは駄目なのか?」


――リザリーの言葉にネコショウは目を伏せる。


デュナンは、二人の間に邪魔が入らぬよう、

周囲のライザルド軍を必死で蹴散らしていた。


「リザリー様も一緒に行きましょう!!」

ネコショウは手を差し出す。


「くっ…」

リザリーの瞳が微かに揺れる。


「私はリザリー様と過ごした日々がとても幸せでした。でも、私……リョウカ様のことが、大好きなんです!!

頭を撫でてくれる優しい手…寂しい時には隣にいてくれて…キツい時は傍で支えてくれる…リョウカ様は私の居場所なんです。

でも、リザリー様もいてくれたら、もっと嬉しいです。

私の最初で最後のわがままだと思って聞いてください!」


ネコショウが感情を顕にしてリザリーへ更に手を差し出す。


わらわだって…わらわだって、でも…」

リザリーは躊躇いながらも手を差し出す。


重圧と共に、一瞬――

戦場の音が消えた。


「リザリー。

その手を握り返した時点で――

お前と、その猫を斬らねばならぬ」


ふと、リザリーの隣に鎧が軋む音と共に、

騎士団長のアーサーが現れた。


肩まで伸びる銀髪。額の古傷の下の鋭い眼光。

思わぬ強敵の出現に全員が後ずさる。


「アーサー! ネコショウには手を出すな!」


「無論だ。そういう、約束だったからな。だが、反故にする気なら考えねばなるまい」

刺すような視線がリザリーを襲う。


その声が、ネコショウの胸の奥の怒りに火をつけた。


「あなたが、あなたがリザリー様を惑わしたのですね!!」


ネコショウは怒りに任せ、退魔の剣を振るう。


「やめろ! ネコショウ!」


アーサーは軽々と大剣でネコショウの一撃を受け止める。


直後、ネコショウの体に風が纏わりつきアーサーから引き剥がされる。


「いつの間に現れたんだい?」

デュナンがネコショウの前に立ち、アーサーへ剣を向ける。


「青年…君と会うのは二度目だね?」


「デュナンだ。覚えてくれても構わないよ」


「ふ、鉄血を殺した英雄か…リザリー、貴様は戦場から去れ! 戦意の無いものは邪魔だ!」


「御意に…!」

リザリーは一瞬だけネコショウを見て、どこかへ飛び去る。


「かくも美しい友情だな。…いや、愛情か?」


「ううう! アーサー!!」


「待て、ネコショウ!」

デュナンの静止を振り払い、アーサーに向かって飛びかかる。


「まったく、騎士道に則り約束は反故にはできぬのに…」

軽く溜息をつき、アーサーは軽く大剣を振るう。


「きゃっ!?」

ネコショウは風圧で軽々と飛ばされた。


デュナンが空中でネコショウをキャッチする。


「ネコショウ、挑発に乗らないように。リザリーを取り戻すんだろ? まずは彼に勝たなきゃ…」


ネコショウはデュナンの腕の中で静かに頷く。


「覇光斬!!」

駆けつけたアグリアスがアーサーの頭上から巨大な光の剣を振り下ろす。


しかし、アーサーが大剣を振るうと軽々と打ち砕かれる。

隙ができたアグリアスの首をアーサーの大剣が捉える。


ガンッ!

直前で、アーサーの斬撃をジェーンが素手で止めた。


――一瞬、誰も動けなかった。


「ほう!」

アーサーは感心したように目を見開く。


続々と仲間が集まってくる。

ステラ、カサンドラ、ミザリア。


皆、ボロボロだがなんとか生きている。


「まったく、所詮は紛い物の軍隊か…揃いも揃って負けるとは…」


「後は、あなただけですね!」

ジェーンとアーサーが一瞬で数合、拳と大剣を重ねる。


激しい振動と風圧が戦場を揺らす。

しかし、アーサーの剣撃が一瞬、上回りジェーンが弾き飛ばされた。


「少数にして精鋭。なかなかやるではないか」

アーサーは一対多にも関わらずなおも余裕を崩さない。


「アーサー騎士団長! 私と一騎打ちだ!」

アグリアスはアーサーに申し出る。


「ふっ、君はどこまでもいっても騎士だな…」


「いいえ、貴方ほどの騎士を私は知りません。なのに、どうしてバルフォネアを裏切ったのです!」


「説明するより、名乗りを上げたほうが早いだろう」


アーサーはそこで一呼吸置く。


「魔王軍七幹部が一人、断空のアーサー。

騎士では無い私が、一騎打ちを引き受ける義理も道理もない……」


その名を聞いた瞬間、

誰かの手から、武器が地面に落ちた。


「そんな…アーサー騎士団長が…魔王軍幹部…」

アグリアスはクラリウスを地面に落とし顔に手を当てる。



「絶望するには……少し早いぞ」

アーサーが手をあげると北と南から黒い影が現れた。


更なる増援にアグリアス一行は窮地に陥る。

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