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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
三章 逃亡編

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旅は道連れ?

――明朝。

アーバス公から大量の食料をいただき、

風呂敷、酒樽ごと、ネコショウ(化け猫モード)の

体に括り付けた。


名残惜しいが、俺たちは水晶の町を後にした。


「そういえば、あのステラって子、最初に絡んできた以外はあまり姿を見なかったですわね」

カサンドラのミント色のサイドテールが風になびく。


「あー、デュナンの許嫁って言ってたやつか?」


「それでも屋敷にいる間、何度か僕らの周りを嗅ぎ回ってたよ」


「ふ〜ん。あの子、デュナンの事が好きだったんじゃないの?」

ミザリアがデュナンの横腹を肘で突く。


「ちょっと、やめてくれよ。あんな口うるさい奴…」


ガタッ!

揺れのせいか酒樽が軋む。


「確かに性格はキツそうだったな…」


ガタガタガタ!?

酒樽が激しく揺れる。


「そうか? 可愛らしい子ではなかったか」

確かにステラはアグリアスと系統は似てるかもしれん。アグリアスは変に自己評価が高いから同類の

ステラを悪く言わないのか?


「彼女、誕生日を忘れただけで泣きわめくんだ。

たまったもんじゃないよ…」


「それはデュナンが悪いわよ」

「そうですわ」

「ああ」

「ほんとそうよ!」

女性陣がこぞってデュナンを批判する。


…ん?

あれ、なんか今、反応が一人多くなかったか。

ミザリア、カサンドラ、アグリアス、ネコショウは今、“にゃあ”しか言えないもんな。

…気のせいか?


「ステラよりリョウカくんの方が魅力的だよ!」

デュナンは仰々しく腕を伸ばす。


「それはそれで、気持ち悪いから止めてくれ」

まったくコイツはブレないな。


「そうだぞ、リョウカは止めておいたほうがいい。女ったらしだし、人の気持ちを弄ぶし、変態だし、気持ち悪いし…」

アグリアスは俺を罵りながら何故か頬を赤らめる。


「でも、そんなところも含めて好きなのよね?」


「あ、ああ…」

アグリアスはミザリアの言葉の罠にかかる。


「ああっ!?

だ、誰がこんなヤツ好きになるか!!」


アグリアスさん、情緒がもう…。


でも、いつも通りのアグリアスだ。

この方が塞ぎ込んでいたアグリアスよりずっといい。


「お姉様、いい加減目を覚ましてください。

こんなヤツのどこがいいのですか!」

カサンドラがアグリアスの両肩を持ち揺さぶる。


「だから好きだなんて言ってない!」

頬が紅潮するあまり、

誰か識別できないくらいアグリアスが真っ赤だ。


そんな反応されると何か、俺まで恥ずかしくなるから止めてくれ。


「あれ? そう言えばアグリアスさん、アーサー騎士団長を前に、最愛の人だ―って、ぐわ!」


「それ以上は言うなー!!」

アグリアスの正拳突きがデュナンの鳩尾みぞおちを捉える。


「ぐっ、こ、ここで我が使命、潰えるのか―」

デュナンの目の前が真っ暗になった。


バコッ!!

「デュナン! 大丈夫!」

突如、酒樽の蓋が飛び、中から見覚えのある少女が飛び出してきた。


「えっ!? ステラさん?」


「あっ…」

俺とステラの目が合い気まずい沈黙が流れる。


「なんで、ここにいるんですの?」

カサンドラも口に手を当て目を見開いている。


「もしかして、デュナンを追っかけてきたの?」 


「え、いや、そ、そんなわけないでしょ!

ただ、心配だったのよ…」

ミザリアの指摘が図星だったのか、ステラは慌てふためく。


「もう、クリステラから結構離れてるからな。

今更、引き返せないか…」


「なら、ここで、捨て置くか?」

俺の言葉にアグリアスは非常な提案をする。


「!?」

ステラは泣きながら首を激しく左右に振る。


一瞬の沈黙の後、

アグリアスが「ふっ」と吹き出した。

「冗談だ。お互い苦労するな…。

ついてきても構わんが……この先、命の保障はできんぞ!」


「なら、なおさらデュナンについて行く!」

ステラは歯を食いしばり言い切る。


ミザリアはそんな二人をニヤニヤしながら見ていた。


…苦労するなってなんのことだ?

ま、いっか…。


デュナンが気絶している間に話はトントン拍子に進んでいった。

ステラはデュナンに膝枕をしつつ、彼の頭を撫でている。


「この先、東に進むとテウザ山がありますが、お姉様、迂回しますか?」


「そうだな…突っ切った方が早いが、今は山の主のスケイルドラゴンが死んでから、魔物達の縄張り争いで活発化してるからな…」

アグリアスは顎に手を当て考え込む。


「お願い。テウザ山に寄って!

私の友達がいるの」

突然、ステラが会話に入ってくる。


「友達…ですか?

でも今はそのような状況ではないですわよ」

カサンドラが怪訝そうにステラを見る。


「もしかしたら力を貸してくれるかも…」


「男? 女?」

大事なことだから訊いておかないと。


「え、えーと……」

ステラは一瞬、視線を泳がせてから答えた。

「女の子よ」


エアリー王女をなんとしても救う。

彼女も俺たちの居場所の一つなんだ。


それには一人でも多くの戦力がほしい。

女の子ならなお良し。


「よし、テウザ山に行くぞ!」

即答して、俺は指揮をとる。


「ぐはっ…」

アグリアスの正拳突きで本日二人目の犠牲者(俺)がでる。


「とりあえず。今から山に登ると日が暮れる。今夜は麓で野宿して明朝立つぞ!」


薄れゆく意識のなか、アグリアスの声が響く。

読み続けてくださって本当にありがとうございます。

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