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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
四章 テウザ山編

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展開?

今回は実験的に一話に三視点入れるタブーを冒してます。

死の山にデュナンの鋭い声が響く。

「アグリアスさん! みんなが分断された!」


「わかってる!」

アグリアスは剣にマナを込め続けている。

地面へ突き立てた剣を起点に、魔法陣が脈動し、漂うガスを押し留める。


すでに陣の内側にいるのは、

アグリアス、デュナン、ステラの三人だけだった。


「風魔法・一息ブレス・プレイス

ステラが手をかざすと、ガスは一瞬で霧散する。


「……判断が遅れたわ」

短く吐き捨てるように、ステラは歯噛みした。


「僕もだ」 デュナンは苦い顔で周囲を見渡す。


ガスが消え去ると、山は再び死の静寂に包まれた。


「泣き言は後!」

アグリアスが即座に指示を飛ばす。

「散った皆を探すわよ!」



一方、ミザリアは木々をかき分け道なき道を逃げていた。

赤い巻き髪は解け、彼女の表情から一切の余裕は窺えない。


「はぁはぁはぁ…」

彼女の息遣いが断続的に漏れる。


見晴らしの良い場所でミザリアの足が止まる。


「おやおや、鬼ごっこは終わりかな?」

そこに人語を解す二足歩行の狼が足音もなく現れた。

加えて、ミザリアの周囲には既に何十もの黒狼ブラックダイアウルフが草木の影から牙を剥いている。


「あなた人狼ワーウルフね…まさか、魔物が徒党を組んで襲ってくるなんて…」

その口調はわずかに震えていた。


「強がっちゃって可愛いわね…上手く分断できてよかったわ」 

人狼は独特な口調で舌舐めずりをする。

「まずは、狼ちゃんたちが、手足を一本ずつ手足を噛み砕き、骨が砕ける音とあなたの悲鳴が響き渡るの。最後は絶望して恐怖するあなたの顔に噛みついてあげるわ」


「まったく…悪趣味ね」

気丈な言葉とは裏腹にミザリアの顔が強張る


「ふふっ、怯えちゃって可愛い♡」

人狼ワーウルフと黒狼の群れがじりじりと囲みを狭めていく。


「ひっ――」

ミザリアは小さく悲鳴をあげた――かと思うとその口元に小悪魔が宿る。


「熱魔法・黒死球ブラックサン!」

突如、ミザリアの低い声と共に空に黒い太陽が出現した。


「うぎゃぁぁぁあ!」

人狼ワーウルフと黒狼の体から黒い焔が立ち昇る。


「近付いてくれて助かったわ…」

ミザリアの目に悪魔が宿る。


「き、貴様、図ったな!」


「女の子を信用するからそうなるのよ」 


「これぐらいでは、やられんぞ!」

黒狼が灰になる中、人狼は原型をとどめ、ミザリアへ燃え盛る手を伸ばす。


ミザリアは真紅の杖を天へと掲げた。

「暁に瞬くくらき星―終焉、死滅、輪廻、旭日きょくじつ…」


ミザリアの詠唱と共に黒い太陽が輝きをます。


「ま、まさか、後追いでの…詠唱…だ…と」

人狼はその言葉を最後に灰と化した。


再演奏リバース・チャントよ…これは私だから成立するのよ」

そうこぼすミザリアの周囲は黒に染め上げられていた。



ネコショウ(美少女モード)はガスを抜け、木々の間を縫うように駆ける。

彼女が背負った剥き出しの剣が微かに揺れていた。


――背後から黒い影が迫る。


「きゃっ!」

背中に衝撃を受け、ネコショウの体はバランスを崩す。


「グルルルルルル」

喉を唸らせる四足の獣。ヌメヌメした剥き出しの肌が光を反射する。


「黒狼…いえ、違いますね…」


見た目は毛の無い狼だが、皮膚は腐ったような異臭を放っている。


ネコショウは逃げるのを諦め対峙する。


「グァァァァ」

毛の無い狼の口から紫色の煙が撒き散らされる。


「こいつが、ガスを出してたんですね」

ネコショウの三本の尻尾が背中に背負う、剣の柄に纏わりつく。


ネコショウは尻尾で剣を一振り!

――紫色の煙が音もなく掻き消えた。


「デュナンさんに退魔の剣をいただいてて助かりました…」


「いきますよ!」

ネコショウは一気に毛の無い狼に間合いを詰め、剣を突き出す。

尻尾で伸ばしている分、リーチが長い。


渾身の突きが毛の無い狼の頬を掠める。


「グルルルルルル…」

毛の無い狼は間合いを取り、警戒を強める。


直後、口から水気を帯びた白い煙が吐き出された。


「先ほどと色が違う…」

白い煙が木々に触れると水飴のように溶け始めた。


「もしかして、酸ですか…」

ネコショウは退魔の剣を尻尾で振り回しながら距離を取る。


すると突如、白い煙が意志を持ってるかの如く、形を変え、ネコショウに迫る。


「煙に紛れて奇襲する気ですね!」

ネコショウは相手の意図を読み取り、迫る煙に剣を突き立てる。


――しかし、突き立てた退魔の剣は虚しく空を斬る。


ネコショウが陽動だと気づいた時には時既に遅く、

背後に回った毛の無い狼が至近距離で酸の霧を吐き出す。


「きゃああああ!」

フリルのメイド服が溶け、肌が焼ける。

あまりの痛みにネコショウは尻尾で握っていた退魔の剣を落としてしまった。


その隙を逃すまいと、毛の無い狼はネコショウと退魔の剣との間に割って入る。


飛び退いて躱したが、ネコショウの動きが徐々に鈍る。


それでもネコショウは立ち上がった。 


「私だって、皆の役に…リョウカ様の隣を歩けるように…役に立ちたいんです!」


「グァァァァァァ!!」

そんな彼女の宣誓を食い殺すかの如く、毛の無い狼が飛び掛ってきた。


「すみません…みなさん」

涙で視界が歪む。

既に、痛みが限界に達している中、ネコショウの鼻が愛で満たされる。


「俺の愛猫になにしてやがる!」

ネコショウの目の前で、

リョウカが毛の無い狼の顎を鷲掴みにしていた。











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