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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
四章 テウザ山編

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主?


足元が、ずれた。

次の瞬間、まともに立っていられなくなる。


「リョウカさん!」

ネコショウは即座に化け猫モードに変身して、俺たちを尻尾で巻き取り、崩れる大地から逃げる。


デュナンも風魔法で逃げ遅れた仲間を後方へと吹き飛ばす。


…いったい、何が起こってるんだ…。

剣山ソードマスターが現れて――飲み込まれた?


ミザリアの魔法に照らされ、巨大な魔物が姿を現す。それでも全貌は窺えない。


化け猫モードのネコショウでも三階建てのアパートぐらいの大きさ…。


でも、こいつは…タワーマンションぐらいの高さを誇っている。

何階建てかって? 知らねえよ。田舎育ち舐めんな。


こうやって、ギャグにでも寄らないと、あまりにも突然の状況すぎて飲み込めない。


巨大な山の動きが止まった。


――バキン。

静寂の中、剣山ソードマスターが噛み砕かれた。



「な、なんなんですか…こんな魔物見たことありませんわ…」

カサンドラがネコショウの尻尾に抱えられながら、目の前の巨大な魔物に釘付けになる。


そうだ。S級の剣山ソードマスターが秒で食われた。この衝撃はすさまじい。


小山サイズの短く太い足…たぶん四足歩行。

険しく尖った山を背負い山頂は天を指す。


たぶん…こいつは大きな亀だ…。



誰もが息を飲むなか…一人の勇士が前に飛び出る。


「はあぁぁぁぁぁぁ!」

ジェーン!! 

彼女は走り出すと、亀の太い足をアッパーで跳ね上げた。


巨体が、ゆっくりと傾く。

山が軋むような、低い音。


――次の瞬間。


「う、嘘だろ…!?」

巨体が大きくひっくり返る。


ジェーン…あれを殴り飛ばすなんて…お前の方がよっぽど化け物だよ。


ズシン…鈍い衝撃音が一度だけ響いた。


直後、地面そのものが、動き、土煙と突風により吹き飛ばされる。


「「うわぁぁぁあ!」」

「「きゃぁぁぁあ!」」


仲間の叫び声と共に、テウザ山は大きく地形を変える。


「ゴホッ、ゴホッ…無茶苦茶するな、あいつ…」


仲間たちはすぐに体勢を整え、

「みんな! こちらへ集まれ!」というアグリアスの掛け声で一箇所に集まる。


幸いにも体が泥だらけということ以外は皆無事だ。


「ジェーン…やるならやっていってよ!」

ステラがジェーンを軽く叱責する。


「すみません。敵があまりにも巨大で少し興奮してしまいました」


今、わかった。このテウザ山で一番ヤバイのはジェーン、コイツだ。コイツが山を乱す元凶と言っても過言ではない。


ここから、強敵との戦いが幕を開ける…みたいな展開にはならず呆気なく勝敗はついた。


巨大な亀はひっくり返り、多分だが足をジタバタさせている…。なんせ、全貌が見えないせいで何が起こってるのかもよくわからん。


巨体で亀だ。…どうやら起き上がれないらしい。

…たぶん、こいつを殺すことは不可能だ。

でも無力化はできた。


ジェーンの話ではこいつが格上すぎて現状の山の主となるだろうとのこと。

…でも、ひっくり返って動けないから無害っちゃ無害だ。無害な山の主ならほっといても特に問題もないだろうと…。

そして、姿をくらました捕食者ハウンドでもこいつを倒す事はできないだろうとの判断に落ち着いた。



俺たちは平穏を取り戻した夜の山中で焚き火を囲み勝利の晩酌をしていた。


「みなさん、焼き魚ならたくさんありますよ!」

ネコショウが皆にお酌と文字通り、酒の肴をせかせかと配って回る。


気の利くいい子だよ。


「みんなには本当に感謝してます。祖父の一族の悲願が達成できました」

ジェーンが深々と土下座をする。


「今度は僕らの力になってくれるよね?」

「お願い! ジェーン!」


「当然です。この恩には必ず報います」

デュナンとステラの言葉にジェーンは力強く頷く。


まったくみんな堅いなあ。せっかくの宴会なのに。

ここは空気を和ませるか。


「おい、ジェーンくん。感謝して、俺にお酌をしなさい」

この世界ではアルハラなんて存在しない。

今なら俺を生理的に受け付けないジェーンでも、酒をついでくれるだろう。


「そうか、もっと飲みたいのか…リョウカ!! そんなの私が注いでやる!」


「もごっ、ご、ごほっ!」

既にベロベロに酔っ払ったアグリアスが俺の口に直接、酒瓶の口を咥えさせられ流し込む。


「ほら、遠慮せず、もっと飲め…う〜ひっく!」

頬は紅く染まり、既に焦点も合っていない。


「う、アグリアスさん…勘弁して下さい」

逃げようとするとさらに首根っこを掴まれる。


「ひっく…なんらリョウカ? 私の酒が飲めないと言うのか?」


「ひっ…」

後ずさる俺を背後から何者かが羽交い締めにする。


「ふふふ、リョウカさん…渓谷での恨み…忘れてませんよ」

耳元にミザリアの甘い吐息がかかる。


「ミザリアさん…お許しを…」


「リョウカ…観念しろ!」

アグリアスが両手に酒瓶を持ちこちらに歩み寄る。


「んぎぁぁぁぁあ!」

この時俺は後悔した。この世界にアルハラが存在しないことを。


カサンドラの微笑ましそうな顔が目についた。

その光景を最後に俺の意識は途切れた。

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