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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
二章 新居編

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決戦?

約束の時が刻まれる。


各テーブルに各ペアの料理が出揃う。

皆、一様に自信満々の笑みを湛えていた。


「てか、審査ってどうするんだよ…」


「そうだな…。

今回はどちらかというと料理当番から外す者を決める戦いだからな…」

アグリアスは伏し目がちに考え込む。


「でしたら全員で試食して、各自どのペアの料理が今後、食べたくないか選んでもらうのはいかがでしょう?」


「いいんじゃないか、それで」

カサンドラの提案にリザリーが同意する。


「僕らの麺料理だから、先に持ってきてもいいかな? 伸びちゃうし」


「いいわよデュナン。私たちも出来ればおいしい状態で食べたいし」

ミザリアがウィンクし、デュナンがネコショウへ目配せした。


まずは、デュナンとネコショウペアか…。

ネコショウは問題ないとして、

未知数なのはデュナンだな。


「では、ネコショウくん。持ってきてくれまたえ」

「はい!」

跳ねるような返事とともにネコショウは大皿を運んでくる。

アシスタント姿がすっかり板についている。


魚介とハーブの香りがふわりと漂い、空気が一段と華やぐ。

「僕らの料理はペスカトーレ――」

「の焼き魚乗せ――です」

トマトソースの赤に、豪快な焼き魚がドンと鎮座している。


担当者が誰か丸分かりだ。


ネコショウが焼き魚をほぐしながらパスタに和え、取り分けていく。


「これは……」


「涎がダラダラだぞ、アグリアス」


「う、うるさい…今日はなにも食べてないから…」


「そういえば、そうですわね。お腹ペコペコですわ」


「しかし、思いのほか美味しそうだ!

――んじゃ、いただきます!」

なぜか俺の所作に好奇の視線が集まっている。

……そうだ、ここは日本じゃないんだった。


フォークでパスタを巻き、口へ。

魚介のうま味が広がり、焼き魚のホクホクとした旨味が後から追いかけてくる。


「うまい!」

思わず声が漏れた。


「ホントですか! リョウカ様!」

ネコショウが涙目で飛びついてくる。


最近、構ってやれてなかったな……。

美少女の抱擁を断る理由がどこにある。


俺も両手を広げた――その瞬間。

「きゃ――」

小さな悲鳴の直後、唇と唇がぶつかる。


俺と――デュナンの。

――一拍の静寂。


「リョウカくん……」

ネコショウを押しのけ、なぜかドヤ顔で抱きついてくるデュナン。


「デュナンさん…ヒドイです…」

ネコショウの三叉の尻尾が地面に垂れる。


「おぇっ……」

せっかくの料理が、デュナンの甘すぎる口づけによって台無しだ。


「私たちは何を見せられてるんだ…」

リザリーが溜息をつく。


「ささ、リョウカさん…次は私たちの料理です」

エアリー王女がデュナンをお尻で押しのけ、

耐熱容器をドンと置いた。


――赤い。

説明不要で赤い。

甘い香りと刺激臭が同時に鼻につく。


麻鳥あさどりのジャム煮込みですわ」

「キイチゴのジャムとドラゴン唐辛子で煮込んだんだ」


エアリー+リザリーの合作か…。


「ドラゴン唐辛子…見るからに辛そうだ」


「大丈夫ですよ!」

エアリーが自ら取り分け、ぱくりと食べる。

笑顔。余裕。その表情だけ見ると危険物には見えない。


「ささ、皆さんも食べて…リョウカさんは私が食べさせてあげます…」


「な、な、そんな破廉恥な!」

アグリアスが叫ぶが、王女は一切気にしていない。


スプーンが俺の口元へ。

甘い雰囲気、甘い香り――。

「――ん、美味しい!」


ジャムの甘酸っぱさ、ホロホロ鶏肉の旨味。

これは……アリだ。


――と油断した瞬間、舌から喉にかけて灼熱が走った。

「か、辛い――うわぁぁぁあ!」

エアリーとリザリー以外、全員が口から火を噴く。


「な、なんですかこれは! 口が焼けるように痛いですわ…!」

カサンドラも悶絶。


「あああ、皆すまない――」

リザリーが慌てて水を持ってくる。


アグリアスが水を一気に飲み干す。

「あ、それ……ドラゴン唐辛子を漬けてた水じゃ…」 

エアリーの追い打ち。


「ぎゃあああ!!」

アグリアスは絶叫と共に倒れ込む!


カサンドラが駆け寄り、その手を握る。

「お姉様!」


「か、カサンドラ……皆を……頼む……」

力なく落ちる手。


いや……こんな場面で遺言みたいなの残すなよ……。


「お姉様―――!?」

屋敷の中にカサンドラの絶叫が響き渡り、審査は一時中断される。

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